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妻の不貞(PART 2)

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妻の不貞(PART 2)



『鑓の権三重帷子』


(ken302.jpg)

出雲の国、松江藩の表小姓に笹野権三(ささの ごんざ)という武士が居た。
器量がよく、槍さばきのみごとさでは右に出る者もない。
その上、茶の道にも通じていた。
彼は同家中の川側伴之丞の妹・お雪と末は夫婦と契っていたが、一日も早い祝言をと迫るお雪ほどには、性急に一家を構える情熱はなかった。

その頃、江戸表から、主君に御世継が誕生したと吉報が届いた。
国許では近隣の諸国一門を招き、振まいの馳走のため、「真の台子」の茶の湯がなされることになった。
「真の台子」とは茶の湯の極意のこと、茶の道で名を成せば立身出世の道も開ける。

権三と伴之丞の茶道の師、浅香市之進が、主君の供で江戸詰、国許は留守とあって、両人のうち一人が殿中饗応の「真の台子」を勤めることになった。
権三は「真の台子」の伝授方を、市之進の妻・おさゐに懇願する。
おさゐは伝授の替わりに、娘の菊を貰ってくれと権三に頼みこみ、彼は承諾する。
権三と入れちがいに、浅香家を訪れたお雪の乳母は、そんなこととは知らず、おさゐに権三とお雪の関係を打明け、その仲人を頼み込む。

その夜ふけておさゐを訪ね、伝授の巻物を披見した権三は、お雪のことで嫉妬するおさゐの狂態に悩まされ、帯を庭先に放り出される。
その帯は、お雪が権三に贈ったものだった。
帯はかねてからおさゐに言いより、色仕掛けで伝授の巻物を奪いとろうと庭先に忍びこんでいた伴之丞に拾われた。
不義密通を叫ぶ伴之丞。
世間への申訳も立たず、やむなくふたりは屋敷を出て、あてもなく逃れていく。
事件を知ったおさゐの弟・甚平は、遁走した伴之丞を追い、その首を討つ。

帰国した市之進は、息子・虎次郎を他家へ預け、菊とその妹・捨を、おさゐの諸道具と共に舅の岩本忠太兵衛方へ送りつけ、妻敵討ちの旅に出た。
手に手をとって逃げるおさゐと権三は、京都三条大橋に着いた。
権三は不義者として市之進に斬られる覚悟。
おさゐはどうせ冥土へ行くのなら、権三と夫婦の契りをかわしてからと、旅篭で激しく愛しあう。

宇治の川岸にかかる橋の上で、ふたりはついに市之進と出会った。
そして、彼の刀に倒れるのだった。




この作品は有名で篠田正浩が監督して『鑓の権三』という映画にもなった。

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また文楽でもたびたび上演されている。 もともと、近松門左衛門は浄瑠璃の「世話物」として、この作品を書いたのですよ。

文楽「鑓の権三重帷子」

<iframe width="500" height="350" src="http://www.youtube.com/embed/wKgyqrRXYD4" frameborder="0" allowfullscreen></iframe>



。。。んで、この作品がどうだと言うのでござ〜ますか?



あのねぇ〜、笹野権三(ささの ごんざ)はライバルの伴之丞の悪意によって、事実はそうでないにもかかわらず不義密通をしたことになってしまった。 もし、“おさゐ”がマックファーレンさんのエピソードの中の女のようであれば、親戚の主だった人々を家に呼んで、すべてを洗いざらい話して身の潔白を訴えるはずなのですよ。 それでも、夫が疑ったならば、その場で懐剣(かいけん)を取り出し、自分で自分の喉(のど)を掻き切って果てたのですよ。 ちょうど、女が欄干から身を乗り出して飛び降りて死んだように。。。

“おさゐ”はそうしませんでしたわね。

そうしませんでしたよ。 夫には、とても信じてもらえないと思い、“おさゐ”は権三と手に手をとって逃げ出してしまった。 しばらく逃げ回っていたのだけれど、やがて夫に見つかるだろうと覚悟を決める。 そして、その晩、“おさゐ”はどうせ冥土へ行くのなら、権三と夫婦の契りをかわしてからと、旅篭で激しく愛しあったのですよ。 マックファーレンさんの貞節のエピソードも『鑓の権三重帷子』の話も、ともに、いわば“小説”なのですよ。 でもねぇ、“おさゐ”の方が現実の女に近いのですよ。 そう思いませんか?


【小百合の独り言】



ですってぇ〜。。。
あなたは、どう思いますか?
近松門左衛門さんによると、作品というのは現実と虚構を混ぜ合わせることで、実話以上に人の心を揺り動かすことができると言いました。

さて、あなたは、マックファーレンさんの貞節エピソードと『鑓の権三重帷子』のどちらに、より心を揺さぶられましたか?
私は、どちらも無情・非情なお話だと思いますわ。
ハッピーエンドに終わらないエピソードには、イマイチ馴染めませんわ。

ところで、私の祖先は百済から難民としてやってきたのです。

ええっ。。。? どうして、そのようなことが解ったのかってぇ〜。。。?
実は、デンマンさんに教えていただいたのですわ。
それまで全く知りませんでした。

百済から当時の平城京(現在の奈良市)に行ったようです。
でも、土地があまりなさそうなので開拓団に加わって、デンマンさんの祖先と一緒に武蔵国まで行ったのですってぇ〜。

ええっ。。。? 「それはデンマンがでっち上げた御伽噺」だとおっしゃるのですか?

とにかく、私の実家は館林にあるのですわ。
デンマンさんのご実家から車で20分から30分です。
ホントに、目と鼻の先です。

そのような近くに住んでいたのにデンマンさんと私は日本で出会ったことがなかったのです。
不思議な事に、私がデンマンさんに初めてお会いしたのはカナダのバーナビー市でした。
私が13年間借りていた“山の家”で巡り合ったのですわ。



バーナビー市というのはバンクーバー市の東隣にある町です。
上の地図の赤い正方形で示した部分を拡大すると次のようになります。



この地図の Deer Lake (鹿の湖)の畔(ほとり)に私が借りていた“山の家”が会ったのですわ。







この家でデンマンさんと15年ほど前に初めてお会いしました。



この上の写真は、デンマンさんがコラージュしてでっち上げたのですけれど、ちょうど、このように寅さんのような格好をしていたのですわ。
うふふふふふ。。。
それだけに、私は強烈な第一印象を持ちました。

でも、どうして私の祖先とデンマンさんの祖先が一緒に百済からやって来たの?

私にはよく理解できなかったのです。
デンマンさんは、おっしゃいました。

DNA に“海外飛躍遺伝子”が焼きついているのですってぇ。
デンマンさんと同じようにして、その DNAの飛躍遺伝子が1400年の眠りから覚めて、私は館林から佐野を経由してカナダのバーナビーに渡ったのです。
そして、デンマンさんと“山の家”で出会ったのでした。

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