軽井沢タリアセン夫人(PART 2 OF 4)
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でも、ちゃんと「須賀」と入れて検索しているではありませんか!?
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もちろん苗字は、おぼろながら分かっていた。 でもその下の名前までは思い出せなかった。
。。。で検索した結果から「須賀敦子」さんだと判ったのですか?
その通りですよ。 それで僕は、さっそく赤枠で囲んだページへ飛んでいったのですよ。 小百合さんのために、そのページをソフトカメラで撮っておいたので見てください。
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上のページをじっくりと眺めていたら、なんと『軽井沢タリアセン夫人』について 共通テーマ・ライブドアブログで書いた記事が表示されたではありませんか!
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■『愛と動物(2011年7月17日)』
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つまり、お馬さんのお話を書いたのですか?
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確かに馬の写真が載せてあるけれど、実は「トリエステの坂道」を読んだ感想などを書いたのですよ。 それで急にイタリアの空が懐かしくなったと言う訳です。
【トリエステの思い出】
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■『イタリアの空の下で』
(2009年1月25日)
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つまり最終的に、この記事にゆきついたのですか?
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その通りですよ。
「ふるえる手」から
(ローマの)ゴヴェルノ・ヴェッキオ街から、サンタ・マリア・デル・アニマ街に出る。
この道の突きあたりには魂のサンタ・マリアを意味する名の教会があるのだけれど、ここを通るたびに、私は、ちろちろと赤く燃える火の玉に出会いそうな気分になる。
色とりどりの提灯などを吊るしたディスコやアイスクリーム屋があったりして夜は若者たちで賑う。
そもそもどういう由来でこんな名の教会ができたのだったか。
そこからもう一本、路地をぬけると、二千年まえ、ローマ皇帝の競技場だったという高貴なナヴォーナ広場、それを横切って上院の建物がある広小路に出た。
左手を見るともなく見ると、これまでに何度か来ては、運わるく扉が閉まっていてそのまま通りすぎてしまった、サン・ルイージ・デイ・フランチェージ教会の、正面のではない、わきの小さな扉から、旅行者らしいよそおいの人たちが三々五々出入りしている。
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サン・ルイージ・デイ・フランチェージ教会
(フランス人たちの聖者ルイ教会)
これもまた長い名の教会だが、フランス人たちの聖者ルイ、すなわち、十字軍をひきいて二度も地中海を渡ったあげく、とうとうチュニジアでペストにかかって死んだ十三世紀のフランス王にささげられている。
そういう名だからここでフランス人が集まるようになったのかどうかは知らないが、この教会はローマにいるフランス人カトリック信者たちの集会所にもなっていて、となりにはフランス語の書籍が買える店もある。
ローマで勉強していたころは、なんどか足を運んだことがあったが、この教会には一度も足を踏み入れたことがなかった。
教会の奥まった祭壇のひとつに、カラヴァッジョの『マッテオの召出し』という有名な絵があることを知ったのも、ごく最近のことだ。
キリストの十二人の使徒のひとりマッテオは、人にいやしまれる収税人だった。
その彼のところに、ある日、イエスがはいってきて、ついてこい、という。
彼はたちどころに「なにもかも」捨ててイエスに従ったと聖書にはある。
その呼びかけの場面をえがいた十六世紀の作品で、一見の価値がありと友人が教えてくれた。
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カラヴァッジョという画家の作品をはじめて見たのは、ローマの学生時代から何年もあと、ミラノのアンブロジアーナ美術館で出会った彼の静物画だった。
横長の画布にシンメトリカルな構図で、こぼれるように籠にもられた果実が、黄色の勝った色調で描かれていた。
近代静物画の草分けといってよい作品なのだそうだが、歴史的、あるいは宗教的な画題しか描かれなかった時代に、果実という日常的なものを中央に据えた構図はたしかにめずらしかったのだろう。
でも、当時の私にはごく平凡な静物としか見えなかったし、それ以上の興味をさそわれる絵画というのでもなかった。
彼の本名がミケランジェロ・メリージだというのは、そのとき覚えたし、カラヴァッジョというのは、この画家が生まれた町の名で、ミラノの東、二、三十キロのところにあることも車で走っていてぐうぜん知った。
はてしなく広がるポー河の平野の、なんということはない小さな町だ。
もしもその日、教会の扉がこれまでとおなじように閉ざされていたのだったら、私はそのまま通りすぎていただろう。
二十人ほどの旅行者の群れが出てくるのを見て、気持ちがうごいた。
せっかく開いているのなら、カラヴァッジョを見て行こう、ぐらいの軽い気持ちだった。
入っていくと、『マッテオの召出し』がある左手の祭壇は、窓になっているはずの壁面も二幅の絵でふさがれているために、外光が完全にさえぎられて、まっ暗なものだから、壁にとりつけた鉄製の小箱に二百リラのコインを入れると、ぱっと照明がつく仕掛けになっている。
祭壇を幾重にもとりまいた見学者たちが神妙にガイドの説明に耳を傾けているので、私はうしろで待つことにした。
カラヴァッジョの絵は、祭壇をかこむようにして三点、どれも使徒マッテオの生涯の、とくに劇的な場面を描いたものだ。
三枚の絵をぐるりと見まわしたとき、まるで見えない手にぐいと肩を押されたみたいに、『マッテオの召出し』とよばれる絵だけが、私をひきつけた。
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レンブラントを思わせる暗い画面の右手から一条の光が射していて、ほぼ中央にえがかれた少年の顔を照らしている。
一瞬、その少年がマッテオかと思ったほど、光に曝された顔の白さが印象的だった。
もっと近くから見たい。
そう思った途端、照明が消えた。
二百リラ分の観覧が終わったのだ。
観光客がざわめいて、だれかがもう一回コインを小箱に入れる音がした。
そういうことがなんどか繰り返されて、そのたびに、見物人がざわざわと入れかわった。
こんどこそ前に出ようと思うのだが、団体客の壁にはばまれて、私はいつもうしろにとりのこされる。
数回、そういう具合だったので、それ以上そこにとどまるのをあきらめた。
ホテルから遠くないのだから、と私は思った。
ローマを発つまでに、もういちど来ればいい。
できることなら、だれもいない時間に、ひとりで絵のまえに立ちたかった。
教会を出ると、雨はほとんどやんでいた。
ぽっと明るみのもどった歩道に下りたときはじめて、私は、たったいま、深いところでたましいを揺りうごかすような作品に出会ってきたという、まれな感動にひたっている自分に気づいた。
しばらく忘れていた、ほんものに接したときの、あの確かな感触だった。
(pp.205-208)
『トリエステの坂道』 著者・須賀敦子(すが あつこ) みすず書房
1996年5月20日 第4刷発行
【デンマン注】
読み易いように改行をたくさん加えました。
また、小百合さんに注意を促すために赤字で強調した箇所があります。
しかし、文章自体には手を加えていません。
上の写真は本の中にはありません。僕が加えたものです。
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須賀敦子さんのエッセーの一部ですわね?
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そうですよう。
。。。で、上の文章の何がそれほどデンマンさんに強い印象を与えたのですか?
次の部分ですよ。
三枚の絵をぐるりと見まわしたとき、
まるで見えない手にぐいと
肩を押されたみたいに、
『マッテオの召出し』とよばれる絵だけが、
私をひきつけた。
僕が須賀敦子さんの本を読みたくなったのは、まさに「見えない手にぐいと肩を押された」からですよう。
その「見えない手」とは。。。?
だから、小百合さんの手ですよう。
[491] Re:小百合さんのために作った
『夢とロマンの軽井沢』のサイトに、
たくさん記事を書いて、
もっと読み応えのあるサイトにしますからね。
\(^_^)/キャハハハ。。。
Name: さゆり E-MAIL
Date: 2009/01/20 22:54
(バンクーバー時間: 1月20日 午前5時54分)
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デンマンさん!
そこに 座っていたら ダメです。
もっと外を歩いて下さい。
どこかの なんとか老人に
なってしまいますよ。
『Re:「夢とロマンの軽井沢」のサイト』より
(2009年1月20日)
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これは小百合さんが2009年の1月20日に書いたメールですよう。 僕は小百合さんの用事で2008年12月30日にTD銀行に歩いて行ったのです。
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つまり、私がデンマンさんに、できるだけ歩くようにと言ったので歩いてゆかれたのですか?
そうですよう。 TD 銀行に歩いて行ったあとでバンクーバー市立図書館に、更に歩いて行きました。
(すぐ下のページへ続く)