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エロチカ平家物語(PART 1)

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エロチカ平家物語(PART 1)




(tokuko05.jpg)



デンマンさん。。。 どうして急に「エロチカ平家物語」なのでござ〜♪〜ますか?



いけませんか?

だってぇ、見え透いておりますわ。 「エロチカ」でネット市民の皆様を引き付けようとしているのでざ〜ますわア。

そのようないけ好かない事を僕が考えると卑弥子さんはマジで思っているのですか?

だってぇ、それ以外に考えられませんわ。

つまり、卑弥子さんは僕がエロい男だと信じ込んでいるのですね?

あらっ。。。 そのような当然の事をお聞きあそばさないでくださいましなァ。 うふふふふふ。。。

うふふふふじゃありませんよ! 笑いで誤魔化(ごまか)す日本人の悪い癖を出さないでくださいよ。

そのような事よりも、どうして「エロチカ平家物語」というようなショッキングなタイトルを掲(かか)げたのでござ〜ますか? ご説明してくださいな。

あのねぇ〜、僕は『平家物語』を上下巻とも、じっくりと読み返しているのですよ。


(lib21228.gif)



あらっ。。。 バンクーバーの市立図書館から、まだ同じ本を借りているのでござ〜ますか?



いけませんか?

ケチらないで買って読んで下さいましな。

図書館で読めるのだから、わざわざ買うこともありませんよ。 僕は本を買わない主義なのですよ。

どうして。。。?

買い始めるときりが無い。 私設図書館を作るようなものですからね。 (微笑)

。。。で、英語で書かれた『平家物語』を読んでいるのでござ〜ますか?

もちろん日本語ですよ。 日本語の現代語訳で書かれた『平家物語』ですよ。 かつて高校の古文の時間に先生が『平家物語』を教材にしたことがあるのです。 でもねぇ、その時、難しいという印象があったから、僕は投げ出してしまったのですよ。 だから、ずいぶん長いこと読んでなかったのですよ。

それで、現代語訳ならば読めそうだと思って読み始めたのでござ〜ますか?

そうです。

。。。んで、エロチカが出てくるのでござ〜ますか?

出てくるわけないでしょう!

だってぇ〜、「エロチカ平家物語」というタイトルにしてあるじゃござ〜ませんか!

あのねぇ〜、『平家物語』の中にはエロチカは出てこないのですよ。 どちらかというと『平家物語』には陰惨な雰囲気が込められているのですよ。

陰惨な雰囲気でござ〜ますか?

そうです。 もともと琵琶法師が語り継いだと言われているのですよ。 だから、次のビデオクリップを見ればわかるけれど、「エロチカ」とはかけ離れた陰惨で悲しい響きが伝わってくるのです。

平家物語 祇園精舎

(By 岩佐鶴丈)

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あらっ。。。 ホントですわねぇ〜。。。 なんだかお化けが出てきそうな雰囲気でござ〜ますわァ。 うふふふふふ。。。



そやってぇ、笑いで誤魔化さないでくださいよ。

そんな事より、どうして陰惨な悲しい物語が「エロチカ平家物語」になるのでござ〜ますか?

あのねぇ〜、次のような川柳があるのですよ。


(tokuko02.jpg)

義経も 母をされたで 娘をし



あらっ。。。 やらしい川柳ですわ。。。 うふふふふふ。。。



卑弥子さん。。。 川柳というものはどこか、やらしいものですよ。 それよりも卑弥子さんには、この川柳の意味が理解できますか?

デンマンさん。。。 あたくしは、こう見えても京都にある女子大学で腐女子に「日本文化と源氏物語」を講義している橘卑弥子・准教授ですわよう。 この程度の川柳が理解できないと教職を追われてしまいますのよう。

ほォ〜。。。 そういうものですか? じゃあ、上の川柳が一体どういう意味なのか腐女子にも分かり易く説明してください。

上の川柳の出どころは1776年〜1801年頃に刊行されたという川柳集『誹風末摘花』ですわ。 同じようなエロい川柳に次のようなものが載っておりますわ。



門院は 入水のほか 濡れたまい



牛若の 目がさめますと 常盤(ときわ)言い


牛若の目がさめます

義経の幼名は牛若丸であり、母は常盤(ときわ)という。
常盤は平清盛に敗れた源義朝の妾である。
義朝との間に、三人の男児を生んだ。
七歳の今若、5歳の乙若(おとわか)、そして一歳の牛若を連れ、逃げ隠れていたが、老母が清盛に捕えられ、むごい目にあっているのを聞いて、子どもと共に自首して出た。
義朝憎しで、一族全滅を遂行していた清盛は、常盤をひと目見たとたん、カッ、と頭から熱を発した。
何しろ、「常盤と申すは日本一の美人なり」(『義経記(ぎけいき)』)
年恰好からいって、色気もふんぷんだったろう。
のぼせ上がってしまったのである。


(bond911.jpg)

清盛は、子の助命を願う常盤に、条件を出した。
自分に従うなら、助けてやってもよい。
舌なめずりしながら迫ったことであろう。
常盤は三児の将来に希望を託し、応諾した。

そこで、川柳子の登場である。
「牛若の 目がさめますと 常盤言ひ」
「義朝と おれとはどうだ などとぬれ」

この川柳をもっと露骨な文章に仕立てたのが、春本である。


(yoshitsu05.jpg)

(読み易いように改行を加えました。
イラストと写真はデンマン・ライブラリーより)



28-29 ページ 『春本を愉しむ』
著者: 出久根 達郎
2009年9月20日 第1刷発行
発行所: 株式会社新潮社

『色欲は歴史を変える』に掲載
(2012年6月23日)




あれっ。。。 卑弥子さんは、エロい川柳に詳しいのですねぇ〜。。。



それほどでもありませんわよ。 おほほほほほ。。。んで、義経も 母をされたで 娘をしがどういう意味かとゆうとォ〜、源義経のお母さんの常盤御前(ときわ ごぜん)を、平清盛が妾とした仕返しに、壇ノ浦の戦いで義経さんが助けた建礼門院(けんれいもんいん)を、お布団の中に誘い込んでエッチしたと言うのでござ〜ますわ。 おほほほほ。。。 この建礼門院は平清盛の娘で、のちに高倉天皇の奥さんになった女性ですう。 つまり、壇ノ浦の戦で亡くなった安徳天皇のお母さんですのよォ。


(tokuko03.jpg)

寂光院と建礼門院

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なるほどォ〜。。。 卑弥子さんは『源氏物語』ばかりではなく、『平家物語』にも詳しいのですね。 しかも江戸時代の川柳まで知っていたとは僕は改めて卑弥子さんのエロ知識に感心しましたよ。



そんな事より、どうして「エロチカ平家物語」というタイトルにしたのでござ〜ますか?

だから、「火の無い所に煙は立たず」と昔の人は言ったでしょう! つまり、『平家物語』の中にエロチカの炎がチロチロと燃えているはずだと僕は思ったわけですよ。

それで、その箇所を探したのでござ〜ますか?

そうです。

デンマンさんもけっこう物好きで暇人なのですわね。。。で、その箇所が見つかったのでござ〜ますか?

見つかりましたよ。 読んでみてください。


 (すぐ下のページへ続く)





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