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ヤノマミの1万年 (PART 1)

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ヤノマミの1万年 (PART 1)
 
 

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デンマンさん。。。 明けましておめでとうございます。


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Happy New Year、ジューンさん。。。 新年もよろしくね。

こちらこそ。。。 で、今日はヤノマミ族のお話ですか?

あれっ。。。 ジューンさんはヤノマミ族のことを知っているのですか?

NHKでヤノマミ族の番組が放送されてかなりの反響があったと聞いていますわ。

そうらしいのですよ。 僕もネットでその番組の予告編を見ましたよ。


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ヤノマミ 〜奥アマゾン

原初の森に生きる [劇場版]

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デンマンさんも日本に帰省したときに上の劇場版を観たのですか?



いや。。。 実は、僕はバンクーバー市立図書館で借りた本を読んで知ったのですよ。


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上の本の中に書いてあったのですか?



そうですよ。


ヤノマミの1万年

「ヤノマミ」とは、彼らの言葉で「人間」という意味だ。
彼らはブラジルとベネズエラに跨る深い森に生きている南米の先住民で、人口は推定2万5千から3万人。
「文明化」が著しい先住民にあって、原初から続く伝統や風習を保つ極めて稀な部族だった。


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西暦1492年にコロンブスがやって来る以前、南米大陸には1千万〜5千万人(諸説あり)の先住民が暮らしていたと推定されているが、その後の5百年で彼らの人口は1パーセント以下まで激減した。
多くの部族が虐殺や「文明」側によって持ち込まれた病原菌によって絶滅したのだ。
現在、ブラジルに生きる先住民は220部族・30万人に過ぎない。


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ヤノマミは「文明」による厄災から免れることができた奇跡的な部族だった。
アマゾンの奥の、また奥にある未踏のジャングルで暮らしていたため、虐殺や病原菌による絶滅から逃れることができたのだ。
一定の人口を維持し、独自の伝統と風習を保ち続けているのは、ヤノマミだけだと言っても過言ではなかった。

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(注: 赤字はデンマンが強調。
読み易くするために改行を加えています。
写真はデンマン・ライブラリーより)



18-19 ページ 『ヤノマミ』
著者: 国分 拓 (こくぶん ひろむ)
2010年7月30日 第3刷発行
発行所: 日本放送出版協会(NHK出版)




デンマンさんは上の本を読んで衝撃を受けたのですか?



そうなのですよ。

どのようなところに感動したのですか?

あのねぇ〜、以前、ジューンさんは次のように書いていたのですよ。 覚えていますか?



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こんにちはジューンです。

かつて、たくさんの人がめれんげさんの“即興の詩”を応援していました。

めれんげさんが『即興の詩』サイトを再開したので、

懐かしく思って戻ってくるファンもたくさん居ると思います。

めれんげさんは、言わば望まれる女性です。

でも、最近の日本には望まれない女性も増えていますよね。

ええっ。。。 どんな女性が望まれない女性なのかってぇ〜?

例えば、このような女性です。

動物は我が子を殺したりしないものです。

でも、日本人の母親の中には、時に、我が子を見殺しにするような母親がいます。

ええっ。。。 そのような話は聞いたことがないのですか?

でも、実際にあったのですわ。

「苫小牧子殺し事件」ですわよ。

痛ましい事件でしたわ。

情事に浸る女が子供が邪魔になって

殺してしまうという悲惨な事件でした。

北海道・苫小牧で、3歳の長男と1歳の三男の兄弟が

鍵の掛かったアパートに閉じ込められ放置されのですわ。

長男は生米や冷蔵庫のマヨネーズやケチャップで

飢えをしのいだのです。

三男は飢餓と低体温症で亡くなってしまいました。

昼間に自動的に入る暖房で、餓死した弟が

無残に腐食する横で、お兄ちゃんは

必死で飢えを凌ぎ生き抜いて、

ママの帰りを待ち続けたというのです。

でも、ママは新しいボーイフレンドの部屋に住み着いて

1ヶ月以上、子供たちの養育を拒み、

ボーイフレンドと遊んで暮らしていたのです。

もう、死んでいるのではないかと思って、

アパートに戻ると、長男は生きていた。

「何で生きてるの?」

冷血女性のママは長男を見て

まず、そう感じたと言うのです。

人間は、それほどまでに非情に

冷血になれるものでしょうか?!

何度読んでみても、亡くなった子供のために

涙が流れてきますわ。(めそめそ。。。)

「苫小牧子殺し事件」のことは

次の記事の中で引用されています。


(kid91.gif)

『愛の進化論』

ところで、卑弥子さんが面白いお話を集めて

楽しいサイトを作りました。

次のリンクをクリックして

ぜひ覗いてみてくださいね。

■ 『あなたのための笑って幸せになれるサイト』

とにかく、今日も一日楽しく愉快に

ネットサーフィンしましょう。

じゃあね。バーィ



『塩野七生とめれちゃん』より
(2013年11月28日)




上の「苫小牧子殺し事件」は悲惨な事件でしたわね。。。で、これに似た事件がデンマンさんが読んだ本の中にも出てくるのですか?



そうなのですよ。 著者の国分さんも、その出来事を目の当たりにして かなり衝撃を受けたと書いています。

。。。で、その出来事とは。。。?

14歳のローリという名前の女の子の話なのですよ。 そのローリを本の中では次のように紹介しているのです。


ローリの出産


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ローリは父親の分からない子どもを妊娠し、45時間もの陣痛に苦しんだ果てに、生まれたばかりのわが子を精霊のまま天に送った。
 ... 少女たちのグループの中で、ローリは目立たない少女だった。
闊達な少女の面影に隠れて後をついていくような、男の子と積極的に話す女友だちから離れて一人聞き耳を立てているような、「奥手な感じ」のする少女だった。

 (中略)

ある日、射止められた母親の猿にしがみつき、森の野営地までついてきた子どもの猿がいた。
生後間もない猿だった。
母猿が肉片になって燻製棚に置かれた頃、小猿は野営地でけたたましく泣き出した。
キャッ、キャッ、キャッ、と激しく泣いた。


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すると、子守をしながら小猿を見ていたローリが動いた。
小猿を掴み上げ膝に乗せると、僕らが飼い猫や飼い犬にするように、その毛を撫で始めた。
そして、口を開かせて、小猿に自分の唾液を含ませたのだ。
有無を言わさず、小猿の両手を掴み、その自由を奪った上で口を押しつけ、強引に唾液を含ませたのだ。
そこには、気の弱い少女の面影はなかった。
小猿に対する絶対的保護者のように、ローリは何度も唾液を飲ませた。
野生の猿は母親以外に懐かないとされている。
ローリは自分の匂いを覚えさせることで、小猿の母親代わりになろうとしていたのだ。

しばらくして、菅井カメラマンが撮影していることに気づくと、ローリはこちらをチラッと見ていつものようにはにかんで笑ったが、すぐに小猿に視線を移して唾液を飲ませ続けた。
思えば、それがローリの少女らしい笑顔を見た最後の日となった。



209-211 ページ 『ヤノマミ』
著者: 国分 拓 (こくぶん ひろむ)
2010年7月30日 第3刷発行
発行所: 日本放送出版協会(NHK出版)




「奥手な感じ」のするローリも母性本能は大人なみなのねぇ〜。。。



そうですよ。 孤児になってしまった小猿を見るとほおっては置けなかったのでしょうね。

でも「奥手な」ローリが妊娠してしまったの?

そうなのですよ。


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日本の盆踊りのように集落では祭りが開かれる。 そういう時に男女が踊りながら相手を見つけるのですよ。 そして、その夜に森の暗がりで愛し合うのです。



。。。で、ローリの相手は誰だったのォ〜?

結婚を考えている相手ならば、ローリの家にやって来て畑仕事を手伝うのだけれど、誰もやって来なかった。 ローリの家は6人暮らしなのですよ。 ローリの両親と兄と、夫と別居中の姉とその子供。 しかも、祭りで出会った男と姉も愛し合って妊娠していた。 その相手の男も彼女と結婚するつもりはない。 だから、姉は子供をおろしてしまった。

どうして。。。?

あのねぇ〜、 ヤノマミ族は1万年前から狩猟生活を続けているのですよ。 女たちは畑も耕すけれど、狩猟がメインの生活をしている。 だから、ローリの家族は父親が6人分の動物たんぱく質を狩猟によって確保しなければならない。 ローリの兄はまだ成人してないので、父親の肩に6人分の食料を確保する責任が重くのしかかっている。 残念ながらローリの父親は狩が あまりうまくはなかった。

それで、父親の負担を軽くするために姉さんは子供をおろしてしまったのォ〜?

そうですよ。 家族の生存がかかっている。 ローリの姉さんは言わば“出戻り”ですよ。 子供と自分の二人分の重荷を父親におっかぶせているわです。 本来ならば父親は4人分の食料を確保すればよかったのに、“出戻り”の娘とその子供の分まで父親は確保しなければならなくなっていた。 さらに、ローリが私生児を生めば、また一人分の食料を父親は確保しなければならない。 さらに貧弱な父親の両肩に重荷がのしかかるわけですよ。

つまり、ローリも家族の生存の事を考えなければならなかったのね?

その通りですよ。 やがてローリの陣痛が始まった。



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陣痛から45時間後の午後4時過ぎ、7か所目の森にいた女たちから大声で呼ばれた。
「こっちへ来い」というのだ。 ... ついに産まれたのだ。
45時間眠らず、痛みで泣き続けた末に、ローリは子どもを産み落としたのだ。

僕は心の中で「よく頑張った」と言いながら、女たちに近づいていった。
不覚にも涙が零れてきた。
14歳の少女が長い時間苦しんで、命を産み落としたのだ。
「おめでとう」と言いたかった。
一刻も早くローリの顔を見て、よく頑張ったね、と祝福してあげたかった。


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だが、それは、僕の尺度で推し量った勝手な思い込みに過ぎなかった。
僕は「森の摂理」を忘れていただけだったのだ。
女たちに呼ばれてから1分後、僕は生涯を通じてもこれほどのショックを受けたことはないと思われる、衝撃的な光景を目の当たりにする。

ローリはすっかりやつれていた。
暗い表情のまま俯いていた。
その傍らに子供が転がっていた。
女の子だった。
子どもは手足をばたつかせていた。
ローリの母親が来て、産まれたばかりの子どもをうつぶせにした。
そして、すぐにローリから離れた。
子どもの前にローリだけが残された。
女たちの視線がローリに集まった。

... 暗い顔をしたローリは子どもの背中に右足を乗せ、両手で首を絞め始めた。
とっさに目を背けてしまった。
すると、僕の仕草を見て、遠巻きにしていた20人ほどの女たちが笑い出した。
女たちからすると、僕の仕草は異質なものだったのだ。
失笑のよな笑いだった。

 (中略)

その時、ローリの周りには20人以上の女たちが集まっていた。 ... これも儀式かもしれないと思った。
みんなで送る儀式。
精霊のまま天に返し、みんなで見届ける儀式。
なぜその子は天に返され、自分は人間として迎え入れられたのか、それぞれが自問する儀式。
女だけが背負わねばならない業のようなものを女だけで共有する儀式...。
 
(注: 赤字はデンマンが強調。
読み易くするために改行を加えています。
写真はデンマン・ライブラリーより)



217-219 ページ 『ヤノマミ』
著者: 国分 拓 (こくぶん ひろむ)
2010年7月30日 第3刷発行
発行所: 日本放送出版協会(NHK出版)




つまり、“精霊のまま天に返す”というのは赤ちゃんをおろすことなのねぇ〜?



そういうことなのですよ。 ヤノマミ族は、女が妊娠するのは精霊の力によると信じているのです。 まず、大地から男の体内に入った精霊が精子となり、女の体内に入る。 その時に天から“ヤリ”という精霊が下りてきて膣に住み着く。 ヤリがその場所を気に入れば妊娠し、気に入らなければ妊娠しない。 だから、母親の胎内に宿る命も精霊で、人間となるのは母親が子どもを抱き上げ、家に連れ帰った時なのですよ。

つまり、それは ヤノマミ族が1万年近く堅く守ってきた「森の摂理」なのねぇ!?

そうですよ。 そうしなければ、人口が増えすぎてヤノマミ族は自滅してしまったのですよ。

つまり、そのことにデンマンさんは感動したの?

いや。。。 そうじゃないのですよ。 上の箇所を読みながら僕はジューンさんが語っていた「苫小牧子殺し事件」を思い出したのですよ。 つまり、日本は人口が多すぎて日本民族が絶滅してしまうので、子どもを見殺しにするような母親が現れるようになったのかな? 僕は、そう思ったのですよ。 要するに、それが日本の「都会の摂理」なのかと。。。

それは違うと思うわ。

どうして。。。?

だってぇ〜、現在、日本の社会は少子高齢化で人口が減っているのでしょう!?

うん、うん、うん。。。 確かに。。。

「苫小牧子殺し事件」は「都会の摂理」じゃなくてぇ、母親が「人の道」を踏み外しただけなのよ。



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 (すぐ下のページへ続く)





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