沈んだ太陽(PART 2 OF 3)
『007 トゥモロー・ネバー・ダイ』
"Tomorrow Never Dies"は、ロジャー・スポティスウッド監督のスパイアクション映画。
1997年公開。
英国諜報部MI6の諜報員007ことジェームズ・ボンドが活躍する007シリーズ第18作。
1997年の映画の世界興行成績で、第4位を記録した。
あらすじ
イギリス諜報部MI6はロシア当局と合同で、ロシア国境における武器取引マーケットの調査を行っていた。
侵入したボンドの撮影した映像から、大量の武器と日本人テロリストの磯倉聡やアメリカ人のテロリストのヘンリー・グプタをはじめとする危険人物が集まっていることを確認したMI6は、ロシア側の合意によりイギリス海軍艦艇からの巡航ミサイル攻撃を行う。
ところが、市場の商品の中に核魚雷がある事が判明、ミサイルは母艦から距離が離れすぎていた為自爆電波が届かず、ボンドには退避命令が出される。
だが、ボンドは命令を無視して核魚雷を搭載した戦闘機諸共確保して飛び去り、チェルノブイリ以上の核汚染は阻止された。
しかし、この代償に会場にいた危険人物の1人、ヘンリー・グプタは逃走してしまう。
その後、南シナ海の中華人民共和国の沿岸の「公海上」を航行していたイギリス海軍フリゲート「HMSデヴォンシャー」が、中国人民解放軍空軍のミグ戦闘機による領海侵犯の警告を受けた後に撃沈された。
同時に中国人民解放軍空軍のミグ戦闘機も撃墜された上に、その後脱出した乗組員も皆殺しにされた。
HMSデヴォンシャーは実際には中華人民共和国の領海内を航行していたにも拘らず、なぜか領海から離れた公海上を航行していたと艦内のレーダーには表示されていた。
また同時にシンガポールのMI6支局は不可思議なGPS電波が発信されていたことを掴んでいた。
さらに、HMSデヴォンシャーからの「公海上で中国人民解放軍空軍機の攻撃を受け撃沈された」との電文を受けたばかりのイギリス国防省とM、さらに首相らが事実関係の確認に追われている最中にもかかわらず、なぜかイギリスの新聞「トゥモロー」上に「公海上を航行するイギリス海軍艦と中国人民解放軍のミグ戦闘機が交戦し、撃沈され乗組員が虐殺された」という記事が掲載された。
事件の背後には、偽のGPS電波でHMSデヴォンシャーを中華人民共和国の領海におびき寄せた上に、HMSデヴォンシャーと中国人民解放軍のミグ戦闘機を自らが所有するステルス艦によって撃沈、撃墜し、さらに情報操作で両国間の戦争を演出し大きな利益を得ることを狙う、「カーヴァー・メディア・インターナショナル」の総帥でメディア王・エリオット・カーヴァーがいた。
「トゥモロー」が伝えるHMSデヴォンシャーの「公海上」での撃沈と乗組員の虐殺に激怒したイギリス首相は、イギリス海軍艦隊の中華人民共和国への派遣を命じるものの、「トゥモロー」の早すぎる記事の掲載と不可思議なGPS電波の発信に疑問を抱いたMはこれに抗議し、これを受けて首相は艦隊派遣の48時間の保留と、48時間以内の事実関係の調査を命じた。
Mはボンドをカーヴァーのパーティーが行われるハンブルクに派遣する。
以前に関係があったカーヴァー夫人パリスから情報を得たボンドは、カーヴァーのビルに潜入、カーヴァーの部下であったグプタの部屋からレーダーの座標を狂わせるGPS暗号機を発見する。
その直後逃走中に、パーティーの席で新華社通信の記者と偽っていた中華人民共和国国外安保隊員ウェイ・リンと鉢合わせする。
盗聴したボンドとパリスの会話からカーヴァーの逆鱗に触れたパリスは、ハンブルクのホテル・アトランティークでカーヴァーの部下Dr.カウフマンに殺されてしまう。
パリスの遺体と対面を果たしたボンドは、一瞬の隙を突いてカウフマンに復讐を果たす。
ボンドはCIAのジャック・ウェイドの協力でデヴォンシャーが沈んでいることが判明した南シナ海へ向かう。
沈没したデヴォンデャーの艦内でボンドはウェイと再会するが、カーヴァーの手下に捕らえられてベトナムのサイゴンのカーヴァー・メディア・インターナショナルの支局に送られてしまう。
何とかカーヴァーの元から脱出した2人は、協力してカーヴァーの所有するステルス艦に潜入、カウフマンの弟子スタンパーの抵抗を制してデヴォンシャーから盗み出されたミサイルに爆弾を仕掛けることに成功、カーヴァーの野望を粉砕した。
報告を受けたMは、「カーヴァーは海上で事故死した」と情報操作するよう手配した。
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出典: 「007 トゥモロー・ネバー・ダイ」
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ボンドガールの大佐ウェイ・リンを演じているミシェール・ヨー(Michelle Yeoh)が小百合さんの面影を宿しているのですよ。
(bond900.jpg)
この上の写真の向かって左端の女性ですか?
そうです。
似てるかしら?
もちろん、性格とか考え方は全く似てないけれど、表情に小百合さんの面影を感じるのですよ。
中国人ですか?
マレーシアで生まれた中国系マレーシア人ですよ。 バレリーナになるため、ロンドンのロイヤル・アカデミー・オブ・ダンスで修行したのだけれど、怪我が元で断念し、振付を学んで卒業してから女優になったのです。 その後、マレーシアに戻り、ミス・マレーシアに選ばれた。 結婚したけれど、すぐに離婚して、また女優に戻った。 小百合さんと同じ世代ですよ。
。。。で、『007 トゥモロー・ネバー・ダイ』を観おえてから『沈まぬ太陽』を読み始めたのですか?
そうです。 4冊を3日間で一気に読み終えましたよ。
(lib20606b.gif)
『沈まぬ太陽』は、確か、第1部から第5部まであるのではないですか?
あれっ。。。小百合さんも『沈まぬ太陽』を全巻読んだのですか?
いいえ。。。新聞の宣伝で見ただけですわ。 (微笑)
バンクーバー図書館の日本語の棚には第2部から第5部までしかなかったのですよ。 誰かが第1部だけを借りたようです。
でも、どうしてまた『沈まぬ太陽』を読む気になったのですか?
僕は『腐った翼』を読んで日本航空で恐怖経営体制を築き上げた兼子社長に興味を持ったのですよ。
怪文書は兼子人事をこう切って捨てる。
学習院大学を卒業しJAL入りした貨物出身の新町は、社長候補ではなかった。
そのため、西塚へのつなぎ役だとされた。
西塚は同窓の東大を卒業した兼子の後輩にあたり、労務部長を務めた労部畑のエースだった。
文書はこう続く。
「改めて申し上げるが、日本航空は5万人を超す超大企業であり、世界のトップを目指す航空会社なのだ。
にも拘わらず、トップ人事はかくの如く、財務に至っては取引銀行等から指摘のとおり剰余金実質ゼロの状況にあり、前期は800億に及ぶ過去最高の赤字を計上した。
そこに求心力のない社長が誕生したら一体どうなってしまうのか?
しかも、自分の退任後の影響力を残す為、次の次の社長に子飼いを据える伏線まで敷いてある」
そして、この怪文書騒動は、予想されたより、はるかに燃え上がるのである。
「兼子さんの独裁ぶりは、本当に目にあまりました。
人事についても、本社社長が決めるのは役員選出まで。
その下の部長は役員に任せるものだが彼は誰にも相談せず、部長人事まで自分で決めるんです。
会社の行き帰りのハイヤーに人事記録を持ち込んで、草案を練るんだそうです。
それを子飼いの西塚(専務)に渡し、彼がその通りに実行する。
部長まで兼子さんの威光で決まるので、上から下まで恐怖政治が浸透していました。
金子さんの経営方針に逆らおうもんなら、課長であろうが部長であろうがすぐに飛ばされる。
だから社内には閉塞感が漂い、ものが言えなくなっていったんです」
(赤字はデンマンが強調のため。
読み易くするために改行を加えています。
イラストはデンマン・ライブラリーより)
78-79ページ 『腐った翼』
著者: 森 功
2010年7月10日 第2刷発行
発行所: 株式会社 幻冬舎
『ファシスト管理人の将来』に掲載
(2012年2月27日)
つまり、兼子体制についてもっと知りたいと思ったのですか?
いや、兼子社長のことよりも、主人公の恩地元(おんちはじめ)がどうなったのか? その事が気になっていたので第2部から第5部までを一気に読んだのですよ。
主人公の恩地元(おんちはじめ)は、実在の人物そのものではありませんが、原型となる人物は居ます。
...学生時代からの憧れだったアフリカのキリマンジャロを見に行く旅に出ました。
(kiliman2.jpg)
未知の国に行く時には、その国を良く知っている人に案内を乞うというのが、私の信条でしたから、“ナイロビの主”だと言われている日本人を、人づてに紹介して戴いたのです。
ナイロビ空港におりたち、さまざまな人種でごった返すロビーを見渡し、出迎えを頼んでいた旅行社の人を探していると、一角に周囲の雑踏から切り取られた絵のごとく古武士のたたずまいを漂わせた人が目につきました。
なんとなく引き寄せられるように近づくと、「お迎えに参りました」と、鄭重な言葉がかけられました。
それが恩地元の原型となる人物との出会いでした。
...やがてその人がただのアフリカ通ではないことが解ってきました。
自分のことは一切、語られませんでしたが、古今東西にわたる教養の深さといい、穏やかながら目の厳しさといい、現代の日本人から次第に薄れつつある毅然としたたたずまいを感じはじめたのです。
航空会社でのナイロビ駐在が異常に長かったことは承知していましたが、彼ほどの人となりの会社員がなぜ“ナイロビの主”と言われるようになったのか、率直に聞きました。
初めは口を濁しておられましたが、私の素朴にして執拗な問いに根負けされたのか、ポツリ、ポツリと話しはじめられました。
キリマンジャロのふもとのロッジで、気高い山容を仰ぎ見ながら、その人を主人公に据えた人間ドラマが芽生え始めました。
私は山を見に来たのだけれど、ここには企業の犠牲となってもなお節(せつ)を曲げずに生き続けている人物が存在している。
私はその人に「あなたの経験、企業の不条理を小説のテーマに考えたい」と話したのです。
(注: 赤字はデンマンが強調。
読み易くするために改行を加えています。
写真はデンマン・ライブラリーより)
165-166ページ
『作家の使命 私の戦後』
著者:山崎豊子
2009年10月30日 第1刷発行
発行所: 株式会社 新潮社
。。。で、主人公の恩地元(おんちはじめ)はどうなるのですか?
この主人公にはモデルがいたのです。 それが小倉寛太郎氏です。
(すぐ下のページへ続く)