ひねくれた大人(PART 2 OF 3)
映画を観に行って 混んでたから端の席になりました。
横にいたおばさんの携帯がなって、
あわてておばさんは私の前を通って出て行きました。
その時に、思い切り私の足を踏んで行ったのです。
痛かった。
そのおばさんが帰って来て、私に言いました。
『先ほど、私、おたくの足を踏んづけました?』
『ええ、』と、私が答えました。
そしたら、おばさん
『あ〜ら、良かった。 私、この列で間違いないんだわ』
って言いました。
うふふふふふ。。。
笑っている場合じゃないですよ。 このおばさんも「ひねくれた大人」ですよ。 僕の言おうとしていることが分かるでしょう?
確かに、足を踏んづけておいて『あ〜ら、良かった。 私、この列で間違いないんだわ』はないですよね。
じゃあ、もっと「ひねくれた大人」の話を。。。
タレント知事のハレンチ行為の考察
「タレント知事って誰のこと?」
「本名を山田勇といい、芸名を横山ノックという、日本では全国的に知られ、お笑いで、一世を風びした漫才トリオのリーダー格の人だった」
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「ロナルド・リーガンが芸能界出身でカリフォルニア州知事になったことがあるけれども、そんな、たぐいね」
「まあ、それに近いかな。スケールの違いはあるけれどね。とにかく、圧倒的な庶民の支持を得て大阪府知事に当選したんだ」
「それで、その人がハレンチ行為をしたの?」
「そうなんだ」
「具体的には、どんな行為をしたというの?」
「被害者は、泣き寝入りせずに訴えた。 被害者は次のように、ハレンチ行為を法定で証言している」
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■選挙運動中、事務所に帰る際、横山知事(当時)は、別の車から自分の乗っていたワゴン車に移って来て自分の横に坐り、自分と知事の膝に毛布をかけて、その下で自分の下半身に手を延ばして30分ほど猥褻行為をした。
■運転手に助けを求めようか、と思ったが、運転手は事態を黙認しているようで、薄笑いを浮かべていたため、助けてくれそうもない、と断念した。
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■恐怖のあまりすくんでしまい、されるままになっていた。
■身をよじってかわそうとしたが、止めてくれなかった。
■横山知事のこういった行為については、前々から他の運動員の女性に警告を受けていて、「何かされそうになったら、トイレに逃げて」と言われていた。
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■ガソリンスタンドの近くに来たとき、「トイレに行きたい」と言って、一旦車を降りた。そのとき知事も一緒に車を降りてトイレに行ったと思う。
■その後また車に乗り込み、さらに猥褻行為を受けた。
「もし、この女性の証言がほんとうならば、これはぜったいに強制ワイセツ行為だわ。それで、この事件が裁判になった経過というのは、どうなっているの?」
「平成11年(1999年)の秋、大阪府知事選挙に再選を目指して立候補した横山ノック氏は、選挙運動中、アルバイトの運動員の女性(21)に強制ワイセツ行為をした、として慰謝料1500万円を要求された」
「それで?」
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「横山氏は民事裁判での答弁を拒否、事実無根、と突っぱねたものの、『議会の審議進行に影響する』として、請求された慰謝料を支払うことで訴訟をかわそうとした」
「その辺から、もうおかしいわね。もし、ワイセツなことをしていないのなら、そんなことは決して言わないわ。これでは、ハレンチ行為を認めたのも同然でしょう?」
「ぼくも、これではクサイと思うね。そんなわけで、原告側は『強制猥褻行為』を主張して刑事訴訟を起した。その間横山氏は過労を理由に入院、さらに大坂府知事の座を辞任するなどして裁判を回避しようとする様子が見られた。しかし、相手方の主張は変らず、出廷を余儀なくされることになった。と、こういうわけだ」
「これでは、誰が聞いても、横山氏は初めから、ハレンチ行為を認めて、防戦に回っているようなものじゃないの?」
「確かに、そんなところが見受けられる。横山氏は民事裁判では答弁を一切拒否し、マスコミに対しても『事実無根』『陰謀』等のコメントを押し通してきた。しかし、刑事裁判では『猥褻行為』を認めた」
「この辺の意識なのよのね、あたしがいつも日本人にたいして不信感を持つのは。。。」
「それはまた、ずいぶんと手厳しいね」
「だって、そうでしょう?横山氏はウソをついてたわけでしょう。日本でも言うじゃない?『ウソは泥棒の始まり』だって?」
「それは、確かにその通り」
「しかも大坂府知事という、政治にたずさわる立場になったわけでしょう?そのような人が、公然とウソを言うなんて、これは欧米では、絶対に許される行為ではないわ。ハレンチ行為をしたかどうかの以前に、政治家としての、いいえ、人間としての、品格、人格の問題です」
「それは厳しいねェ」
「ちっとも厳しくなんかないわ。これは、あたりまえな問題よォ」
「ボーダレス社会になってきたんだから、確かにそんな風に受けとめるようにならねばならないんだろうけれど、まだ、日本ではそこまで割り切って物事を考える人がそう、多くはないようだ」
「ヘーェ、そうなの? あたし、そんなこと常識だと思うわ。それで横山氏はどう言っているわけ?」
「彼の主張はあくまでも『合意』によるもの、と主張して、原告である被害者の女性が嫌がっていたとは思わなかった、との見解を通していた」
「それは男の身勝手も、はなはだしいわ!被害者の証言したことをもっと真面目に聴くべきだわ。この女性は前々から他の運動員の女性に警告を受けていたのよ。『なにかされそうになったら、トイレに逃げて』と。もうはっきりしているじゃないの!この人は被害者だけに限らずに、他の女性にも、同様なことをしていたんじゃないの。日本の諺にもあるでしょう?『火のないところに煙は立たず』というのが」
「確かにそういう諺はある」
「この裁判では日本人の男の嫌らしさが、すべてさらけ出されている感じだわ。ウソはつく。女の反応を自分勝手に解釈する。悪いことを指摘されると、なんとかヘリクツをまくしたてて、逃げ惑っている感じ。あたしに言わせてもらえば、大阪という大都市を政治的に取りまとめてゆく人が、こんな考え方で凝り固まっているということが信じがたい」
「ジューンは、ホントに厳しィー見方をするねェ?」
「ちっとも厳しくないわ。あたし、あたりまえな事を言ってるつもりよ」
「まあ、まあ、そんなに興奮することは、ないじゃないか?」
「デンマンさんは、どうして、こういう嫌らしい男の肩を持つの?」
「ちょっと待ってくれ。僕はなにも、この人物をかばっているんじゃない」
「でも、なんとなく、そんな風に聞こえるわ。もしかして、横山氏はデンマンさんの遠い親戚?」
「急に何ということを言い出すんだい? 僕の一族には、ハゲは居ないんだ」
「あらァー、ハゲって、差別用語じゃないの?」
「日本では最近そういうことになっているようだね。僕が子供の頃は、あたりまえの言葉として通用していたんだけれど。しかし、どうしてジューンはそんなことまで知っているんだい?」
「あたし、日本語学校で勉強したのよ。先生がそう言ってました」
「そういうことは、よく覚えているんだね?」
「他のことだって覚えてますよ。それより、裁判はどういうことになったの?」
「翌年、つまり、平成12年(2000年)の6月20日、論告求刑公判で、検察側は、『執ようで、悪質この上ない』として、被告に懲役1年6ヶ月を求刑した」
「そうですよ、それが当然ですよ。それで判決は?」
「8月10日に裁判の判決が出た。判決は有罪、求刑通りの懲役一年六ヶ月、但し執行猶予三年がついた」
「当然といえば、当然だけれど、あたしには、それでも軽いという感じだわ」
「ジューンは厳しい!彼は知事の座を辞職し、民事で慰謝料1100万円を支払い、刑事訴訟で有罪となり、ということは前科者になったわけだ。その上、前回、知事を務めた際の退職金5千数百万円の返還まで求められている。充分、罰を受けたと思うよ」
「庶民の政治家に対する信頼と期待を裏切ったということを考えれば、あたしは当然の報いだと思うわ」
『タレント知事のハレンチ行為の考察』より
(2002年12月27日)
ハレンチ行為をしていたのにやってないとウソをついて、被害者の女性が“陰謀”で嫌がらせをしているなどと言い立てるのは「ひねくれた大人」じゃなくて、『執ようで、悪質この上ない大人』だと思うわ。
小百合さんもジューンさんのように手厳(てきび)しいんですね。
結局、悪事は隠し切れないものなのよ。 「ひねくれた大人」は圧倒的に男の方が多いと思うわ。
いや。。。決して男ばかりというわけじゃない。
その証拠でもあるの?
ありますよ。 上のハレンチ事件で女性たちの多くがムカついた。 次の小文を読んでみてください。
横山ノックに対する抗議運動は、ここを拠点に始まった。
「ノックさんの事件を足掛かりにして、『女性の人権を蹂躙されていく』ということをやりたかったんです。 まさかホントにノックさんが辞めさせられるとは思わなかった」
(中略)
さあ、みんなで怒りを表現しよう。
ノック事件とは「原告女子大生のくやしさを、怒りをそしてその涙を代理体験してみる機会なのだ」(前出「怒る女たちの会ニュース」)
彼女らは集会を開き、駅前で抗議ビラを配り、裁判を傍聴し、府議たちにセクハラに関するアンケートを実施し、大阪地検に1800枚もの告発ハガキを送った。
これを新聞は連日「府民の怒り」として報道したのであった。
そしてノックは在宅起訴。
(中略)
それぞれの胸算用にすっかりはまりこんだ67歳の山田勇(ノックの本名)さんは、こうして芸人としても政治家としても生命を絶たれた。
「すぐ謝ってくれればこんなことしなかったのに」
怒る女たちの会のあるメンバーは同情する。
おばさんたちも「やったなら謝らなあかんで」とあきれた様子。
結局、彼は皆が期待する「アホ」を貫けなかったのである。
それだけで知事だったのに。
被害者の女子大生は「心の傷」の代償として1100万円を一括で受け取った。
その内訳は、猥褻行為に対して200万円。
名誉棄損800万円。
弁護士費用100万円、ほとんどはノックの行為というより、「大騒ぎ」によって社会的に受けた傷に対して支払われたものである。
「そんなごっつ儲かるんなら、わたしもケツさわらしたる」
大阪のおばさんは怒る。
おばさん世論のオチは強烈である。
(注: 赤字はデンマンが強調。
イラストはデンマン・ライブラリーより
読み易くするために改行を加えています)
219−222ページ 『からくり民主主義』
著者: 高橋秀実
2002年8月2日 第5刷発行
発行所: 株式会社 草思社
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