あばたもえくぼ(PART 1)
ケイトー、どうしてまた「女性の下着の店」サイトを持ち出してきたの?
あのねぇ〜、上の画像は次の記事を書く時に使ったのですよ。
■『国際的愚か者』
(2011年7月11日)
ケイトーは、また国際お馬鹿さんのことを話すの?
いや。。。国際馬鹿のことを話すのは飽きましたよ。
じゃあ、国際お馬鹿さんのエクボのことについて話すの?
いや。。。あのねぇ、上の「女性の下着の店」を見た時に、いったいどこの国の言葉かと思ったのですよ。 英語でも、フランス語でも、ドイツ語でもない。 また、イタリア語でも、ポルトガル語でも、スペイン語でも、ロシア語でもない。 それはすぐに分かったけれど、じゃあ、どこの国の言葉だろうか?
ポーランド語でしょう!?
あれっ。。。シルヴィーは、やっぱりすごいねぇ〜。 すぐに分かるんだね。
だってぇ〜、ポーランド語だと書いてあるじゃないの!
なァ〜んだァ、シルヴィーは上の画像を見て答えたの?
いいえ、私はエストニアで小学校の先生をしていたのよ。 ケイトーも知っているでしょう?
うん、うん、うん。。。エストニアからカナダのモントリオールへ移住したと言ったよね。
そうなのよ。 私がエストニアにいた頃、私の友達の一人にポーランドからやってきたイレーナという女の子がいたのよ。 だから、時たま彼女の家でポーランド語の本を目にしていたの。 それで上のサイトを見た時にすぐに分かったわ。
それほどすぐに分かるものなのォ〜?
だってぇ、女性とか、下着とか、体とか、ブラとか、すぐに分かる単語が出てくるじゃない。
ふ〜ん。。。
僕は、もしかしてフィンランド語かと思ったよ。
どうして。。。?
たまたま前の晩にフィンランド語の本を読んでいたんだよ。
世界で一番子音の多い言語
千野栄一さんの本『言語学のたのしみ』(大修館書店)に、世界でいちばん子音の多い言語の話が出てくる。 それはウビフ語といって、ソビエト領である黒海の東側に住むウビフ人の言語だそうだ。 ウビフ語には、なんと80も子音があるという。 そして母音はたったの二つ。 つまり、ウビフ語は世界でいちばん子音の多い言語であると同時に、世界でいちばん母音の少ない言語でもあるわけだ。 こんなに子音が多いウビフ語とは、いったいどんな風に口を動かして発音するんだろう。 ああよかった、私はフィンランド語で、とつくづく思った。
(中略)
世界の言語を大きく分けると、フィンランド語はウラル系に属している。 その中でもフィン・ウゴル語族といって、ハンガリー語の含まれるグループに属するが、さらに分けると、バルト・フィン語族の中に入る。 バルト・フィン語族とは、リーヴィ、ヴァトゥヤ、ヴェプサ、カルヤラ、インケリ、ヴィロ(エストニア語)、スオミ(フィンランド語)によって構成されている。 この中でフィンランド語とエストニア語を除く他は、話す人も少ない、聞いたこともないような言語だ。 大学では一応これらの言語の特徴が講義され、テキストにも目を通したのだが、中でもエストニア語はフィンランド語にいちばん近いので必須科目だった。
53ページ、98 - 99ページ
『フィンランド語は猫の言葉』
2008年4月4日 新装版第1刷発行
著者: 稲垣美晴
発行所: (株)猫の言葉社
あらっ。。。面白そうな本じゃないの?
あれっ。。。シルヴィーに日本語が読めるの?
あのねぇ〜、私がモントリオールに移住してから間もなく、ミチコという日本人の友達ができたのよ。 彼女から初歩的な日本語を習ったわ。
でも、上の日本語が読めるなんてすごいよ!
ケイトーは、そう思ってくれるの? ありがとう。 私のオツムはイマイチだけれど、語学の才能はちょっとばかり自慢できるのよ。
うん、うん、うん。。。分かるよ。 僕とこれだけ日本語がしゃべれればたいしたものだよ。
。。。で、どうして「あばたもえくぼ」というタイトルにしたの?
それをポーランド語で何と言うのか?。。。そう思ってね。
簡単だわよ。
あれっ。。。シルヴィーは、それほどポーランド語ができるの?
いいえ。。それ程でもないわよ。 でも、「あばたもえくぼ」ならばポーランド語に訳せるわよ。
ポーランド語ではどのように言うんだい?
Piękno jest w oku patrzącego.
このように書くのよ。
マジで。。。?
出鱈目じゃないわよ。
そうかなァ〜。。。ちょっと長すぎるような気がするのだけれど。。。
。。。で、ケイトー。。。「あばたもえくぼ」を中国語では何と言うの?
靥的痘痕
僕は中国語は得意じゃないけれど、多分、このようになるんじゃないかと思うんだよ。
私は違うと思うわ。 これでは「エクボのようなアバタ」という意味じゃないの。
あれっ。。。シルヴィーは中国語も分かるの?
だから言ったじゃない。 私ってオツムはイマイチなんだけれど語学の才能があるみたいなのよ。
シルヴィーならば、どのように中国語に訳すんだい?
次のように訳すわ。
美容是在旁观者的眼睛。
あれっ。。。ちょっと長すぎるんじゃないの?
ケイトーの中国語訳では「あばたもえくぼ」になってないわよ。 私は英語の Beauty is in the eye of the beholder. を中国語に訳してみたのよ。
なるほどねぇ〜。。。シルヴィーは確かに語学の才能があるかもしれないよ。
あらっ。。。マジでケイトーは、そう思ってくれるのォ〜!? ありがとう。。。で、どうしてケイトーはフィンランド語の本など読んだの?
別に目的があって読み始めたのではないのだけれど、フィンランドとノルウェー、それにスウェーデンには、僕は行ったことがあるんだよ。
あらっ。。。じゃあ、フィンランド語も話せるの?
いや。。。簡単な会話ぐらいは覚えたけれど、もうすっかり忘れてしまったよ。 10年以上も使ってないからね。 とにかく、北欧ではどの国でも、ほとんど英語で通じたから、込み入った事はすべて英語で押し通したんだよ。
つまり、フィンランドが懐かしくなってフィンランド語の本を手にしてみたの?
まあ。。。そう言う訳だよ。
それで、ケイトーは「世界で一番子音の多い言語」に興味を持ったの?
よく分かるねぇ〜。。。
だってぇ、わざわざその箇所をケイトーは引用してるじゃない!
実は、今でも使われている言葉なのだろうかと調べてみたのですよ。 ところが「ウビフ語」を話している人は世界で誰も居ないんだってぇ。。。
マジで。。。?
『ウィキペディア』には、そのように書いてある。
ウビフ語
話される国 トルコ
地域 カフカス
話者数 0人
言語系統 (コーカサス諸語) 北西コーカサス語族
ウビフ語(Ubykh)は北西コーカサス語族(アブハズ・アディゲ諸語)の一つ。
歴史ウビフ語を話す人々は、もとは黒海北部沿岸のソチの付近に住んでいたが、1875年ごろにトルコに移住した。
1992年10月7日、ウビフ語の最後の話者であったテヴフィク・エセンチ(Tevfik Esenç)が亡くなり、ウビフ語は死滅した。
エセンチとともにフランスの言語学者ジョルジュ・デュメジルやジョルジュ・シャラキゼが研究を行なった。
特徴ウビフ語は83の子音を持ち(但し、そのうち3つは借用語にしか現れない)、以前は世界でもっとも多くの子音を持つ言語であると考えられていた。
母音は2つしかない。そのほかにも数々の点で特異な言語である。
膠着的な形態法を持つ。
能格型の格標示を行う。
4つの格を区別する。
動詞は多くの接頭辞と接尾辞によるきわめて複雑な派生・屈折を行う。
(注: 赤字はデンマンが強調
写真はデンマン・ライブラリーより)
出典:
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
じゃあ、もう「ウビフ語」を聞くことはできないの?
あのねぇ、エセンチさんが亡くなる前にフランスの言語学者ジョルジュ・デュメジルさんや、ジョルジュ・シャラキゼさんが研究を行なったのでその時の映像が残っているんだよ。
<iframe width="425" height="349" src="http://www.youtube.com/embed/iDOePxXxQ04" frameborder="0" allowfullscreen></iframe>
あらっ。。。この上の YouTube にエセンチさんが生きている時の映像が入っているの?
そうなのですよ。 フランス語だから、フランス語を聞き取れない人にはつまらないかもしれないけれど貴重な映像ですよ。 フランス語が分かる人は、つぎの YouTube をクリックするとフランス語に対応する「ウビフ語」を聞くことができますよ。
<iframe width="425" height="349" src="http://www.youtube.com/embed/vRj-8oCmnkU" frameborder="0" allowfullscreen></iframe>
「ウビフ語」は膠着語(こうちゃくご)に分類されているそうね。 だから、なんとなく日本語にも似てるわよ。
そうかなァ〜。。。僕には日本語と似ているようには聞こえないのだけどォ。。。
でもねぇ、膠着語というのは、ある単語に接頭辞や接尾辞のようなものを付けて話す言葉なのよ。 日本語も膠着語に分類されるのよ。
あれっ。。。シルヴィーは言語学にもかなり詳しいんだね。
ちょっとだけ大学で言語学を勉強したことがあったのよ。
。。。で膠着語には、他にどのような言葉があるんだい?
トルコ語、ウイグル語、ウズベク語、カザフ語。。。それに、朝鮮語、満州語、モンゴル語、フィンランド語もそうだわ。 ハンガリー語、タミル語、エラム語、シュメール語なども膠着語に分類されるのよ。
シュメール語というのは古代メソポタミアで話された言葉だよ。
あらっ。。。「歴史おバカ」さんだけあって、ケイトーも古代の言葉に詳しいのね。
あのねぇ〜。。。シュメール語というのは紀元前4000年頃から紀元前2000年頃までに古代メソポタミアで話されていた言葉ということになっている。 筆記された言葉としては最古のものなんだよ。
あらっ。。。そうなの!? 。。。で、今でも話されているの?
いや。。。紀元前2000年頃から「ウビフ語」と同じように死語になってしまった。 でも、書き言葉としては残っている。 ちょうど、ラテン語やインドにおけるサンスクリット語のようにね。。。
じゃあ。。。「ウビフ語」も古い言葉なのね。
たぶんねぇ。
。。。で、「ウビフ語」ってぇ、元々どこで話されていたの?
調べましたよ。 地図を見てください。
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