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チョコレートと軍産複合体(PART 1)

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チョコレートと軍産複合体(PART 1)







ケイトー。。。、なんだか物騒な画像を貼り付けたじゃないの。 チョコレートと軍産複合体がマジで関係あるの?



関係あるから、こうしてチョコレートと軍産複合体を一緒に取り上げたのですよ。

でも、チョコレートが戦争と関係あるなんて、とっても考えられないわ。

僕だって初めは、シルヴィーのような印象を持ったものですよ。 とてもチョコレートが戦争と関係あるようには思えなかった。

でも、関係あるの?

そうなのですよ。 シルヴィーはチョコレートの原料が何であるか知ってる?

その程度のことなら知っているわよ。 カカオでしょう!

そう。。。カカオ豆は、ココアやチョコレートの原料になる。


カカオ


(cacao2.jpg)

樹高は4.5 - 10メートル程度。
生育には、規則的な降雨と排水のよい土壌、湿潤な気候が必要である。
標高約300メートル程度の丘陵地に自生する。
中央アメリカから南アメリカの熱帯地域を原産とする。
樹齢4年程度で開花し、直径3cm程度の白い(品種によって赤〜黄色味を帯びる)幹生花を房状に着ける。
結実率は1%未満。
花期は原産地では周年、栽培地では気温による。
日本では5月以降に開花することが多い。

果実は約6ヶ月で熟し、長さ15〜30cm、直径8〜10cmで幹から直接ぶら下がる幹生果で、カカオポッドと呼ばれる。
形は卵型が多いが、品種によって長楕円形、偏卵型、三角形などで、外皮の色も赤・黄・緑など多様である。
中に20〜60個の種子を持ち、これがカカオ豆 (cacao beans)となる。
種子は40〜50%の脂肪分を含む。
果肉はパルプと呼ばれる。

収穫期は産地によって異なるが、概ね年2回で乾期と雨期に行われ、収穫された果実は果皮を除いて一週間ほど発酵させ、取り出されたカカオ豆は、ココアやチョコレートの原料とされる。

歴史

原産地である熱帯アメリカでは紀元前1900年ころから利用され、やがて栽培食物とされていた事が、グアテマラのリオ・アスール遺跡など、マヤ文明、アステカ遺跡の土器、壁画、石碑から判っている。
1502年、コロンブスは第四次航海で現在のホンジュラス付近でカカオの種子を入手し、スペインへ持ち帰っている。
もっとも利用法が不明で、その価値に気付いた者はなかった。

1519年、コンキスタドールエルナン・コルテスがアステカでカカオの利用法を知り、帰国後国王に献上した。
砂糖や香辛料を加えたショコラトル(チョコレート)は上層階級に歓迎され、1526年にはトリニダード島に栽培地が建設された。
フランスにはスペインから嫁いだ王妃アンヌ・ドートリッシュが広めた逸話があり、17世紀にココア飲料が流行し、1660年代にマルティニークでの栽培を開始した。

その後もカカオ栽培は拡大し、1830年頃から西アフリカのポルトガル領サントメ島などで栽培されるようになる。
19世紀半ばに中米のプランテーションが病害により生産量が激減すると、アフリカが替わって生産の主体となった。
さらにイギリスが、スペインから租借中のフェルナンド・ポー島(現在の赤道ギニア)でプランテーション経営を始め、1879年には黄金海岸(現在のガーナ)にテテ・クワシが導入している。
1890年代末、フランスが象牙海岸(現在のコートジボアール)で植民地会社を組織し、生産を奨励した。

インドネシアには、1560年にスペインによってジャワ島に伝わっているが、生産が広まったのは20世紀で、特に1980年の市場暴落後の30年で生産を伸ばしている。



出典: 「カカオ」
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』



(africamap2.gif)



子供の頃育ったインドネシアでカカオ豆を見たことがあったので、私はカカオはインドネシアだけで栽培されているものだとばかり思っていたわ。



僕は中南米で栽培されていると思っていたけれど、生産の主体は現在、アフリカなのですよ。 その中でも問題になっているのがコートジボワール(Côte d'Ivoire)。 かつて、日本では「象牙海岸」と呼ばれていた国なのですよ。

どのような問題が起こっているのよ?

たまたま『チョコレートの真実』という本を読んでいたら次のように書いてあった。



(nestle2.jpg)

2005年7月14日、ILRF(国際労働権利基金)は、ネスレ社(Nestlé S.A.)、カーギル社、アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド社を相手取って、カリフォルニア連邦地方裁判所に訴訟を起こした。
告発事由は、アメリカに本社をおくこの3社が、アフリカの原料輸入先でカカオ豆の栽培、収穫に当たる子供たちの、人身売買、拷問および強制労働に関与したというものだ。
集団訴訟の申し立ては、マリ(共和国)の子供たちのために行われた。
子供たちはコートジボワールに売られ、「1日12時間から14時間、賃金もなく、食事や睡眠をほとんど与えられず、頻繁にせっかんされながら、強制労働させられた」。
3人の原告はそれぞれ原告1、2、3と呼ばれた。
ILRFは準備書面で、子供たちの安全のため匿名でなければならないと言っている。

(赤字はデンマンが強調。
読み易いように改行を加えました。
写真はデンマン・ライブラリーより)



256ページ 『チョコレートの真実』
著者: キャロル・オフ (北村陽子・訳)
2007年9月1日 第1版第1刷発行
発行所: 英治出版株式会社




あらっ。。。コートジボワールでマリの子供たちが奴隷のように働かされているの?



この本の著者のキャロルさんは、ユーゴスラビアの崩壊からアフガニスタンにおけるアメリカ主導の「対テロ戦争」まで、世界で数多くの紛争を取材して報道しているジャーナリストとなんですよ。 カナダのCBCテレビ・ドキュメンタリーの制作にもかかわって数多くの賞も受賞している。

信頼できるジャーナリストだとケイトーは言いたいの?

少なくともデタラメを書くような人とは思えない。 だから、上の事実は充分に信用できるものだと僕は本を読んで感じましたよ。

ところで、ILRF(国際労働権利基金)という組織は、どういう団体なのよ?

アメリカで唯一、業界とのパートナーシップという姿勢を拒否したNGOなのですよ。 つまり、業界との金のつながりがない。 だから、これまでにも大企業を訴えている。

たとえば。。。?

エクソン・モービル社、コカ・コーラ社。 2004年にはダイムラークライスラー社を訴えている。 軍事独裁政権のアルゼンチンで、ブエノスアイレス近郊にあるメルセデスベンツ工場の労働組合員9人が行方不明になった。 組合活動を妨害するために抹殺されたのではないか。 ILRFは、その遺族のために訴訟を起こしたのですよ。

外国で起こった事件に対してアメリカの企業を訴えることができるの?

できるのですよ。 このようなところは、とてもアメリカが民主的だと僕は評価しているのだれど、外国人不法行為請求権法(ATCA)という法律があるのです。 この法律によれば、アメリカの市民権がなくてもアメリカ人の国際法違反を問う目的でアメリカ連邦裁判所に訴えることができる。 この法律を使うと多国籍企業を法廷に引っ張り出すことができるのですよ。 グアテマラで起きた5人の労働組合員の事件でも、ILRFは巨大食品企業のデルモンテ社を連邦裁判所に訴えている。

。。。で、チョコレートと軍産複合体がどういうわけで結びつくのよ?

それを説明するにはシモーヌ・ボクボ(Simone Gbagbo)という女性について話さねばならないのですよ。

フランス人なの?

いや。。。コートジボワールで生まれ育った現地人ですよ。 コートジボワールでは「アフリカのヒラリー・クリントン」あるいは「マクベス夫人」とも呼ばれていた。 つまり、2002年当時のコートジボワールのバクボ大統領夫人だったのですよ。


(gbogbo2.jpg)



その夫人が大統領に対して強い影響力を持っていたの?



「マクベス夫人」と呼ばれるほどだから、相当な影響力を持っていたのですよ。

どのように。。。?

あのねぇ〜、シモーヌ・ボクボは熱心な福音主義キリスト教徒なのです。 彼女はアメリカに本部を置く教会に属していた。 この会派はジョージ・W・ブッシュ大統領に近い人々の熱烈な支持を受ける会派なのですよ。 そういうこともあって、バクボ大統領夫婦は頻繁にアメリカを訪れていた。 原理主義の信仰を通じて、同じ信仰を持つアメリカの政界・財界の有力者に近づくことができた。

つまり、ブッシュ大統領ともコネがあるとケイトーは言いたいのね?

その通りですよ。 当然、シモーヌを通してボクボ大統領は「マクベス夫人」の影響を受けたのですよ。

だから、どのように。。。?

次の箇所を読んでみてください。


監査によってCCC(一次産品コンサルティング社)のコンサルタントたちは闇の世界へ足を踏み入れることになった。
浮かび上がった裏世界では、私欲に走る人間たちがうごめき、一方多国籍企業はただカカオが港に届きさえすれば、淡々と事を運んでいた。 
かつてはCAISTAB(カカオ価格安定化公庫)の規制の下で安定した価格が保証され、農民は保護されていた。
それがなくなった今、市場や投機による価格の乱高下にさらされている。
ほとんどの場合、対価の不当な安さは深刻だった。

しかし、世界銀行の肝いりで設立された2つの新機構は、事態を少しも改善できているようには見えなかった。
CCCコンサルタントは、カカオ管理機構の再編案を、農民にもっと有利になるように作成した。
世界銀行とIMFはしぶしぶこれを支持した。
自分たちのやり方がコートジボワールであまりうなく行っていないことを認めたのだ。


(gbogbo3.jpg)

少なくとも当初は、バグボ(大統領 Laurent Gbagbo)がコートジボワールのカカオ業界のあり方を本気で変えたがっているかのように見えた。
政府はカカオ取引と官僚制度について、資料の閲覧や関係者の調査を行う許可を、前例がないほど広範にCCCの調査チームに与えた。
しかし、事情が変わる。
CCCが仕事に取りかかる頃、バグボ政権は本当の性格を現し始めていた。
キーフェル(あるジャーナリストの名前)が期待していたような国民への配慮は消し飛んでいた。
大統領が本性を現したのか、それとも腐敗根絶を約束していたミイラ取りがミイラになったのか。
かつて社会主義者を標榜していたバクボは、いまやエリート主義のウルトラナショナリストとしての姿を現した。

(赤字はデンマンが強調。
読み易いように改行を加えました。
写真はデンマン・ライブラリーより)



284-285ページ 『チョコレートの真実』
著者: キャロル・オフ (北村陽子・訳)
2007年9月1日 第1版第1刷発行
発行所: 英治出版株式会社




つまり、ミイラ取り(バクボ大統領)がミイラになったのは妻のシモーヌの影響だとケイトーは言うの?



その通りですよ。 カカオの生産価格はチョコレート企業の利潤のために最低限に抑える必要があった。 だから、コートジボワールでは児童の奴隷労働が必要不可欠だったのですよ。 しかし、国際的には児童の奴隷労働が許されるはずがない。 いかにこの事実を隠蔽するか? そのことがバクボ大統領にとっては最も重要なことだった。

つまり、バクボ大統領と多国籍チョコレート企業との間に裏取引があったと。。。? 

当然でしょう! バクボ大統領にも金が入る。 しかもコネのおかげで武器も手に入る。 チョコレート企業も低い原料価格によって莫大な儲けになる。 双方にとって Win-Win シチュエーションなのですよ。

でも、これまでの説明では裏付けに乏しいと思うわ。

だったら、次の箇所を読んでください。





いっそう不穏な変化もあった。
北部のイスラム勢力が反乱を起こしたとき、バクボ(大統領)は新たな友人となっていたアメリカ保守派に宣言した。
反乱軍との戦いはイスラム過激派との戦いに貢献するものである。
アメリカに劣らず、「対テロ戦争」に不退転の決意で望むというわけだ。 

(赤字はデンマンが強調。
読み易いように改行を加えました。
写真はデンマン・ライブラリーより)



285ページ 『チョコレートの真実』
著者: キャロル・オフ (北村陽子・訳)
2007年9月1日 第1版第1刷発行
発行所: 英治出版株式会社




判るでしょう? ここにジョージ・ブッシュ大統領との連携がはっきりと見て取れる。



だからと言ってチョコレートと軍産複合体とが結び付くと言うのも飛躍じゃないの?

飛躍じゃありませんよ。 ジューンさんは次のように言っていたのだから。。。




こんにちは。ジューンです。

第41代および第43代米国大統領を生み出した

ブッシュ家は、軍産複合体を生業としてきました。

第43代米大統領の曽祖父のサミュエル・ブッシュは

オハイオ州で兵器を製造していた

バッキー・スティール・キャスティング社を

経営していました。
 
 

 
東京大空襲で焼け野原になった江東区
 
 
祖父のプレスコット・ブッシュは東京大空襲で

大量に使用された焼夷弾である

集束焼夷弾E46の製造を

行なっていたドレッサー・インダストリーズ社に

関与していたのです。

第41代ブッシュ大統領は

このド社の石油部門で働いていたのです。

その後、第41代ブッシュ大統領はCIA長官、

副大統領、大統領時代において、

海外との兵器貿易を押し進めており、

副大統領時代には

イラン・コントラ事件が起きています。

この事実だけを見ても、

「軍産複合体」の動きが見えてきますよね。




『あなたの平和な日々』より
(2011年9月7日)


 (すぐ下のページへ続く)


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