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桜と名女優 (PART 1)

 
 
桜と名女優 (PART 1)
 
 
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Subj:小百合さん、おはよう!

春ですね。

元気にお目覚めですか?

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From: denman@infoseek.jp
To: sayuri@hotmail.com
Cc: barclay1720@aol.com
Date: Thu, Apr 5, 2012 9:51 am
Pacific Daylight Saving Time
(日本時間: 4月6日午前1:51分)


小百合さん、元気ですか?

春ですね。
大長寺の桜も きれいに咲き始めている頃でしょう。

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忍川の堤に二人で並んで座りながら2匹の白鳥を眺めたことがまるで御伽噺の一風景のように思い出されてきますよ。
あんな現実離れした事が本当にあったのだろうか?

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ところで、昔、昔、。。。もう遠い童話のような世界になってしまいましたが。。。
僕が、まだ4つか5つぐらいでしたでしょうか?
僕の親父(オヤジ)が初めて釣りをしたのを見たことがあります。
一人で釣りをするのは間が持たないと思ったのか。。。?
僕の手を引いて小百合さんと並んで座って白鳥を眺めた辺りで釣りを始めたのですよ。
桜が咲いていた頃ではなかった。
でも天気はよかった。
10人以上の釣り人が土手に並んで釣りをしていましたよ。

しばらくして大きなフナがかかりました。
ところが、そのフナを釣上げて手で受け取ろうとしたところで釣竿が真ん中あたりでポキリと折れてしまったのです。
フナはピチピチ跳(は)ねながら水面にポッチャリ!と落ちた。
針を呑んだままだったから、たとえ水に戻っても、あのフナは長くは生きられなかったかもしれない。
親父は大きな獲物を逃して僕の顔を見てテレ笑いというか?苦笑していましたよ。

でも、それ程の後悔はなかったようで。。。
しかし、釣竿が折れて他の釣り人の注目を集めて格好が悪いと思ったのでしょうね。
それで釣りを止めて、僕の手を引いて家に帰ったのです。

親父が釣りをしたのを見たのは、それが初めで最後になりました。
僕は、そんな親父を見たからか。。。?
たぶん、それがトラウマとなったわけではないけれど、
今まで釣りをしたことがないのですよ。
きゃはははは。。。

小百合さんと見た白鳥と。。。
親父が釣り逃がしたフナが。。。なんとなくダブって僕の記憶に戻ってきたのです。

そして。。。バンクーバーの春の記憶と言えば
ロブソン・スクエアに面した美術館の裏の青空喫茶ですよ。

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バンクーバー市立中央図書館に歩いてゆくたびに通る道すがら、晴れた日には決まって目にする青空喫茶が見えてくると、そこのテーブルに小百合さんが座って微笑んでいるのですよ。
現実にはなかった光景なのに、なぜか鮮明に僕のオツムのスクリーンに浮かんでくる。
幻想。。。デジャブ。。。既視感。。。?

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ハローストリートの桜並木にきれいに桜が咲き誇っています。
淡いピンクの花がトンネルを作っているのですよ。
そのトンネルの中を歩いていると、
メルヘンの世界にいるようで。。。、まるで夢の中です。

たまたま図書館で借りた1983年市川崑・監督作品の『細雪(ささめゆき)』を観ました。
映画の初めに出てくる嵯峨野の花見のシーンはきれいでしたねぇ〜。。。

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『細雪』

(The Makioka Sisters)

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バンクーバーで見ると、あの映画の中にきれいな日本が箱庭のようにして見えてくる。
昭和13年と字幕に出ていたけれど、昔の日本が御伽噺のように出てくる。
桜と小百合さんと昔の日本が、メルヘンの中で混ざり合いました。

小百合さんも、しばらくぶりに大長寺で桜の花を見ながらバンクーバーを懐かしんでね。
じゃあ、また。。。

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『桜のメルヘン』より
(2012年4月8日)


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デンマンさん。。。また古いメールを持ち出してきましたわね。 今日は季節外れの桜のお話ですか?

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いや。。。決して季節外れではありませんよ。 館林の「つつじが岡公園」で小百合さんと見た冬桜が懐かしく思い出されてきたのですよ。 うへへへへへ。。。

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 館林 つつじが岡公園

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  冬桜

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取って付けたようなことを言わないでくださいな。。。ところで、「桜と名女優」というのは『細雪』に登場した女優さんのことですか?

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いや。。。『細雪』に登場した女優さんも名優だと言う人がいるかもしれないけれど、桜の花と並ぶような女優さんとなると、なかなか見当たらないですよ。

デンマンさんは桜にこだわるのですか?

いや。。。僕がこだわっているのではなくて、一般に日本人は昔から桜にこだわっていますよ。

つまり、武士道と桜ですか?

平安時代の初めには梅の花を詠んだ歌も多かったけれど、次第に日本人は桜を詠むようになった。 やがて貴族社会から武士の時代になってゆくと、梅よりも桜の方がパッと散る潔(いさぎよ)さに武士の間で珍重されるようになってきたわけですよ。


武士道と桜の花

桜の名所 弘前公園

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新渡戸稲造は、その後欧米の日本観に多大な影響を与え続けた『武士道』を1899年に出版した。
その序文にラフカディオ・ハーン、サトウ、チェンバレンと並べてフレイザー夫人の名を挙げ、これらの人々に混じって日本について英文で記述することは気が重い、と書いている。
サトウやチェンバレンは、日本を情緒的にというよりは、その歴史や風俗を客観的に叙述し、紹介したというのが当たっている。
ハーンはむしろ日本の昔話や怪談を通じて民族的な情緒や精神面に焦点を当てた。
この3人の著書は、その後も日本に関心をもつ人々の読み物として広く流布したが、それに比べればフレイザー夫人の書物は、流通した範囲が限られるように思う。
にもかかわらず、新渡戸稲造がなぜここに名前を挙げて言及したのだろうか。
おそらくしれは、桜への愛着を語り日本びいきの言葉を連ねるフレーザー夫人の叙述に新渡戸稲造が強く印象づけられれ、頭からそのことが離れなかったためではないか。

新渡戸は、この著書の冒頭で武士道を桜の花とともに日本固有の「花」にたとえて語る。
「武士道は、日本の象徴である桜と並んで、同じく日本の土壌に固有の花であります」
このように書き出されている。
フレイザー夫人の桜の記述を新渡戸稲造が意識していたことは間違いない。
新渡戸は、武士道の情緒的な側面を桜の花にたとえて語った。
また本居宣長の「敷島の大和心……」の歌や、国学の比喩を使った。
『武士道』の副題である「ソウル・オブ・ジャパン(日本人の心)」を説明するとき、桜をどうしても引き合いに出さずにはおれなかった。
桜を愛で、花見を楽しみ日本人への共感を叙述したフレイザー女史の英文の書物は、海外へ日本を紹介しようとする新渡戸稲造にとって、大きな意味を持つ参考書だったのである。

日本一長い桜並木多磨霊園・東京

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宮城県の船岡城址公園一目千本桜

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79-80ページ 『花見と桜』
著者: 白幡洋三郎
2000年4月4日 第1刷発行
発行所: PHP研究所


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桜の花がパッと散る潔(いさぎよ)さに日本人の心が共感したということでしょうか?

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武家社会では、そう受け止められたようですよ。 その影響で明治から現在に至るまで桜の花が日本人の心を捉えているのだと思います。

。。。で、その桜の花と名女優が関係あるのですか?

あのねぇ〜、例えば次のような文句があります。

立てば芍薬座れば牡丹

歩く姿は百合の花

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(shakuyaku.jpg)

 芍薬


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(botan2.jpg)

 牡丹


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(yuri02.jpg)

 百合

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美人を形容する時に使う文句ですよ。 小百合さんも知ってるでしょう!?

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ええ、もちろん知ってますわ。

どの花もきれいですよ。 でもねぇ「お花見」と言ったら日本人は芍薬や牡丹や百合の花を見に行くわけではない。 やっぱり桜の花を見に行くのが決まりのようになっている。 なぜか?

いつまでも咲いてないで散りぎわがきれいだからですか?

そうですよ。 もう花が萎(しお)れて枯れそうになっているのに、いつまでも木の枝にしがみついているように咲いているのは哀れを催(もよお)しますよ。 なんだか見る方が惨(みじ)めな気持ちになってしまう。 その点、桜の花はそのようなこだわりがない。 風が吹いて桜の木から花びらが一斉に吹き零(こぼ)れるのは、見ていても清々(すがすが)しくて潔(いさぎよ)いものを感じますよ。 小百合さんもそう思いませんか?

要するに名女優も桜の花のようでなければならないとデンマンさんは言うのですか?

その通りですよ。

。。。で、デンマンさんの思っている名女優とはどなたなのですか?

原節子さんですよ。


 (すぐ下のページへ続く)


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