ツナサンド (PART 1)
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デンマンさん。。。 ツナサンドが食べたいのですか?
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。。。ん? ツナサンド。。。? 別に食べたいというわけではありません。
でも、トップに ズラズラとツナサンドを並べているではありませんかア!
あのねぇ〜、実は、夕べ本を読んでいたら次の箇所に出くわしたのですよ。
2005年10月17日 (月)
(中略)
「どうせ禿げるんだったら、その前に坊主にしてやれって思ってね」
「毛は抜けているけれど、まだ禿げるとは決まっていませんよ」
...
「なんだか掃除のおじさんみたいですよ」
ボクの茶々に阿久(悠)さんは笑い転げた。 全く久しぶりの笑い声だった。
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しかし、検査のそれぞれの数値は笑えないものばかりで、通常は15万以上はある血小板は5万、これが2万になったら輸血しないと危険だと聞いている。
(中略)
免疫力が低下しているので外出は禁止、部屋でのマスク着用も勧められた。
見舞い客もお断りし、ボクも病室への出入り時には手洗いを確実に励行することにした。
抗ガン剤投与から10日目になっても、水以外は何も喉を通っていない。
さすがに、医師や看護師やみんなが不安になってきていた。 ... 何も食えないのは本人が一番心配だったに違いない。 ...
2005年10月28日 (金)
朝、日課である飲料水と新聞を買って病室へ行くと、突然阿久(悠)さんがツナサンドが食べたいと言い出した。
喉を通るものは、相変わらず水とゼリーだけだったのだ。
ボクは2つ返事で外へ飛び出し、コンビニやカフェやパン屋を歩き回ってツナサンドを探した。
阿久さんが希望したツナだけのツナサンドがなかなか見つからない。
玉葱入り入りやカレー味になっているものが多いのだ。
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ドトールとエクセルシオールカフェとファミマで1個ずつ買ったが、どれも決まってタマゴサンドとペアで1包みなのであった。
部屋に戻ると阿久さんが武者ぶりついたのは、ファミマのツナサンドからであった。
ツナをぺロリと平らげるとタマゴサンドも食ってしまい、次にドトールに手を伸ばしこれも完食してしまった。
この情報を直ちにナースステーションに伝えると、看護師たちが拍手で歓声をあげた。
みんな12日間も絶食状態だったことが心配だったのだ。
(注: 赤字はデンマンが強調。
読み易くするために改行を加えています。
写真はデンマン・ライブラリーより)
161-164ページ 『勝手にしやがれ』
著者: 河村シゲル
2008年9月25日 初版第1刷発行
発行所: KKベストセラーズ
ツナサンドが出てきたのでデンマンさんも食べたくなったのですか?
いや。。。 ツナサンドが出てきたからといって僕は急にツナサンドが食べたくなったわけではないのですよ。
じゃあ、どうしてツナサンドを取り上げたのですか?
あのねぇ〜、上の本を読むと、この時阿久さんは病院食にうんざりしていたと言うか、食べても吐いてしまうほど拒否反応を示していたのですよ。
それで、水とゼリーだけで12日間も絶食状態だったのですか?
その通りですよ。 実は、僕のお袋が行田中央総合病院に入院していた時にも、病院食を見ただけでも食べる気がしないと言って拒否反応を示していたことを思い出したのですよ。 その時、僕は次のような要望書を書いたのですよ。
皆様のご意見をお聞かせください。
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皆様にご満足戴ける病院を目指してスタッフ一同努力しておりますが、様々な観点において皆様からお気付きの点・ご意見等がありましたら、ご遠慮なくお聞かせください。
記入日: 平成24年10月6日
207号室でお世話になっている患者(私の母)の長男、デンマンという者です。
スタッフの皆様の医療には感謝しております。
さて、母の食事表を見ますと、10月1日(月)には主食・副食ともハシをつけているようです。
しかし、日数が重なってゆき10月5日(金)、10月5日(土)を見ますと、主食・副食ともにゼロです。(食べていません。)
病院理念を見ますと「病気を診ずして病人を診よ」となっていますが、理念と現実があまりにもかけ離れているのを感じます。
委員のパンフレットを拝見しますと、食欲をそそられる素晴らしい(医療食の)写真が掲載されています。
ところが実際の医療食を見ますと、見ただけでもまずそうで、食欲を無くすようなメニューになっています。
貴医院には専属の栄養士・調理師は居ないのでしょうか?
母の生きがいは「食」にあります。
医療食とはいえ、患者の好みに応じたメニューを提供して欲しいと強く感じます。
なぜなら、入院中の患者にとって食事が唯一の楽しみだと思うからです。
医療食が人生の最後の食事になる患者さんも居ることでしょう。
「病気を診ずして病人を診よ」という理念に基づいて病人の気持ちと病状を考慮した医療食を提供していただきたいと切にお願いします。
宜しくお願いします。
乱筆で失礼いたします。
デンマン
『病院の悪い評判』より
(2012年11月4日)
この時はデンマンさんのお母さんは梨が食べたくなったのですか?
そうなのですよ。 本当は病院食以外は差し入れ禁止だったのだけれど、僕はお袋が病院食を目の前にして 全く手をつけようとしないで、ムカついたように顔をそむけるのをしばしば見ていたので、もう何が何でも食べてもらわねばならないと思って、さっそく梨を買ってきて皮をむいて食べさせたのですよ。
デンマンさんのお母さんも 阿久さんのようにに梨に武者ぶりついたのですか?
その通りですよ。 満足そうに「うまい。。。うまい。。。」と頬をほころばせながら、見る見るうちに平らげてしまいましたよ。 その時、看護婦さんが入ってきたのだけれど、あとで考えたら、あまりにも開けっぴろげに禁止事項を無視して外から持ち込んだものを大胆に食べている姿に唖然としたのでしょうね。 何も言えずにポカンと見ていましたよ。
結局、看護婦さんからは何も言われなかったのですか?
お袋が旨そうに食べていたのを僕が褒めて満足そうに見つめていたものだから つい、言いそびれてしまったようですよ。 本来ならば、阿久さんの時のようにナースステーションの看護師たちがやってきて手をたたいて喜ぶべきだったのですよう。
それで、翌日、デンマンさんはツナサンドを差し入れたのですか?
ところが、翌日、お袋のベッドの側に行くと天井からでかいカードがぶら下がっているのですよ!
何のカードですか?
そのカードを見ると「病院食以外のものを患者に食べさせないでください」と書いてあるじゃありませんかア!
あらっ。。。 デンマンさんに直接言わないでカードをぶら下げたのですか?
そうなのですよ。 僕はどうやらスタッフに睨まれていたようです。 病院食について文句を言ったり、院長を呼び出して病院の対応の不備について苦情を言ったり、お袋の病状について詳しく説明を求めたりしましたからね。。。
それで、デンマンさんに直接注意しないでカードを天井からぶら下げたのですか?
たぶんそうですよ。 病院では「カナダからやって来た あの“いけすかない男”には関わるな!」というような暗黙の了解ができていたのかもしれませんよ。 (苦笑)
まさかァ。。。?
とにかく、お袋の病状は入院するときよりも退院した時の方が弱ってしまったのですよ。
それで、お母さんの病状がさらに悪化した時には 行田中央総合病院ではなく 行田総合病院に入院させたのですか?
その通りですよ。 上の本の著者の河村シゲルさんは本の最後に次のように書いていましたよ。
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病院は膀胱ガンと言ったが尿管ガンにしてもらった。 ... ボクのサポートは終わったけれど、あの7年間はなんだったのか、まだ分からない。
失ったものもあった。
僅かな仕事と、ささやかな貯金と、浅い付き合いの友達...。
でも、そんなものどうでも良い位の素晴らしいものも見つけた。
まずは、極限状態で人間を助けるのは体力のみだということを知った。
命を守るのは金や権力や地位は何の役にも立たないことが病院通いで実感できた。
必要なのは体力、体力がなければ精神力は生まれない。
そしてボクはこの体力には絶対の自信があるのだ。
誰が言ったかボクの大好きな言葉がある。
「晩年の貧乏は神が与えてくれたホルモン注射であり、最高の健康法」だそうだ。
この7年間で、もう一つ学んだことがある。
それは「幸せを人生の目的にしない」ということだ。
幸せを目的にするから病気や挫折で人間は生きる気力さえ失ってしまう。
幸せは日々、日常で見つけて感じていれば良いのだ。
毎日生きていることが幸せ、幸せに大小や高低などない。
幸せは個人の価値観なのだから格差などあり得ないのだ。
ボクはこの2つを確認できただけでも、あの7年間は充分に意味があったと思いたい。
逝く命 残った命も 散る命
阿久悠さん、ボクはもう少しだけ生きていきますね。
(注: 赤字はデンマンが強調。
読み易くするために改行を加えています。
写真はデンマン・ライブラリーより)
305-307ページ 『勝手にしやがれ』
著者: 河村シゲル
2008年9月25日 初版第1刷発行
発行所: KKベストセラーズ
つまり、「病院食だけじゃなくて患者が好むものを病院は食べさせるべきだ。」 この事が言いたくてツナサンドを持ち出したのですか?
それだけじゃありませんよ!
じゃあ、他に何が言いたいのですか?
河村さんは次のように書いているのですよ。
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幸せを目的にするから病気や挫折で
人間は生きる気力さえ失ってしまう。
幸せは日々、日常で見つけて
感じていれば良いのだ。
上の言葉がどうだというのですか?
だから、僕は行田に帰省した時に 幸せを日々、日常で見つめるために小百合さんと「さきたま古墳公園」でツナ・カナぺでピクニックをしたのですよ。
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■『ツナ缶@LOVE』
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(すぐ下のページへ続く)