お役所仕事@ロシア(PART 1)
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デンマンさん。。。 どうして急にロシアがでてくるのですか?
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あのねぇ〜、たまたま夕べ、上の表紙の本をバンクーバー市立図書館から借りて読んだのですよ。
何か衝撃的なことでも書いてあったのですか?
そうです。
どのようなことが書いてあったのですか?
行田市役所のことで11月14日に次の記事を書いたでしょう!
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■『お役所仕事@行田』
ええ。。。 おとといのことですから、よく覚えていますわ。 行田市役所と関係があるのですか?
いや。。。 直接の関係はありませんよ。 でもねぇ、日本人の役人の対応と比べてロシアの市役所の交通局で働いているバスの運転手の対応がとても興味深かったのですよ。
あらっ。。。 デンマンさんが記事に取り上げるほど面白かったのですか?
そうなのですよ。 ロシアのバスの運転手の対応と比べるために、まず行田市役所の高齢者福祉課の岡田主幹と僕の対話を読んでみてください。
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書類に何か不備があったのでしょうか?
不備と言うよりも たった1枚の紙切れで母親の介護認定結果が“要介護5”から“要介護1”と知らされただけで、納得ゆくような説明が一切書いてないのですよ。
実は、認定の際に資格を持った審査官と担当のケア・マネージャーさんがお宅にお伺いして 三男の正造さんの立会いのもとで お母様の様態を認定調査票に基ずき 100項目ほど調べたのです。
一枚の紙切れで済ませないで その調査票を通知に添付すればいいではありませんか?
でも、正造さんは調査票の結果をご存知のはずです。
あのねぇ〜、100項目以上について調べたのでしょう!? それをすべて弟から聞き出すわけにはゆかないでしょう。 すべて覚えてないですよ。 それに、判断基準が何も書面には記載されてませんよ。 要するに、「なぜ、“要介護5”から“要介護1”になったのか?」という説明が通知には全く見当たらないのです。 弟も その説明を聞いてませんよ。
では、7ページにわたる調査書のコピーをお見せすることができますので ご覧になりますか? 1ページにつき10円をいただきますが。。。
調査票の“控え”ということで、そういうものは通知と一緒に添付すべきですよ。 とにかく、70円払いますからその調査票をコピーしてください。
(調査票をじっくり眺めたあとで。。。)
この調査票を見ると日常生活自立度とか、身体機能・起居動作・生活機能、社会生活への適応度について調べてあるけれど、最も重要な母親の病状や医療についての記載欄が空白ですよ! こんなことでは介護度を判断できないではありませんかア!?
それはですね。。。 この調査票とは別に お母様の主治医の意見書というものがあるのです。
じゃあ、それを見せてくださいよ。
“主治医意見書”というのは個人情報に関するものなので、主治医の了解を得た上でないと すぐにお出しできないのです。
どのくらいかかるのですか?
2週間かかるのです。
それはないでしょう! これから診断をして それで意見書を書くのであれば納得できるけれど、すでに書いてある意見書を主治医に電話して了解を得ればいいだけのことでしょう? すぐに主治医に電話してファックスで送ってもらってくださいよ。
個人情報はファックスでは送れないのです。
だったらネットを使って意見書を送付してくれるように頼んでください。
市役所では ネットを使って それほど迅速に対応するようにはなってないのです。
あのねぇ〜、“主治医意見書”は個人情報というけれど、この100項目にわたる“調査票”だってぇ個人情報でしょう? 違いますか?
そうですけれど、“主治医意見書”は主治医の手元にある書類なので。。。
だから、主治医の了解を得てネットで送付するように手配すれば済むことじゃありませんか!
でも、市役所の手続き上、そうするわけにはゆかないのです。
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あのねぇ〜、バンクーバー市では、このような場合、認定資料は一箇所に保存されて希望があればすぐにコピーを出すのですよ。 行田市役所ではいつから2週間もかかるようになっているのですか?
平成11年に介護制度ができてから変わっていません。
今年は平成25年でしょう!? 。。。と言うことは、すでに14年が経過してますよ。 ネットの世界では3年は一昔ですからね。 市役所のサービスも社会の進歩に見合った改善をしてください。 国際的に見たって、ずいぶん遅れているでしょう! バンクーバー市では希望があればその日にコピーを渡すのですよ。 この市役所でも やってできないわけがないでしょう!?
でも、日本では、こんなものですよ。
だから、日本のお役所仕事は、市民の立場に立って満足のゆくようなサービスを提供してないのです! チンタラ、チンタラと今でも14年も前のサービスを提供しているだけなのですよ。 市民税を払っている市民としては、このような時代遅れのサービスは受け入れがたいものです。 あなただって、市民としてそう思いませんか? とにかく、2週間も待てないのですよ。 僕は11月7日にバンクーバーへも戻るのです。 どうにかできませんか? 。。。と言うよりも、どうにかして欲しいのですよ。
(岡田主幹は無言)
実は、去年の10月に、母親の病状が悪化して死にそうになったのです。 それで僕は葬式の準備を済ませてバンクーバーに戻ったのです。 救急車で行田総合病院へ搬送された時には、担当の三宅先生がすぐにレントゲンを撮って その写真を見せて説明してくれたのですよ。 心臓に少なくとも4箇所、白濁しているところがあって、つまり、血管が詰っていたのですね。 体力的に手術に耐えられない様態なので手術は無理だと。。。 しかも、腎臓も悪くなっており、普通、検査の結果、数値が40ならば危険値なのに、100を超えていると言うのです。 とりあえず腎臓の処置をすることになったのだけれど、様態が急変して危篤状態になることも考えられるということだった。。。 そういう状態で、病院で寝たきりになって 最後に病床を見舞った時には 目も開けられない、言葉も出ない、まるで植物人間でしたよ。
(岡田主幹は、さらに無言)
つまりですね、母親が亡くなってからでは 何をしても無意味なわけです。 後悔先に立たずですよ。 だから、母親が生きている内に最善の事をしたい。 できるだけの事をしたい。 それで、こうして適切な介護認定をしてもらうために、あなたと話しているのですよ。 そのためには、どのような理由で “要介護5”から“要介護1”になったのか? 家族の者が納得できるような説明をしてもらわない限り、母親が亡くなってからでは後悔するだけですからね。。。 だから、僕が行田市に滞在している間に“主治医意見書”を見たい。 母親の病状を考慮に入れた判断がなされているのか? それを知りたいわけです。 さっきも言ったように、調査票を見ると最も重要な母親の病状や医療についての記載欄が空白ですよ! とにかく、この状況をあなたにも理解してもらって、僕が行田市に滞在している間に“主治医意見書”のコピーを出してください。 もし出来ないようであれば、市長のところまで話が届きますので。。。
あの〜。。。、11月7日までに出せるかどうか確約はできません。 でも、できるだけの事をしたいと思います。
『お役所仕事@行田』より
(2013年11月14日)
。。。で、どうなったのでした?
要望を受け付けてもらったのか? 気になって2日後の金曜日の午前中に電話したのですよ。 岡田主幹は有給休暇をとって休んでいた。 でも、担当の女性が対応に出て、「“主治医意見書”のコピーは用意ができているので 月曜日は文化の日の振り替えで祝日だから 火曜日に取りに来てください」と言ったのですよ。
あらっ。。。 岡田主幹はデンマンさんと会った翌日に手配したのですわね。
そうですよ。 思わせぶりなことを言っていたけれど、やれば翌日に書類のコピーを出せるのですよ。 それを平成11年から誰が決めたのか知らないけれど 翌日に手配できるのに、2週間という期間を設けて、まるで金科玉条のように堅く守っていた。 お役所仕事というのは そういうものなのですよ。
。。。で、ロシアではどうなのですか?
あのねぇ〜、市役所の役人のことではないのだけれど、交通局で働いているバスの運転手のことで次のように書いてあった。
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一人ひとりの表情に日常生活の疲労と人生の苦悩が色濃くにじんでおり、社内はとても静かだ。
そのときである。
エンジン音を消し去るほどの大声で突如、4,5人の乗客が叫びだす。
「止めろ! 止めろ!」
その直前、バス停を告げる自動録音の車内放送が響きわたったばかりだ。
それなのに、バスが停留所に止まらないのだ。
乗客たちはあわてて降車口のうえにそなえられている赤い非常用ボタンを何度も押しながら、運転手に懸命に訴える。
ボタンは運転手に急を告げるためのものだが、故障している。
無残な日常風景だ。
男性の乗客たちはのぶとい大声を車内に響かせながら、乗客をかきわけて運転席に詰め寄る。
運転手は乗客に視線を向けるわけではなく、前方を見つめながら平然と答える。
「バス停は撤去された」
車内放送が流れたのに、停留所は存在していないのだ。
消えた停留所名が告げられたことになる。
運転手の一言に、男性たちは怒り心頭に発して言いかえす。
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「それはおかしい。 けさ、停留所はあった。 そこからのった」
どうやらなんの予告の掲示もなく停留所は消えてしまったらしい。
私の想像では道路工事がはじまり、邪魔になるので停留所は閉鎖されたのかもしれない。
男性たちの興奮に呼応して中年の女性たちも、不満で感情が高ぶっている。
だが運転手はかれらの大声を他人事のように聞き流し、さらにもうひとつのバス停も通過してしまった。
(中略)
けっきょく、バスは本来停車すべき二つの停留所をとばして、ようやく三つめのバス停に止まった。
二キロ近く走ったであろう。
ドアーが開き、乗客10人ほどが降車口になだれこむ。
初老の男性が、開いたドアーのむこうの暗闇にむけて怒鳴った。
冒頭の一喝(「まったく、ろくでなしのロシアめ!」)は、そのときに発せられた。
もちろん、運転手が乗客にわびることはない。
(注: 赤字はデンマンが強調。
写真はデンマン・ライブラリーより
読み易くするために改行を加えています)
12-13ページ
『ろくでなしのロシア プーチンとロシア正教』
著者: 中村逸郎
2013年2月20日 第1版発行
発行所: 株式会社講談社
このようなエピソードなのですよ。
これはちょっとひどいですわね。 停留所が撤去されたのなら、車内放送でも その事実を放送すべきですし、乗客に説明すべきですわ。
でしょう!? 同じ事が起こったら日本でも乗客は騒ぎ出しますよ。 バンクーバーで同じ事が起こったら、運転手は袋叩きにあいますよ。
あらっ。。。 バンクーバー市民はそれほど暴力的なのですか?
いや。。。 バンクーバー市民がすべてが暴力的じゃないけれど、この間、無賃乗車をした乗客を運転手が注意したら、乗客が怒って運転手の頭をぶんなぐったのですよ。 全治3ヶ月ほどの傷を与えて新聞沙汰になったほどです。 その運転手はそれからヘルメットをかぶって運転するようになってしまったほどです。 だからねぇ、上のような非常識な事をしたらバンクーバーでは乗客が立ち上がって運転手はただでは済みませんよ。 まず間違いなく停車させられますよ。
マジで。。。?
でもねぇ〜、そのような事がバンクーバーで起こるならば 1週間前からバス停に貼り紙がでて、事前に乗客に知らされるのですよ。 どう考えても、上のエピソードはロシアの市役所の交通局の落ち度です。
ロシアでは、役人の仕事は市民の事など考えずに一方的なのでしょうか?
あのねぇ〜、本の中に書いてあったのだけれど、市役所の役人を含めてロシアの官僚の専横と腐敗は相当なものらしい。 国際組織の“トランスペアレンシー・インターナショナル”が2008年9月23日にロシア国内で発表した統計によれば、ロシア社会の健全性を示す世界ランキングは147位だったというのですよ。
すごいですわね。
もっとすごいのはロシアの教育界ですよ。 “レヴァーダ・センター”が2007年7月に実施した世論調査では、大学に入学するのに必要なものとして“お金”と回答した人が なんと 67%。 “縁故”と答えた人が 13%。 “学力”と答えた人は わずかに 17% だった。 賄賂(わいろ)が蔓延(まんえん)しているのですよ。
ちょっと信じられませんわね。
。。。でしょう? でもねぇ〜、悪名高きプーチン氏の前に大統領になったメドヴェージェフ氏も2008年9月30日に次のように嘆いているのですよ。
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わたしたちの国の汚職は、
たんにひろがりや内容の問題ではありません。
汚職は、わたしたちの社会生活をおおう
日常的で、ごくありふれた事象となっています。
役人が汚職をするのがあたりまえの国ですよ。 市民へのサービスの向上など考える心のゆとりはありません。
その事を考えれば日本はまだましなようですわね。
その通りですよ。 “主治医意見書”のコピーを出すの2週間かかる。 平成11年から誰が決めたのか知らないけれど 翌日に手配できるのに、2週間という期間を設けて、まるで金科玉条のように堅く守っていた。 でも、事情を説明して頼んだら翌日にすぐに手配してくれた。 やればできるのですよ。
。。。で、デンマンさんは岡田主幹にお礼を述べたのですか?
あのねぇ〜、お礼を言おうと思ったのだけれど、カウンターで岡田主幹は他の市民に対応中だったのですよ。 忙しそうでした。 だから、女性の担当者からコピーをもらって そのまま帰ってきました。
それで、この記事を書いて お礼を言おうと思い立ったのですか?
そういうことですよ。 いつか、この記事を目にすることがあるだろうと思いながら。。。
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(すぐ下のページへ続く)