肥後ズイキが性具になったきっかけは?(PART 1)
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肥後ズイキは保存食としても
利用されていた。
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肥後ズイキは別名、ハス芋と呼ばれるのですが、実は芋の部分を普通食べません。
枝状で堅くてまず食べられません。
どこを食べるのかと言うと、葉柄(ようへい)を食べます。
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葉柄(ようへい)
つまり、葉身と茎をつなぐ柄の部分を食べるわけです。
これは独特の風味を生かした自然野菜です。
低カロリーで、食物繊維たっぷりなので、整腸作用を必要とする方におすすめの健康食材です。
この葉柄を乾燥させると、かんぴょうの丸みをおびたようなものになります。
この干した物を湯につけてもどせば、柔らかくなって食べられわけです。
戦国時代には、籠城したときなどの非常食糧として珍重されたという記録が残っています。
西南戦争の時も、熊本城にたてこもった官軍が食べたという話がつたわっています。
それがなぜ性具になったの?
『肥後ずいき』は食べてもなかなかいけます。
「土佐のハス芋寿司」というものがあるほどです。
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食べてまずかったら、まず寿司のネタに使おうとはしないでしょう。
ハス芋の葉柄を乾燥させると保存食にもなりますが、その性質は柔軟にして強靱、軽く且つ美しいというわけで、江戸時代には女性の髪飾、手芸材料等にも用いられました。
また、江戸時代には薬としても用いられました。
大阪では、産後の古血を下すとして、出産のある家へこれを見舞い品として贈る風習があったそうです。
つまり、食べてよし、乾かせば、保存食にもなる。
また、髪飾りとしても重宝する。
それ以外に手工芸品の材料にもなる。また産後の薬にもなるとなれば、当然のことですが、肥後のおみやげ物としてはもってこいということにないます。
そういうわけで、細川の殿様は参勤交代の時に肥後産のズイキを大奥に土産として持って行ったらしい。
しかも、たくさん。しかし、あまりたくさんもらっても処理に困ってしまいます。
知り合いや、家族の者にあげてもまだ残っているとすれば、何か他に使い道がないものか?と考えるのは人の常。
それまで大奥の女性たちの打ち掛けの裾には真綿を使っていたのですね。
しかし、真綿では切れやすく、打ち掛けがすぐに古着になってしまう。
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これをどうにかできないものかと考えた女性が居たわけです。
その時たまたま、肥後ズイキを手にしていたのですね。
「これを真綿の代わりに入れたらどうだろう?」そうしたら、具合がよかったのですね。
長持ちしたと言うわけです。
ところがあまり沢山貰っても彼女たちは持て余してしまいます。
毎日毎日、肥後ズイキを食べるわけにも行かず、打ち掛けの裾だけでは使い切れないほどもらっている。
他に何か使い道はないものか?
よほど暇人が大奥には多かったと見えます。
大奥と言うところはご存知のようにハレムです。
つまり男子禁制です。
大奥は、将軍が政務をつかさどる「表」と、上下2つの御錠口(ごじょうぐち)によって厳重に隔てられていました。
小姓もこの御錠口までしかついて行けなかった。
大奥に出入りできる男性は将軍と奥医師だけです。
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その大奥には二百数十人の奥女中が女だけの生活を繰り広げているわけです。
しかも、この女性の多くが性体験を持っていますから、中には欲求不満に陥る女性が居るわけです。
相手は将軍だけです。
しかし将軍は一人ですから、仮に60人の女性と夜の営みを持つとしても、順番に一人づつとして、一人の女性は2ヶ月に一度だけ将軍に抱かれることになります。
ところが将軍も人の子ですから、好き嫌いがあります。
やはり気に入った女性と夜を楽しみたいと思うのは、下々の我われと同様でしょう。
そうなると、60人の女性の中でも、お呼びのかからない女性も結構出てくるわけです。
この女性たちは、他に気を紛らわせるようなことがないんですね。
女の園には、当然のことながら隠微な妖気が漂ってきます。
当時、30歳になると夜のお勤めから開放されてお暇がもらえる女性もいたそうです。
つまり、女性としての魅力は、30歳を過ぎたら下り坂になると考えられていたようです。
そういうわけですから、飛び切りの美人でもない限り、将軍は30歳以上の女性には声を掛けません。
しかし、これは女性には酷というものです。
「30歳を過ぎてから体の歓びを覚えた」という女性は結構多いものです。
そういう女性が、将軍から無視されるわけです。
これではたまったものではありません。
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将軍からのお声がすっかり遠のいて、ちょうど欲求不満の時に、たまたま肥後ズイキの乾燥したものをぬるま湯につけた女性が居たのですね。
もう飽き飽きして食べる気にもなれない。
うんざりしながら手でもてあそんでいるうちに程よい弾力があることを発見したわけです。
「必要は発明の母」という諺の通り、彼女には、その瞬間ひらめくものがあったのですね。
「あらっ、そうだわ。このかんぴょうの紐のようになったもので、棒状にぐるぐる巻きにすれば、ちょうどお殿様の一物のようになるかもしれないわ!試してみようかしら?」
この女性は、試してみたんですね。
そしたら、とても具合がよかったのです。
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もちろん、そんなことを他の女性に大きな声では言えません。
しかし、このようなことは一人の胸のうちにそっと仕舞って置くことは出来ないんですね。
いつか、バレてしまいます。
夜になると、この女性が、いそいそと肥後ズイキをぬるま湯で温めている。
周りの女性が、この女性に注目し始めるわけです。
「あなた、この頃なんか変よ。夜になると、ご自分のお部屋に閉じこもりっきりで、お励みになっているようね。もしかして、殿方があなたのお部屋に忍んで来るのじゃありません?」
女性はまっ青になって弁解します。
「滅相もない!そんなことしたら、あたくしの首が飛びますわ」
嫌な奴と言うのはどの世界にも居るものです。
そっとしておいてやるのが思いやりと言うもの。
しかし、他の女性が密かにオナニーにふけって日頃の欲求不満を満たしている、と分かっていても、その女性が余りにもいい気持ちで楽しんでいるのを見過ごすことが出来ないのです。
つまり、女の僻みなんですね。
しかも被害妄想まで起こして、男が忍んでやって来るのではないか?と疑ってもいるわけです。
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「じゃあ、一体どういうことなの?何がそんなによくて毎晩、あられもない声を上げてよがっているの?」
「…」女性は説明にほとほと困ってしまいます。
「はっきり言いなさいよ。さもないとお年寄りにこのこと報告しますよ」
「そ、それだけはどうか…」
というわけで白状させられる羽目になったわけです。
「あなた、本当に肥後ズイキだけで…?」
この、たちの悪い女性は初め半信半疑です。
でも、とにかく試して見なければ分からないと言うわけで試してみたのですね。
こういうたちの悪い女ですから、恥じらいも何もあったものじゃない。
「ねェ、ねェ、ちょっと聞いてよ。あの肥後ズイキねェ、すっご〜くイイ使い道あんのよ!教えてあげるゥ」
もう有頂天です。
あたかも自分一人で大発見でもしたかのごとく言いふらしましたから、その次の晩から、肥後ズイキは引っ張りだこになりました。
はっきりとした記録は調べようもありませんが、肥後ズイキが広まったのは大奥からだ、というのが、その筋の研究家の間では常識のようになっています。
これは、いわゆる権威のある史書によって検証したわけではないので、眉唾の咄として読んでくださいね。
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初出: 2005年3月7日
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