バンクーバー暴動(PART 1)
Subj:小百合さん、おはよう!
バンクーバーは花嫁の6月ですよ。
きゃはははは。。。
From: denman@coolmail.jp
To: sayuri@hotmail.com
Cc: barclay1720@aol.com
Date: Thu, Jun 16, 2011 12:43 pm.
Pacific Daylight Saving Time
日本時間:6月17日(金曜日)午前4時43分
小百合さん元気ですか?
バンクーバーは素晴らしい6月日和ですよ。
日本は、たぶん梅雨の真っ最中だと思うけれど、
バンクーバーの6月は“ジューンブライド(6月の花嫁)”という言葉にふさわしい。
結婚式を予定する人が多い月ですよ。
今朝もすがすがしい雲一つない快晴の空でした。
でもね、夕べは大変だったのですよ。
恒例のアイスホッケー・スタンレー・カップの決勝戦の最終戦が行われたのですよ。
アメリカのボストンのチームとバンクーバーのカナックスの対戦でした。
1994年にもバンクーバーのカナックスが決勝戦に進出したのだけれで、
負けたのですよ。
17年ぶりにスタンレーカップを手にするかどうかということで
バンクーバー市民は盛りあがったのです。
昨日も例によって僕は中央図書館に午前10時にやって来て
3時20分まで記事の草稿を書いて
"Uncorruptible"という英語の記事を投稿したのですよ。
■"Uncorruptible"
(2011年6月15日)
投稿し終わってから外に出たのだけれど、
最終戦を野外モニターで見ようという群集が図書館の外に集まていて、すごい騒ぎでした。
図書館を出てすぐに検問所があてセキュウリティの係員が持ち物をチェックしていた。
何事か!?と一瞬ギクリとしましたよ。
爆発物だとか花火や火薬類を調べていたようです。
後になって振り返れば当然の処置だと思ったけれど、
その時にはオーバーだと思いましたよ。
僕のカバンも調べられました。
とにかく、図書館の周りの道路は封鎖されて、検問所が設けられ
若者は行列に並んで検問の順番を待っているのでした。
検問所を過ぎると道路の上に座り込んで、多分、何千人という人間が当たり一面にたむろしているのですよ。
カナックスのユニホームを着て月光仮面のようなマントまで着て、
顔に化粧をしたり仮面をかぶったり、
あるいは仮装をしたり、
この盛り上がりようは日本では、ちょっと考えられないのではないか!?
とにかく異様な空気でしたよ。
僕はデンマン・ストリートのJoe Fortes Libraryへ向かって30分ほどかけて歩いたのだけれど、
ダウンタウンの通りは平日(水曜日)にもかかわらず、いつもの3倍ぐらいの人が出ていました。
この人たちもカナックスのユニホームを着て月光仮面のようなマントまで着て、
顔に化粧をしたり仮面をかぶったり、
また仮装をしたりしていた。
若者のグループは車に乗って、クラクションを鳴らして景気をつけている。
まるでお祭り騒ぎですよ。
試合が始まるのは5時ごろですよ。
その2時間前にはダウンタウンは、すでにひどい賑わいでした。
僕は4時にJoe Fortes Libraryのパソコンを使うように予約してあったので
それに間に合うように出かけたわけです。
30分ほど歩きました。
1時間ほどネットをやって記事の参考資料などを調べて、
それからJames Herriot さんの All Creatures Great & Small のDVD を閉館(水曜日は午後6時)まで観たのです。
分館を出てウェストエンド・コミュニティセンターのロビーを通ってマンションに行こうとすると
ロビーのテレビの前に 50人ほどの人だかりですよ。
いつもは多くても5,6人だけです。
いつもの10倍ですよ。
とにかく、バンクーバーの町はカナックス・ファンの町のようになっていたのです。
僕はテレビを持ってないし、アイスホッケーには興味がない。
もちろん、スキーもスケートもホッケーもやるのは好きだけど、
人がやるのを見る時間があったら本を読んでいた方が性分に合っている。
それで、夕食をとってから図書館で借りてきた小倉千加子さんの『「赤毛のアン」の秘密』を読み始めた。
いつものようにCNNのローカルラジオ放送をつけっぱなしにしていた。
カナックスはボストンのチームに負けたようだ。
どうして分かるの?
これまで試合に勝つと通りを走る車はクラクションを鳴らしっぱなしにするし、
通りを歩く人は大声を挙げたり嬌声を発して勝利を祝うのですよ。
静かな通りの様子に、最終戦には負けたという事は分かったけれど、
夜の9時半ごろになってCNNのアナウンサーが興奮した状態で報道を始めた。
中央図書館の周りで暴動が始まったらしい。
つまり、カナックスが負けたので熱狂的なカナックス・ファンが車をひっくり返して火をつけたり、
ビルや店の窓ガラスを割ったりしてウサを晴らしている。
その内、4箇所から火の手があがったらしい。
街に出た実況中継のアナウンサーが
「警察が群衆に催涙弾を投げている」とか、
「ビンの欠片(カケラ)が当たって顔中が血だらけになっている人が歩いてくる」とか
「黒い煙があがっている。。。こんなことは見たことない!」とか叫んでいる。
それで本を投げ出して、僕はマンションの窓のそばによって外を見た。
中央図書館は見えないけれど、その上空は見渡せる。
確かに黒い雲が上空に伸びて、それが緩やかな風に吹かれてスタンレーパークの方向に2キロぐらい靡(なび)いている。
僕のマンションの北の空に黒い煙が靡いているのがはっきりと見えるのですよ。
すでに9時半を過ぎて、空はかなり暗くなってきていた。
でも、真っ暗ではない。
ダウンタウンの上空に報道機関のヘリコプターがキラキラと色とりどりの光を点滅させながら4機も舞っているのですよ。
ヘリコプターがグルグル飛び回る音が聞こえてくる。
ラジオのCNNからは、そのヘリコプターの1機に乗っている女性アナウンサーが実況放送をしているのですよ。
「群集はジョージア・バイアダクトの方向に動いていますう」
「少なくとも4箇所から火の手が見えますわア」
「シアーズ(SEARS)デパートの窓ガラスを割って一部の群衆が品物を盗み始めているようですウ」
女性アナウンサーが興奮して叫んでいるのですよ。
全く、アクション映画を見ているような気分になりました。
もう、本を読んでいる気分になれない。
CNNの実況放送を聴きながら
外を飛んでいるヘリコプターを見たり黒い煙がたなびいているのを見つめる。
アクション映画『ダイハード(Die Hard)』を観るような臨場感がちょとしましたよ。
その内、市役所で記者会見が開かれて、その模様を実況中継する。
消防署の所長がインタビューに答える。
そう言う訳で僕は午後9時半から午後11時半までラジオのニュースに聴き耳をたてました。
さて、夕べの騒ぎが無かったかのように今朝は平穏に目覚めて
9時半にマンションを出のですよ。
夕べの騒ぎだから酷(ひど)い事になっているのではないか!?
道路は封鎖されたままになっているのではないか?
でもラジオのニュースを聴く限り、道路が封鎖されているとは言ってないので
僕は中央図書館に歩いてやって来ました。
火事場や破壊の現場を想像していたのだけれど、
思ったより酷(ひど)い状態ではありませんでした。
店のガラスやデパートのガラスが割れていたけれど、
すでに業者がベニヤ板を打ちつけて修理が済んでいた。
驚いたことに、中央図書館の大きなガラス窓も一枚割られていた。
でも、ベニヤ板ですでに修復されていた。
黒い煙が2キロにも靡(なび)いていたから、
すごい火事の現場があるのではないかと想像していたけれど、
少なくとも僕が歩いてきた道筋には火事の現場は全く見あたらなかった。
夕べのアナウンサーは「車をひっくり返して火をつけた」と言っていたから、
あの煙は車が燃えて出た煙だったらしい。
すでにひっくり返された車は、すべて取り除かれたようで
そういう車は一台も見あたらなかった。
壊れた窓ガラスの修復も終えて街はほぼ元通りでしたよ。
感心したのはボランティアの人たちがたくさん街に出て
紙くずや割れたガラスや空き瓶をきれいに片付けている姿でした。
午前9時半だというのに、
夕べの暴動の様子は、ほとんど街から消えていたのですよ。
その対応の早さに驚かされました。
1994年にも同じような暴動が起こったから
バンクーバー市では、その対応を考えていたようです。
あの物々しいセキュウリティの検問は、その対策の一環だったのでしょう!
とにかく、夕べのCNNのアナウンサーの叫ぶ声を聞いて想像していたアクション映画『ダイハード(Die Hard)』の場面は、一夜明けたら全く消えていたのには本当に驚かされました。
映画と現実の違いでしょうね。
日本は梅雨で、ムシムシ、ジメジメしていることでしょう。
栃木の山の家でバンクーバーのことでも想い出しながら、
軽井沢タリアセン夫人になりきって、気分だけでもルンルン、ランランでいてね。
じゃあ、風邪を引かないように元気で楽しく過ごしてね。
気持ちだけでも。。。
バーイ。。。
バンクーバー暴動 (YouTube)
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