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一敗が三人に!(PART 1 OF 3)

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一敗が三人に!(PART 1 OF 3)

 


(kaioh02.jpg)




(himiko22b.gif)

デンマンさん。。。 どういうわけでお相撲の話を持ち出してきたのでござ~♪~ますかァ~?


(kato3.gif)

卑弥子さんは相撲が嫌いなのですか?

なんだか男のストリップを見ているようで、あたくしは どうせならプロレスの方がいいのでござ~ますわ。

相撲が男のストリップなら、プロレスだって男のストリップでしょう!?

相撲は、チンタラ、チンタラ、何度も塩を撒くでしょう。。。 あれは時間の無駄だと思うのですわ。。。 あれを見ていると欠伸(アクビ)が出てくるのですわァ~。。。 退屈しますう。

あのねぇ~、あれは儀式の一つなのですよ。。。 もともと相撲と言うのは神様に見てもらう儀式だったのですよ。

あらっ。。。 そうでしたのォ~。。。 つまり、今日は相撲の歴史についてお話になるのでござ~ますか?

いや。。。違うのですよ。。。 夕べ、たまたま本を読んでいたら次の箇所に出くわしたのです。


一敗は三人に!


(sumo05.jpg)

2010年、大相撲の九州場所は、横綱大関陣の頑張りによって盛り上がった場所であった。

白鵬の双葉山の連勝記録への挑戦、把瑠都(ばると)の初優勝への挑戦、38歳魁皇(かいおう)の満身創痍のふんばり、平幕・豊ノ島の勢いも、相撲ファンだけでなく、少々遠のいていた国民の相撲への意識を少なからず惹きつけていた。
中でも、大関・魁皇のここ数年見られなかった勝ち星を重ねる姿には、神懸かった力も感じられ、一番一番が、みなの心を打ち、期待が高まっていった。

 (中略)

私も、普段は、そこまで熱心に大相撲は見ないのだが、この魁皇の頑張りと、人知の及ばぬ不思議な力が土俵を采配しているような取り組みが続き、日に日に関心が高まってきた。

中でも魁皇が西前頭四枚目の豪風(たけかぜ)との一番で、絶体絶命、後ろに回られてしまった11日目の相撲があった。

誰もが、ああ、このまま送り出しで豪風に軍配か、と思った次の瞬間、見たのは豪風が手を滑らせ、前のめりに体勢を崩し、自滅し、その上に背中から倒れ重なった魁皇の姿であった。
新聞各紙は“神業”と称し、とうとう魁皇は21場所ぶりの二桁白星となった。


(sumo06.jpg)

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その日を境に私の中にも、もう一勝、もう一番、どんな取り組みでもいいから勝ち星を、という願いにも近い気持ちが生まれてきた。

そして次の日。
白鵬、把瑠都、豊ノ島、そして魁皇の四人が十勝一敗で並んだ12日目のことである。

一敗同士の中で、把瑠都と豊ノ島が対戦することになっていた。
しかし、私の心は、その二人の勝ち負けにはなかった。
あの魁皇に、この日も白星をつけてほしいとただただ願うだけであった。

その12日目は木曜日にあたり、大学の業務がある私は、残念ながら中継を見ることができない。
帰りの電車の中、こわごわとモバイルPCでインターネットニュースを見た。
(略) その見出しには、こう書いてあった。
『一敗は三人に!』

 (中略)

それまでの状況。
豊ノ島(一敗)
把瑠都 (一敗)
魁皇 (一敗)
白鵬 (一敗)
そして、豊ノ島ー把瑠都が対戦

ニュースの情報……一敗は三人に

一敗が四人いて、その内、二人が対戦するならば、少なくとも一人は二敗にならざるを得ない。
しかし、ニュースの見出しには「一敗は三人に」と書かれているということは、つまり、魁皇は(そして白鵬も)勝っているということになるのである。
一敗は三人に、という一見不親切な見出しは、実は、情報に富んでいたのである。

 (中略)

私たちが生きてゆく過程で必要なのは、すでに分かりやすい形に加工されている情報を摂取し、頭を太らすことだけでなく、情報という形になっていない情報を、どのくらい自分の力で噛み砕き、吸収していくかということなのである。
それは、うまく世の中を渡れる知識を手っ取り早く獲得することとは一線を画し、いかに自分が人間として、生き生きした時間を開拓するかということにつながっているのである。

(注: 赤字はデンマンが強調。
読み易くするために改行を加えています。
写真はデンマン・ライブラリーより)



252-257ぺージ 『考えの整頓』
著者: 佐藤雅彦
2012(平成24)年1月27日 第3刷発行
発行所: 暮らしの手帳社




実は、2010年、大相撲の九州場所には僕は行田市に帰省していたのですよ。。。 僕の母親が相撲のファンだから、僕も一緒になってテレビで上の対戦を見ていたのです。



あらっ。。。デンマンさんも魁皇のファンだったのですか?

いや。。。 僕も卑弥子さんと同じで、相撲は特に好きなスポーツではないのですよ。。。 でもねぇ~、母親が相撲を見るので、親孝行のつもりで付き合いで見ていたようなものです。 ただし、上の小文にも書いてあるけれど、この場所は 38歳の魁皇が満身創痍のふんばりで頑張っていたのですよ。 事実、大関・魁皇は珍しいことに勝ち星を重ねて二桁まで白星を積み上げたのです。 その姿には、神懸かった力さえ感じられ、一番一番が、みなの心を打ち、期待が高まっていったのですよ。。。 僕もこの部分を読みながら記憶が鮮明にオツムに浮かんできました。

つまり、この時の思い出のシーンが印象的なので、こうしてお相撲を取り上げる気になったのですか?

いや。。。実は、そうではないのですよ。。。 相撲の事よりも次の文章が僕にインスピレーションを与えてくれたのです。


(think20.jpg)


私たちが生きてゆく過程で必要なのは、

すでに分かりやすい形に

加工されている情報を摂取し、

頭を太らすことだけでなく、

情報という形になっていない情報を、

どのくらい自分の力で噛み砕き、

吸収していくかということなのである。

それは、うまく世の中を渡れる知識を

手っ取り早く獲得することとは一線を画し、

いかに自分が人間として、

生き生きした時間を開拓するか

ということにつながっているのである。




なんだか理屈っぽい事にインスピレーションを感じたのでござ~ますわねぇ~。。。



いけませんか?

別に、どのようなことからインスピレーションを受けようが、かまいませんけれど、具体的にどのようなインスピレーションを感じたのでござ~ますか?

ちょっと次の和歌を読んでみてください。



(kaguyama2.jpg)

春すぎて 夏来たるらし 白妙(しろたえ)の

 衣(ころも)ほしたり 天(あめ)の香具山




【現代語訳】

いつの間にか、春が過ぎて

夏がやってきたようですね。

夏になると真っ白な衣を干すと言いますから、

あの天の香具山に

(あのように衣がひるがえっているのですから)。



『百人一首講座』より





卑弥子さんも知っているように、これは『万葉集』に載っている持統天皇の有名な和歌なのですよ。



ええ。。。 存じ上げておりますわ。

でもねぇ~、上のような現代語訳では全く面白みがないのです。。。 万葉集の編集者である大伴家持は、上のような意味でこの和歌を取り上げたのではないと僕は信じています。

つまり、本当の意味は別のところにあるとデンマンさんは信じているのでござ~ますか?

そうですよ。

でも、たいてい、当たり障りのない上の現代語訳が持統天皇の上のお歌の意味だということになっているのでござ~ますわ。

だから、『万葉集』を読む人が少ないのですよ。。。 あのねぇ~、万葉集には歴史的な意味が込められた和歌が、実は、たくさん載せられているのです。。。 万葉集には藤原氏、あるいは、当時の実力者に対する批判が込められた和歌がたくさん載せられている。。。 そのような観点から歌の意味を考えると実に面白い読み物なのですよ。

。。。で、デンマンさんによると上のお歌の意味はどのようになるのでござ~ますか?

上の歌の本当の意味を探るには、まず次のニュースを読む必要があるのです。


 (すぐ下のページへ続く)




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