なぜ唐に留まったの?(PART 3 OF 3)
つまり、玄理さんも唐と日本が連合することを勧めたので天智帝や新百済派の人たちに憎まれて暗殺されるかもしれないと思ったのでござ〜ますか?
いや。。。 それだけじゃない。 実は、天智帝の首席補佐官の立場にいたので知りすぎていたのですよ。
何を出ござ〜ますか?
645年9月12日に古人大兄皇子(ふるひとのおおえのおうじ)が謀反を企てているということで殺されたのですよ。
マジで。。。?
あのねぇ〜、古人大兄皇子は中大兄皇子(後の天智天皇)の異母兄なのですよ。 蘇我馬子の娘である法提郎媛(ほていのいらつめ)と舒明天皇との間に生まれた。 だから有力な皇位継承候補だった。 ところが「乙巳の変」で蘇我入鹿と、その父親の蘇我蝦夷が死んで後ろ盾を失ってしまった。 だから天皇になる野望を捨てて古人大兄皇子は出家して吉野に隠棲していたのです。
それなのに中大兄皇子は謀反を企てているということで古人大兄皇子を死に追いやったのでござ〜ますか?
その通りですよ。 中大兄皇子の反対派が古人大兄皇子を担(かつ)ぎ出そうという動きもあった。 玄理さんは天智帝の首席補佐官だから、そういう事も知る立場にあった。 また、649年3月25日には蘇我石川麻呂が中大兄皇子の陰謀にかかって自殺に追いやられたのですよ。
事件の真相を玄理さんは知っていたのでござ〜ますか?
もちろんです。 その内、653年6月に玄理さんと同じように国博士として政治顧問に任命されていた僧の旻(みん)さんが亡くなった。
刺客に毒殺されたのでござ〜ますか?
いや。。。 病死したことになっている。 孝徳天皇は旻(みん)さんを厚く信頼し、病床に就いた時には、わざわざ見舞に行ったというのですよ。 そして、その孝徳天皇は654年の10月10日に亡くなっているのですよ。
中大兄皇子の謀略によって孝徳天皇は殺されたとデンマンさんは上に引用した記事の中で書いていましたわね。
僕はそう見ているのですよ。
つまり、中大兄皇子は権力欲と猜疑心の塊なのでござ〜ますわね!?
そう思われても仕方がないのですよ。 それで、知りすぎている玄理さんは、もしかすると。。。と心配になってきたわけですよ。 同僚の旻(みん)さんは亡くなってしまった。 知りすぎている者は自分一人になってしまったわけですよ。 もしかすると自分もやられてしまうのではないか? そういう時に。。。654年に遣唐使の話が持ち上がったわけですよ。
それで遣唐使の長官になって唐に逃げたというわけでござ〜ますか?
そうですよ。 本来ならば、天智帝の首席補佐官の立場にあるのだから、退職してからも悠々自適な生活が待っているはずなのですよ。 でもねぇ、天智帝の権力欲と猜疑心を考えると、玄理さんは日本に戻るよりも唐に留まる事を選んだようです。 日本での悠々自適な生活も、命あってのものだねですからね。。。
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【小百合の独り言】
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ですってぇ〜。。。
どうですか?
天智天皇は権力欲と猜疑心の塊だと思いますか?
人間的には、あまり好まれなかったようですわね。
ええっ。。。 どうしてかってぇ〜。。。?
額田王(ぬかたのおおきみ)は後に天武天皇となる大海人皇子(おおあまのおうじ)の妻でした。
十市皇女を生んでから、大海人皇子の兄である中大兄皇子の妻になったと言われています。
その後、額田王と大海人皇子は次のような歌のやり取りをしているのですわ。
•茜指す 紫野行き 標野行き
野守は見ずや 君が袖振る
(巻1・20・額田王)
•紫の 匂へる妹を 憎くあらば
人妻ゆゑに 我恋ひめやも
(巻1・21・大海人皇子)
つまり、人妻になった後でも 額田王は大海人皇子に心惹かれている様子なのですわよね。
要するに、万葉集の編者が 天智天皇は権力欲と猜疑心の塊だと言わせているようなものですわ。
そう思いませんか?
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