憂国と英語(PART 2)
あんさんも、つまらない映画やと思うていやはるのォ?
いや。。。わてにはベスト20に入る映画やとマジで思えるでぇ〜。
それなのに、“Tj2C”という人物は、どないな訳でつまらん、と言わはったのやろか?
あのなァ〜、この人物は映画の内容だけのことしか観ておらんのや。 つまり、歴史的背景を知らんのや。
歴史的背景。。。?
そうや。。。上で引用した「三島由紀夫の世界」の事も知らんと思うのや。 それに、日本の戦前と戦後の変わり方も知らへんと思うのや。
世界の平和のための戦争?
四大節(四方拝、紀元節、天長節、明治説)の式典ではこの校庭で、「君が代」斉唱と「日の丸」掲揚で式が始まりました。 教頭が奉安殿から教育勅語をおもむろに取り出し、頭上高く持ち歩きます。 壇上の校長にうやうやしく渡すと、緊張の糸がほぐれて、私はついクスッと笑ってしまいました。 そのとき、先生は私を思いきり殴りました。
陛下は生き神様で日本は神の国だから戦に一度も負けたことがないといいます。 大東亜戦争はアジア、世界の平和のための戦争だと言いました。 陛下のために命を惜しまず奉公するのは名誉なことで、軍人になることが日本男子の本懐だと徹底的に教育されたのです。
そういって強制した教師ほど戦後民主主義にさっさと鞍替えしました。 私はその変わり身の早さに打ちのめされた記憶があります。 権力に対して冷静に、勇気を持って批判できる教師、世界の動きに敏感で賢く判断できる大人がもっといたなら、沖縄戦の悲劇も、広島、長崎の悲惨も回避して戦争を終えることができたのかもしれません。
(注:写真はデンマン・ライブラリーから貼り付けました。
赤字はデンマンが強調)
67 - 68ページ
『良心的「日の丸・君が代」拒否』
2004年8月31日 初版第2刷発行
編者: 不当処分解雇撤回を求める会
発行所: 株式会社 明石書店
実は、三島さんは10代の頃に純粋な軍国少年として教育を受けたのや。 つまり、上の文章を書いた人と同じような経験をしたのやがなァ。 要するに、三島さんも大人たちの変わり身の早さに打ちのめされたのやがな。 しかも、三島さんの世界は昭和20年8月15日、敗戦の日で終わったと言うほどの衝撃だった。
“Tj2C”という人物は、そのような事が分からへんから“つまらん!”と思うたのォ?
わては、そう思うでぇ。 この人は映画の表面的な事しか見ておらんのや。 台詞も無い映画やったから他の映画と比べたらマジで“つまらん!退屈な映画だ!”と思うたのやろう!? でもなァ、この人がもし近代・現代日本史の知識があったら、もう少しじっくりとDVDを観たと、わては思うねん。 実は、このDVDには映画よりも長い三島さんのインタヴューが載せられていたのや。 50分ぐらいの長い質疑応答やった。
どういう内容やの?
驚いたことに三島さんが英語で話しているのや。 その質疑応答というのは東京で開かれた海外特派員クラブでのものや。
三島さんが英語でしゃべりはった事が、あんさんにはそれほど驚きやったのォ〜?
そやかてぇ、三島さんが10代で戦前の教育を受けた頃には、英語は「敵性外国語」として、その当時の日本帝国では英語は教えられてなかったのやでぇ。 三島さんは確か20歳の時に終戦を迎えたと言っていたと思う。 そやから、三島さんの話す英語を聞きながら、わてはマジで驚いたのやがな。 三島さんは英語で次のようなことを言っていた。
私は10代のときに軍国少年になった。
この時に“至誠”に目覚めた。
しかし、終戦を20歳で迎えた私は
軍国の大人たちによって、それまでの世界を壊されてしまった。
『葉隠』の著者が自決もしないで長生きしたのを私は知っている。
しかし、私の「今一つの世界」は『葉隠』の世界に近い。
私にとって理想だけれど、一般の日本人にとっては時代錯誤の世界かもしれない。
たぶん、理解できないし、理解したくもないだろう。
それほど三島さんは英語をペラペラと話しはったのォ?
英語圏で3年以下しか暮らしたことが無い日本人には、三島さんの話し振りはペラペラと英語を話すように聞こえると、わてには思えるでぇ〜。 三島さんの経歴を確かめたけれど、どのように調べても通算で3年以上英語圏で暮らしたことがないねん。
要するに三島さんの英語力はそれ程すごいと、あんさんは言わはるの?
そうやな。 三島さんは英語を学校で勉強する機会は無かったと思うのや。 そやから独学で英会話を習ったとしたら、あれだけしゃべれれば、すごいでぇ〜。。。もし、“Tj2C”という人物が三島さんの英語のインタヴューを聞いていあたら、“つまらん!退屈した!”なんて言わなかったと、わてには思えるねん。 もしかすると、三島さんが実際に自決したのも、その人は知らなかったかも知れへん。
【レンゲの独り言】
ですってぇ~。。。
誰でも「今一つの世界」を持っているのかも知れませんよね。
実は、あたしにもありますわ。
ええっ? どんな世界かってぇ。。。?
現実の世界は、なかなか思うようになりません。
あたしの「今一つの世界」は“愛とメルヘンの世界”です。
落ちこんでいる時など、その“癒しの世界”で、しばしの安らぎを得るのが、あたしのささやかな楽しみです。
ところで「今一つの世界」をどのように実現するか?
ある人にとっては空想のままでよいのかもしれません。
あたしの場合も、強(し)いて実現させようとは思いません。
でも、三島さんは「今一つの世界」を実現させようとしたのですよね。
それで、あの悲劇を生んでしまった。
あたしは、そのように感じています。
あなたは、どう思いますか?
とにかく、次回も面白くなりそうですわ。
あなたもどうか、またあさって読みに戻ってきてくださいね。
では、また。。。
メチャ面白い、
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こんにちは。ジューンです。
20代の三島由紀夫の短編に『ラディゲの死』があります。
若き日の三島は、堀口大學が訳した
『ドルジェル伯の舞踏会』を読んで
感銘を受けたそうです。
『ドルジェル伯の舞踏会』は、
ラファイエット夫人が書いた
『クレーヴの奥方』を参考にして、
高度に文学的な手腕で換骨奪胎し、
別の次元の「フランス心理小説の傑作」に
ラディゲが仕立て上げました。
「夭折の天才」の名にふさわしい
文学的実力の持ち主であったことが
『ドルジェル伯の舞踏会』を読むと理解できます。
三島も、この本を読んで自己同一化する程、
多大な影響を受けました。
それで書いたのが『ラディゲの死』と言われています。
ところで、卑弥子さんが面白い記事をまとめました。
楽しいから、ぜひ読んでみてくださいね。
■ 『笑って幸せな気分になれるサイト』
では、今日も一日楽しく愉快に
ネットサーフィンしましょうね。
じゃあね。