プロメテウスの黒い白鳥(PART 1)
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プロメテウスの火
プロメーテウスは
ゼウスの命令に背きながらも、
人類が幸せになると信じて火を与えた。
人類は火を基盤とした文明や
技術など多くの恩恵を受けたが、
同時にゼウスの予言通り、
その火を使って武器を作り
戦争を始めるに至った。
現在に至るまで、火は
人類の進化や文明の発達に
大きな役割を果たしているが、
ひとつ間違えれば、
すべてを焼き尽くす恐ろしい火だ。
このことからプロメテウスの火とは、
原子力など、人間の力では
制御できないほど強大でリスクの大きい
科学技術を暗示している。
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デンマンさん。。。 プロメテウスの火を持ち出してきましたけれど、黒い白鳥と どのような関係があるのですか?
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ジューンさんと いつだったか “黒い白鳥”について語り合いましたよね。
ええ。。。 覚えていますわ。 あれは2ヶ月ほど前だったと思いますわ。
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オーストラリアで発見されるまで、旧世界の人たちは白鳥と言えばすべて白いものだと信じて疑わなかった。
経験的にも証拠は完璧にそろっているように思えたから、みんな覆しようのないぐらい確信していた。
はじめて黒い白鳥が発見されたとき、一部の鳥類学者(それに鳥の色がものすごく気になる人たち)は驚き、とても興味をもったことだろう。
でも、この話で大事なのはそういうところではない。
この話は、人間が経験や観察から学べることはとても限られていること、それに、人間の知識はとてももろいことを描き出している。
何千年にもわたって何百万羽も白い白鳥を観察して確認してきた当たり前の話が、たった一つの観察結果で完全に覆されてしまった。
そんなことを起こすのに必要なのは、黒い(それに、聞いたところだとかなり醜い)鳥がたった一羽、それだけだ。
(注: 赤字はデンマンが強調。
読み易くするために改行を加えています。
写真はデンマン・ライブラリーより)
3ページ 『ブラックスワン (上)』
著者: ナシーム・ニコラス・タレブ
2009年7月3日 第2刷発行
発行所: ダイアモンド社
『黒い白鳥』に掲載。
(2014年4月29日)
オーストラリアで発見されるまで、白鳥と言えばすべて白いものだと信じて疑わなかった。 何千年にもわたって何百万羽も白い白鳥ばかりを見ていたので これは当然のことだった。 ところが、たった一つの観察結果で完全に覆されてしまった。
そうですわ。。。で、このことが“プロメテウスの火”と関係あるのですか?
もちろんですよ。 同じ事が原子力発電でも起こったのですよ。
どういうことですか?
ちょっと次の小文を読んでみてください。
原発は安全だという幻想
門馬洋は元高校教師だ。
福島第一原発がつくられた40年前から反原発運動にかかわっていた。
当時住んでいた楢葉(ならは)町の町営住宅に、住民3人が集まって始めた運動だ。
県知事や町長らに危険性を訴え続けた。
東京電力とは数年前から毎月1回交渉し、3月22日も交渉が予定されていた。
原告404人で隣の福島第二原発について裁判を起こしたが負けた。
そのとき仙台高裁の裁判長が述べた言葉をいまもはっきり覚えている。
「反対ばかりしていないで落ち着いて考える必要がある。
原発をやめるわけにはいかないだろうから」
それから21年。
原発は安全だという幻想はあっけなく崩壊した。
「東京電力の想定がいかに甘いか。
そのために多くの人に、どれだけの被害を与えたか。
いったいどう責任を取るつもりなのか」
しかし、浪江町が今回の事故で「殺人行為」と国や東京電力を非難していることについても、同様に違和感がある。
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浪江町にも、東北電力の原発建設計画が40年前からあった。
浪江町議会が誘致を求めていたのだった。
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(注: 赤字はデンマンが強調。
読み易くするために改行を加えています。
地図とイラストはデンマン・ライブラリーより)
29ページ 『プロメテウスの罠』
(明かされなかった福島原発事故の真実)
著者: 朝日新聞特別報道部
2012年3月26日 第3刷発行
発行所: 株式会社 学研パブリッシング
元高校教師の門馬洋(もんまひろし)さんは、福島第一原発がつくられた40年前から反原発運動にかかわっていたのですわね。
そうなのですよう。 原発が危険だということは理解している人は理解していたのですよ。
それなのに、どうして狭い日本で 原発を作り続けたのですか?
石油に頼らないで発電することを日本政府は考えていた。 原子力は危険だけれど、“背に腹は変えられない”ということで国の方針にしてしまった。
太陽光発電とか、地熱発電とか、風力発電とか。。。 他にもあるでしょうに。。。?
アメリカのプレッシャーで原子力発電に方針を決めたという話もあるのです。 原子力発電にすることによって、懐が暖かくなる政治家とか、一部の経営者が結託したのですよう。
それで、危険だけれど、国の方針に賛成するという人が多かったのですか?
そういうことでしょうね。 だから、仙台高裁の裁判長も次のように言ったのですよ。
「反対ばかりしていないで
落ち着いて考える必要がある。
原発をやめるわけには
いかないだろうから」
断固として反対する人はいなかったのですか?
いたのですよう。 でもねぇ〜、日本政府は方針を決めたから、原発の危険を証明するような報告書は闇に葬ってしまったのですよう。
闇に葬られた秘密報告書
この当時(1960年4月)、わが国最初の商業用原子炉として計画が進められていた茨城県の東海発電所で最悪の大事故が起こった場合に、どれほどの被害が発生し、日本政府がその被害を補償できるか、保険会社がそれを引き受けられるかどうかを、真剣に検討したものである。
秘密報告書であるから、沖縄返還における外務省の「核密約」文書と同じように、私たち国民はまったくその内容を知らされずに今日まできたが、私の知る限り一度、この秘密報告書の存在を毎日新聞が報道した。
この1974年の報道では、これを書いた日本原子力産業会議にその存在を確認しても、外務省と同じように「報告書はない」とシラをきったという。
(中略)
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「物的損害は、最高では農業制限地域が長さ1000Km以上に及び、損害額は1兆円以上に達しうる」と小さく書かれており、東海村からの半径が同心円で示されていた。
つまり図にやや濃く描いた園内の矢印範囲は、農業できない地域になる。
日本全土で農業ができないのだから、日本人が日本列島に住めないと考えてよいだろう。
(中略)
三段論法に従ってここまでの説明をまとめると
?原発の大事故は起こりうる。
?大事故が起これば日本はほぼ壊滅する。
?その可能性が最も高く、こわい原因として大地震が考えられる、という結論になる。
原発震災の被害を誰も償えないので、外国の保険会社は日本との契約を放棄した。
それなのに、当の被害者になる日本人がそれを知らずに生きているのは、大変不思議なことであると、読者はお考えにならないか。
(中略)
いよいよ迫る東海大地震と、
予期される浜岡原発震災
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日本列島のちょうど真ん中、静岡県の駿河湾に面した御前崎というところに、トヨタ自動車などの名古屋経済圏のために建設された、中部電力の原子力発電所がある。
この浜岡原発には現在、三基の原子炉が稼動している。
浜岡原発は、今を去る34年前の1976年3月17日に、1号機が営業運転を開始した。
その運転開始からわずか5ヶ月後の8月23日に、当時東京大学理学部助手だった石橋克彦氏が地震予知連絡会で「駿河湾でマグニチュード8クラスの巨大地震が起こる」と、東海地震説にもとづく重大な警告を発した。
マグニチュード8.0とは、10万人を超える死者を出した関東大震災の、さらに1.4倍の破壊力を持った大地震ということになる。
(中略)
こうして、石橋氏の警告は、後年に確立されるプレート運動の理論によってその正しさが、次々と実証されてきた。
ところが、その警告が発せられて以来34年間にわたって、浜岡原発はこのとてつもない巨大地震の危険性と同居しながら、綱渡りの原子炉運転を続けてきた。
石橋氏は東京大学理学部で地球物理学課を学んだ屈指の地震学者であり、神戸大学の教授として、浜岡原発の危険性を裁判で訴え続けてきた。
(中略)
2004年には、浜岡原発を止めるために起こされた「原発震災を防ぐ全国署名」の賛同人に、京セラ創業者の稲盛和夫氏が名を連ねた。
「東海地震が今後30年間に起こる確率は87%」というのが、政府の地震調査研究推進本部の判断である。
これは、30年後に起こるということではない。
30年後かそれとも明日か、確率は発生時期を教えてくれない。
しかし87%なのだから、必ず起こる、ということは断言できる。
(注: 赤字はデンマンが強調。
読み易くするために改行を加えています
写真と地図はデンマン・ライブラリーより)
12-21ページ、28-29ページ
『原子炉時限爆弾』 著者: 広瀬 隆
2011年4月28日 第6刷発行
発行所: ダイヤモンド社
『日本の崩壊』に掲載
(2012年6月17日)
つまり、正しいと信じることは あくまでも主張しなければならないということですわね。
そういうことですよ。 やっぱり批判しないと進歩がないのですよ。
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批判の無い所に進歩なし!
批判なき愛は盲目にして
愛なき批判は空虚なり
やっぱり、原発を稼動すること対しては あくまでも批判すべきなのですか?
当然でしょう! 今、日本では内部被爆が進んでいるのですよ。
(すぐ下のページへ続く)