ハルヴァと軽井沢(PART 1)
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デンマンさん。。。 “ハルヴァ”というのはケーキのようなものですか?
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あれっ。。。 小百合さんも知りませんでしたか? 実は、僕も初めて聞いたのですよ。
どこでゲットしたのですか?
いや。。。 いまだに食べたことも見たこともないのですよ。
でも、こうして記事で取り上げるくらいだから、どこかで見たのでしょう?
あのねぇ〜、『旅行者の朝食』という本を読んでいたら出てきたのですよう。
トルコの蜜
小学校3年生の秋、両親の仕事の都合でチェコスロバキアのプラハに移り住んだ。
学校の帰り道、学友たちと駄菓子屋によって買うお菓子の人気ナンバーワンが“TURETSKIJ MED” 直訳すると、「トルコの蜜」 すなわちトルコ蜜飴だったのだ。
ヌガーをもう少しサクサクさせて、ナッツ類の割合を多くした感じ。
並みのキャンディーやチョコレートじゃ太刀打ちできないぐらい美味しい。
なのに、ロシア人のイーラは言う。
「これなら、ハルヴァの方が百倍美味しいわ」
「そのハルヴァっていうの、食べてみたい」
「えっ、ハルヴァを知らないの。 じゃあ今度、モスクワに帰ったときに買ってきてあげる」
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夏休み明けの9月1日、イーラは約束を果たしてくれた。
ちょうど靴磨きのクリームが入っている缶のような形とサイズの青い容器。
蓋に白字で“хaлва”とだけ書かれてある。
今も青い丸い缶に“NIVEA”と白地で書かれたニベア・スキンクリームの容器を見るたびにイーラが持ってきたあの缶を思い出す。
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(注: 赤字はデンマンが強調。
読み易くするために改行を加えています。
写真はデンマン・ライブラリーより)
73 ページ 『旅行者の朝食』
著者: 米原万里
2002年6月10日 第2刷発行
発行所: 株式会社 文藝春秋
あらっ。。。 人気ナンバーワンのトルコ蜜飴よりも“ハルヴァの方が百倍美味しい”と書いてありますわね。 私もぜひ食べてみたいわ。
そうですよ。。。 この話をすれば、小百合さんが絶対に興味を持って欲しがるだろうと思ったのですよ。 (微笑)
どうして、そう思ったのですか?
簡単なことですよ。 小百合さんが書いた次のメールを読んでみてください。
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Subj:今日2度目。
カレーを食べました。
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Date: 02/03/2008 8:06:52 PM
Pacific Standard Time
(日本時間: 3月3日午後1時6分)
From: fuji@adagio.ocn.ne.jp
To: barclay1720@aol.com
私も、そろそろデンマンさんから返信が来ると思っていましたよ。
主人が作ったカレーを食べて(今が朝食です)
その前にコーヒー4杯飲んでるけど
検索も ひと息です。
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せっかく出かけるので、ベトナム料理、タイ料理みたいのが
食べたくて、特に生春巻き フォーのヌードル
バンクーバーのバーガーキング
サイエンスワールドの近くにあった、メトロタウンにも
もちろん空港にも。
あれが 都内にまた復活してきて 3月28日には秋葉原にOPEN
新宿では食べられます。
シナモンロールのCINNABONは横浜も池袋も撤退して
お台場だけですよ、バンクーバーならどこのモールにも
あるのに。
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そんなわけで、自分の好きな物だけ買いに行ってきます。
フレーバーなコーヒーとサワークリーム&オニオンのチップス
キャドバリーのデイリーミルクチョコ TWIXチョコBAR
デパ地下の紅茶スコーン、横浜では飲茶のえび餃子
大判の月餅、清風楼のシュウマイ
向田邦子じゃないんだから、もう食べ物の話はやめてよ〜
とデンマンさんがあきれてるから
もうやめよ。
ではコーヒー5杯目をおかわりしますう。
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小百合より
『ラヴィオリ・カレー 食べるの好きです』より
(2008年3月5日)
つまり、上のメールを見せて、私は“食い意地”が張っているとデンマンさんは言いたいのですか?
いや。。。 別に、僕は小百合さんを非難するつもりで上のメールを出したわけではないのですよ。
でも、タイトルを見ると“軽井沢”が出てきますけれど、ハルヴァと関係あるのですか?
いや。。。 直接関係あるわけじゃないのですよ。 でもねぇ、卑弥子さんが いつも小百合さんを紹介して次のように書いているのですよ。
【卑弥子の独り言】
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ところで、どうして小百合さんが「軽井沢タリアセン夫人」と呼ばれているのか?
ご存知でござ〜♪〜ますか?
実は簡単な事なのですわよ。
小百合さんは軽井沢に別荘を持ったのですわ。
小さな頃から軽井沢に住むことが夢だったのですってぇ。
分からない事ではござ〜ませんわよね。
そもそも小百合さんが軽井沢に興味を持ったのは、朝吹登水子のエッセーなどを読んだことがきっかけだったとか。。。
現在、朝吹登水子の山荘、睡鳩荘(すいきゅうそう)は軽井沢タリアセンに移築されて公開されています。
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それで、小百合さんは軽井沢タリアセンを訪れては睡鳩荘に足を運んで少女の頃の事を思い出すのが楽しみなんですってよ。
そういう訳で、デンマンさんが小百合さんのことを「軽井沢タリアセン夫人」と呼ぶようになったのですわ。
軽井沢・雲場池の紅葉
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軽井沢のイルミネーション
<iframe width="425" height="300" src="http://www.youtube.com/embed/dNGCgP1YLGA" frameborder="0" allowfullscreen></iframe>
秋の旧軽井沢銀座ぶらり散歩
<iframe width="425" height="349" src="http://www.youtube.com/embed/3CFuuOhmTxg" frameborder="0" allowfullscreen></iframe>
とにかく、明日もデンマンさんが興味深い記事を書くと思いますわ。
だから、あなたも、お暇なら、また読みに戻ってきてくださいまし。
じゃあねぇ〜〜。
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卑弥子さんの文章を読んでも軽井沢とハルヴァが関係ありそうだとは思えませんわ。
あのねぇ〜、卑弥子さんが「小さな頃から軽井沢に住むことが夢だったのですってぇ〜」と書いているでしょう!?
それがハルヴァと関係あるのですか?
つまり、小百合さんは、どちらかと言えば“夢見る少女”のようなところがあるのですよ。 だから、ハルヴァのような“夢のようなお菓子”ならば、是が非でも食べたいだろうと思ったわけですよ。
マジで、“夢のようなお菓子”なのですか?
そうですよ。 次の小文を読んでみてください。
トルコの蜜
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ハルヴァ職人は、イランではカンダラッチと呼ばれている。
今に至るも、これは他の料理職人から区別される特別な料理人で、ハルヴァ作りは特殊な修業を要する技術であることが分かる。... 職人の手で直に作られるハルヴァが今も残っているのは、イラン、アフガニスタンとトルコだけであり、最良のハルヴァは、この地域でしか食べられない。
(中略)
ハルヴァの成分は極めてシンプル。
砂糖と蜂蜜、サボンソウの茎根、油分のある味の濃い食材(アーモンドなどのようなナッツ類かひまわりや胡麻の種)、それに穀物の粉がつなぎの役割を果たし、さらに多数の香料が加えられる。
この何の変哲もない材料がハルヴァに変貌するためには、材料のすべてが、砂糖もナッツも粉も、泡状にならなくてはならない。
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そのためにさまざまな技術が動員され、その多くが今もカンダラッチ一人ひとりの企業秘密になっているのだ。
それが、近代工業的方法ではどうしても実現できないのである。
(中略)
ハルヴァとは、まず第一に、一定の密度と粘度と温度にいたるまで素材を泡立てた結果であり、第二に、こうして出来たいくつかの泡を混ぜ合わせ、泡立てながら冷やしてゆく技術なのである。
だからこそ、ハルヴァは、お菓子の品質も美味しさも粘度も、材料組成ではなく、何はさておきそれを調理する技術に左右されることを物語る好例なのである。
(注: 赤字はデンマンが強調。
読み易くするために改行を加えています。
写真はデンマン・ライブラリーより)
82-84 ページ 『旅行者の朝食』
著者: 米原万里
2002年6月10日 第2刷発行
発行所: 株式会社 文藝春秋
あらっ。。。 マジで“夢のようなお菓子”なのですわね。
。。。でしょう? だから、小百合さんに話せば、何が何でも食べたいだろうと思ったわけですよ。 うへへへへへ。。。
じゃあ、今年の秋に帰省するときには、イランか、アフガニスタンか、あるいはトルコに立ち寄って、カンダラッチが手作りで丹念に仕上げたハルヴァをお土産に買ってきてくれるのですねぇ〜?
あのねぇ〜、イランは最近、核開発のことでアメリカ政府ににらまれているのですよ。 それで政情不安ですよ。 いつ何が起こるか分からない。 危なっかしくてしょうがない。。。 アフガニスタンは、まだ戦争状態が続いていますからねぇ。。。 あの国に立ち寄ったら命がなくなるかもしれませんよう。。。
だったら、トルコは安全だと思いますわ。
あのねぇ〜。。。、トルコは表面上は平穏なように見えていても、あの国ではアルメニヤ人やクルド人に対しては いい感情を持ってないのですよ。
デンマンさんは日本人で、カナダに長く住んでいるとしても、アルメニヤ人やクルド人とは関係ないでしょう!
あのねぇ〜、実は、僕はクルド人と よく間違えられるのですよ。 クルド独立を目指す過激なゲリラ戦士だと思われるのですよ。
つまり、デンマンさんは なんだかんだ理屈をこねてぇ、カンダラッチが手作りで丹念に仕上げたハルヴァをお土産に買ってきてくれないのですか?
あのねぇ〜、まだ秋までにはだいぶ時間があるので、政治状況が変わってくると思うのですよ。。。 だから、小百合さんも焦らないでください。 しばらく様子を見ましょうね。 うししししし。。。
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(すぐ下のページへ続く)