図書館deロマンス(PART 2 OF 3)
■『すはま』(2011年3月23日)
午前11時半に書き始めて、ちょうどお昼になろうとする頃に停電ですよ。
急にスクリーンも部屋の中も真っ暗になって、パソコンはプツンと切れたような音を発してダウンですよ。
福島の原子力発電所のような障害が発生したわけではないのですよ。
原因は今でも分かりませんが、とにかく偶然の停電です。
エレベータに乗っていた人はビックリしたと思うのですよ。
3秒か5秒の間に緊急発電機が作動したので、図書館の電気はすぐに点(つ)きました。
真っ暗になったと言ってもお昼時ですから窓からは、お日様の明かりが差し込んでいました。
エレベーターに閉じ込められた人以外は、別に暗闇に悩まされたということもなかったのです。
とにかく、電気はすぐに回復したけれど、パソコンは切れたまま。。。
つまり、30分ほど書いた文章がパーになってしまったのですよ。
んもお〜〜!!
保存しておいたとしても図書館のパソコンは再起動した時にハードディスクの記憶も削除するようになっている。
だから、30分ほど書いた文章は、もう取り返しがつかない!
オー・マイ・ゴッド! オー・マイ・ゴッド!
僕はキリスト教徒でもなんでもないけれど、その時には地球が滅亡したような気分になって、もう恥じも外聞もなく絶望から叫んだものですよ!
ちょっと大げさですけれどね。 うへへへへへ。。。
でも、その大げさな絶望が上の写真の女性の目に留まったのですよ。
その女性は隣のテーブルのパソコンを使っていました。
僕との間は2メートルぐらい離れていました。
"What a power failure! Have you lost a ton of work?"
(全くひどい停電だけど、あなたは長い文章を失ってしまったの?)
"Oh, yeah! You're telling me! Oh, Jesus Christ!"
(その通りなんだよ! まったく、なんてことだい!)
その時、“また、同じ文章を初めから書き直すのかよう!? んもお〜〜!”
僕はそう思うと、うんざりして、たとえマリリンモンローが隣に座っていたとしても、あまり話す気分にはなれなかった。
でも、停電が回復するまでは、他に何もすることが無いのですよ。
それは、彼女とて同じですからね。。。
その時、近くには僕と彼女しか居なかったのですよ。
他に4台空いているパソコンがあったけれど、珍しく使っている人は誰も居なかった。
これも、偶然と言えば偶然の事でした。
そう言う訳で、停電がまもなく回復することを願いながら僕と彼女は世間話を始めたと言う訳です。
英語を書くのは面倒だから、これからは日本語だけで書きますよ。
あなた、これからどうするつもりなの?
どうするってぇ、緊急発電機が作動して図書館の電気が点いたのだから、コンピューター・システムもまもなく回復するんじゃないかな?
そうねぇ〜。。。早く回復するといいのだけれど。。。ところで、私、シルヴィーっていうの。。。あなたは。。。?
ん。。。? ぼく。。。? ケイトー(Kato)だよ。 あの有名なグリーン・ホーネットに出てくるブルース・リーが演じている役と同じ名前なんだよ。
あら、そうなのォ〜?
あなたの名前で僕は思い出したよ。 シルビアホテルがイングリッシュ・ベイにあるのですよ。 古いけれど夏にはツタが絡まって、なかなか風格のあるホテルなんだよ。 時には知り合いの女の子とシルビアホテルの近くのレストランで食事をすることもあるのですよ。
こんにちは。ジューンです。
黒豚トンカツが出てきましたけれど、
あたくしも日本でトンカツをいただいたことがありますわ。
美味しかったですわ。
でも、わたしはポークよりもビーフの方が好きです。
デンマンさんが久しぶりにご馳走してくれると言うので
イングリッシュベイを散歩しながら
シルビアホテルの近くの
イタリア・フランス料理専門レストランへ行きました。
【シルビア・ホテル】
デンマンさんが、何が食べたいの?ときくので、
ちょっとおねだりして仔牛と
フォアグラのローストをリクエストしました。
う〜♪〜ん。 期待していた通りですう。
仔牛は、フランス語で「ヴォー」veau、
英語では「ヴィール」vealですよね。
まだ脂肪が少なくて赤い色も薄い感じです。
特徴は香りやクセがなく、
とても柔らかいのですわ。
その分、バターなどコクのある食材と
あわせる場面が多いようです。
今回は春キャベツで包んだ乳飲仔牛と
フォアグラのローストです。
マルサラ酒とリコッタチーズのソースが
とっても合っていました。
2色のアスパラガスが添えてあって、
落ち着いた感じを与えています。
フレッシュでクセの無い乳飲仔牛に合わせるのは
贅沢にも濃厚なフォアグラですう。
やわらかな春キャベツと季節のアスパラは、
お肉とぴったりと相性が合っていましたよ。
ソースはしっかり目に全体をまとめていました。
普段、口にする機会がないヴィールと
フォアグラなので、とっても期待していました。
デンマンさんが特別に注文してくれた
カクテル「楊貴妃」が、まず出てきました。
わたしが首を長くして待っている間
デンマンさんは楊貴妃の大理石像を見るために
わざわざ中国の西安に行ったときの事を、
いろいろと話してくれました。
料理が出てくるのを待ちながら、
わたしは「楊貴妃」をチビリチビリお口に運びました。
いつものようにデンマンさんは、
かなり詳しい歴史のお話をしてくれましたが、
わたしは半分、上の空で聞いていました。
うふふふふ。。。
次に出てきたのはイタリア料理の
バヴェッティーネでした。
焼穴子、あさりと松茸に、たっぷりの
芽葱(ネギのスプラウト)があしらってありました。
食べた瞬間、京都の老舗(しにせ)で味わうような
上質の和食を連想させる優しい味わいでした。
そして、デザートにはクレームエペスでした。
クレームエペスと言うのは、
フランス・ノルマンディー地方の
生クリームの一種です。
乳酸発酵させた爽やかな
酸味と芳醇なコクが特徴です。
クリーミーなヨーグルトといった感じの味わいですわ。
エペス(epaisse)とはフランス語で
「厚い」「濃い」という意味の形容詞で、
その味わいを表現しています。
なぜか、どこか懐かしいキュートなテイストでしたわ。
フレッシュな巨峰との相性が抜群でした。
お酒を絶対に口にしないデンマンさんが、
その場の雰囲気にすっかり酔ってしまったように、
わたしにちょっとベタベタした一幕もありましたわ。
ところで、卑弥子さんが面白い記事をまとめました。
楽しいですから、ぜひ読んでみてくださいね。
■ 『笑って幸せな気分になれるサイト』
では、今日も一日楽しく愉快に
ネットサーフィンしましょうね。
『ミッチブーム』(2011年4月10日)より
あらっ。。。あなたってぇ、見かけによらずにグルメなのね?
いや。。。、僕はグルメじゃありませんよ。 僕の知り合いがグルメなのですよ。
でもねぇ、私の名前はシルビアではないのよ。
あれっ。。。でも、あなたはついさっきシルビアと言ったばかりじゃないですか!
いいえ。。。シルビア(Sylvia)ではなくてシルヴィー(Sylvie)なのよ。 語尾が違うのよ。 元々は、どちらもラテン語から派生した言葉らしいわ。
でも、シルビアの方が世界的によく使われているようですね?
そうなのよ。 あの『エマニエル夫人』になったシルビア・クリステル(Sylvia Kristel)が登場したおかげで“シルビア”の方が世界的に知られるようになったんだと思うわ。
。。。で、シルヴィーは『エマニエル夫人』を観ましたか?
もちろん観たわよ。 私がバンクーバーにやって来てまもなく、1973年にエマニュエル・アルサンの小説『エマニュエル』が大ヒットしたのよ。 その翌年に映画化されてたので、私はバンクーバーで観たわ。。。ケイトーはどうなのよ?
観ましたよ。 世界的に有名になったので観ないと話題についてゆけないと思ったので仕方なく観ましたよ。
なんだか、いやいや観たような言い方をするわね?
実は、二人の女性に誘われて、僕はアメリカ大陸横断中に立ち寄って、しばらく落ち着いたブルックリンの映画館で見たのですよ。
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