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愛と動物(PART 1)

 
愛と動物(PART 1)

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  自画像

神田日勝(にっしょう)は1970年、32歳の若さでこの世を去っている。 雨の中、農作業をして体調を崩し、原因不明のまま悪化して2ヵ月後に帰らぬ人となった。

 (中略)

日勝は24歳のとき、青年団で知り合った農家出身の高野ミサ子さんと結婚し、一緒に畑に立つようになった。
「実家の馬と神田家の馬では勝手がちがいました」とミサ子さんは話す。
「実家の馬はこちらが止まれと言わないかぎり動きつづけましたけれど、神田の馬はちょっとでも音がすると自分で止まるんです。 畑が狭くてすぐに行き止まりになるし、柏の株が多かったから止まる習慣がついたんでしょうね」

 (中略)

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日勝の描いた馬にはかならず胴体に毛の禿げた部分がある。 これは馬具が当たって毛が抜けた跡で、馬の労働の証だ。 妊娠して腹の大きくなった馬は特にこすれやすく、血が滲むこともあったという。
「いま思うとひどいことをしていたなあと思いますね」
脇坂裕さんは広大な畑を前にしながら昔を振り返った。

中学の美術部で日勝の1年先輩に当たる方で、中学を出てすぐに家を継いだので馬耕の時代をよく知っている。

「大事なものだから可愛がってはいたけれど、休みなしで働かせましたからね。 畑の中で産気づいて小屋に入れて、生まれるとまた馬具をつけて連れ出すという具合で、養生させる余裕もなかったんです」

馬は実に利口な動物だった。 掛け声ひとつで思うままに働き、人が行けないような深い雪でも平気で歩き、通いなれた道では手綱を話してもひとりで行けた。 町で飲んでいるあいだも外でじっと待っていて、酩酊しても馬車に乗りさえすれば家につれて帰ってくれたという。

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  日勝の絶筆の馬

(日勝の)絶筆の馬がいちばん好きだと脇坂さんは言う。
「馬の気持ちが出ていて、それが日勝さんの気持ちとダブるんだ」

トラクターが入って機械化がはじまったのは1960年代の終りである。 経済力のある農家が買ったり、何件かで共同購入したりして馬の作業は減っていった。 日勝はその入れ替わりの時期に繰り返し馬を描いたのだった。

(注: 赤字はデンマンが強調。
写真はデンマン・ライブラリーより)



『あの画家に会いたい 個人美術館』
著者: 大竹昭子
2009年5月25日
発行所: 株式会社 新潮社


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デンマンさん。。。今日は、お利巧なお馬さんのお話ですか?

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いや。。。馬の話だけではないのですよ。 あのねぇ〜、フィンランド語の本を読んでいたら次のような話にも出くわしたのですよ。


牛の目から涙

お手製のおいしい夕食をご馳走になりながら、話し好きのヘルミさんのロヴァニエミ弁を聞いていた。 たくさん面白い話をしてくださったなかでも、「牛の話」が面白かったというより、感動的でさえあった。

ヘルミさんのお姉様が飼っていらした牛の話だが、お姉様は毎日毎日、そのかわいがっていた牛の話をなさったそうだ。 その牛は言葉がわかるらしい。 ちょと信じられないほどよくわかるらしい。 高齢のお姉様が亡くなり、ヘルミさんが牛に「死」を伝えると、牛は目から大粒の涙を流して泣いたという。

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「そこにいなかった人は誰も信じてくれないけど、本当なのよ、ミハル。 大粒の涙を流して泣いたのよ、牛が」
と、ヘルミさんは青い目にうっすら涙を浮かべて話してくださった。

私はこの話を聞いてからというもの、牛肉を食べることを遠慮している。 こんなに優しい気持ちをもった牛の肉を食べるほど、私は野蛮ではない。 都会では聞くことのできない話をたくさんうかがうことができ、私は満足だった。 いつまでも日の高い北極圏の夏の夕べ、私は夕食後もヘルミさんのお話に耳を傾けた。

(注: 赤字はデンマンが強調。
イラストはデンマン・ライブラリーより)



153ページ 『フィンランド語は猫の言葉』
2008年4月4日 新装版第1刷発行
著者: 稲垣美晴
発行所: (株)猫の言葉社


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あらっ。。。素敵なお話ではありませんか?

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小百合さんも、そう思いますか?

ええ。。。もちろんですわ。

じゃあ、小百合さんも今日から牛肉を食べるのを遠慮するのですか? (微笑)

いいえ。。。うふふふふ。。。私は、それほど感動してませんわ。

でも、上の話を小百合さんも信じるのでしょう!?

ええ。。私は信じることができますわ。 可愛がっている犬だって人間の言葉がわかるのですもの。。。、可愛がっている馬や牛が人間の言葉が理解できても不思議ではありませんわ。

あのねぇ〜、犬や馬や牛が人間の言葉をいくつか覚えることがができるというのは僕も信じているのですよ。 でもねぇ、上のエピソードだと高齢のお姉さんが亡くなり、ヘルミさんが牛に「死」を伝えると、牛は目から大粒の涙を流して泣いたというけれど、それはお姉さんが話した言葉を牛が全部理解できたからではないのですよ。

でも、大粒の涙を流して牛が泣いたのですわ。 お姉さんの言った事が理解できなくてどうして涙を流して泣けるのですか?

あのねぇ、お姉さんの話した言葉が理解できなくても牛は泣けるものですよ。

どのようにしてですか?

小百合さんは「かしこいハンス」という話しを聞いたことがありますか?

いいえ、知りませんわ。

あのねぇ〜、心理学を勉強した人ならばたいてい知っている、とっても有名な話なのですよ。 小百合さんのために書き出しますからじっくりと読んでみてください。


賢馬ハンス

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人間の言葉が分かり計算もできるとして19世紀末から20世紀初頭のドイツで話題になったオルロフ・トロッター種の馬。
実際には観客や飼い主が無意識下で行う微妙な動きを察知して答えを知っていた。

賢いを意味する「Kluger」や「Clever」を付けてドイツ語では「Kluger Hans」、英語では「Clever Hans」と呼ばれる。

1891年頃から飼い主のヴィルヘルム・フォン・オーステンが出す簡単な問題に蹄を叩く回数で答える事ができると有名となり、1904年にはカール・シュトゥンプらによって調査されたが何のトリックも使っていないと結論づけられた。
その後アルバート・モールによって飼い主の動きを追っている事が指摘され、1907年に心理学者オスカー・フングスト(Oskar Pfungst)らによってハンスがどのようにして答えを知っていたかが解明された。
観客や飼い主、出題者、その場に居合わせただれにも問題が分からないように出題すると、ハンスは答えを出す事ができなくなったのである。
また、あらかじめ紙に書かれた問題を出題者が見ずに出題する、あるいは出題後直ちに立ち去る場合にもハンスは答えを出す事ができなくなった。

つまり計算ができるわけではなく、回りの雰囲気を敏感に察知することに長けた馬だったというわけである。
今日このような現象の事を「クレバー・ハンス効果」と呼び、観察者期待効果として、のちの動物認知学に貢献した。

二十世紀のヨーロッパでは、ダーウィンの著作が発表された直後で、動物の認知に深い感心が抱かれていた。

ハンスはヴィルヘルム・フォン・オステン卿の持ち馬である。
卿はギムナジウムの数学の教員であり、馬の調教師でもあって、かつ現在は否定されている骨相学やその他神秘的なものを信じていた。
彼によるとハンスは加減乗除と分数が出来、時間も日付も分かり、音階も理解していて、さらにはドイツ語の読み書き理解もできると言われていた。
オーステン卿が「もし八日が火曜なら、次の金曜日はどこかね」と質問すると、ハンスは蹄を鳴らして答えるという。
質問は口答でも筆記でも可であった。
卿はハンスをドイツ中に紹介し、見るのに料金はとらなかった。
ハンスのその能力はニューヨーク・タイムズに掲載された.
1909年に卿がなくなったのち、ハンスは数々の持ち主を渡り、おそらくは第一次世界大戦に投入されたと考えられている。
1916年よりのちの記録は残っていない。

関心が高まり、ドイツ教育委員会はオーステン卿の主張の検証を申し入れた。
哲学者 であり 心理学者でもあるカール・シュトゥンプは、「ハンス委員会」と知られる13人の評議会に、獣医師やサーカス団長、重騎兵隊の隊長、教員ら、ベルリン動物公園園長などを招いた。
評議会は1904年、「ハンスの能力に誤謬は見当たらない」と結論した。

評議会はこの結果をフングストに通知した。
彼はハンスの能力の根拠を以下の方法で検証した:

1.馬と質問者を見物人から離すことによって、そこから手がかりを得られないようにする。
2.質問者は馬の持ち主であってはいけない。
3.遮眼帯を用いて、馬が質問者から見えるかどうかは変化させる。
4.質問者が質問の答えをあらかじめ知っているかどうかを変える。

十分な回数テストを行ってフングストが得た結果では、質問者が卿である必要はない(詐称ではないことが証明された)が、馬が正しく答えられるためには、質問者が答えを知っておりかつ見える位置にいることが必要だった。
卿が答えを知っているとき馬は89%の確率で正しく答えたが、そうでないときは6%しか正答しなかった。

フングストは次に質問者の身振りを詳細に観察し、ついに、馬が蹄で叩く回数が期待された回数に近づくにつれ、質問者の体勢と表情が次第にこわばり、最後の一叩きの瞬間にその緊張が開放されているという点を発見した。
馬はこの合図を判断の手がかりに使っていたのだ。

馬の社会システムでは、群れの他の個体の姿勢・体勢・重心移動などが重要であり、ハンスが卿の体勢の変化をたやすく読み取れた理由はここにあるのであろうと想像できる。
卿は、自分がそのような合図を送っていることなどまったく意識していなかっただろう。
しかし、そのような読み取り能力は馬に固有のものではない。
そこでフングストは、馬の立場に人間が立ち、質問者の質問に足のタップで答えるテストをさらに行った。
結果、被験者は90%の場合正解することができた。

なお、オーステン卿もハンスも残酷なほどに癇癪持ちであり、しかもオーステン卿は馬が失敗する度に怒り狂う傾向があった。
ハンスは、フングストに幾回にもわたって噛みついたようである。


 

出典:
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』


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あのねぇ〜、犬は「おすわり」とか「お手」とか、そういう短い語句と命令ぐらいは理解できるけれど、犬も牛も「オマエを可愛がっていたご主人が亡くなったのよ」というような文章が理解できるはずがないのですよ。 ちょうど「賢馬ハンス」が人間の言葉を理解していたのではないように。。。

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それなのに、どうして牛は大粒の涙を流して泣いたのですか?

だから、「賢馬ハンス」のようにヘルミさんが牛に「お姉さんの死」を伝えたときに、「かしこい牛」はヘルミさんが無意識に行う微妙な悲しい動きを察知したのですよ。 たとえば涙を浮かべるとか。。。ヘルミさんが醸(かも)し出した悲しい雰囲気をハンスのように「かしこい牛」は敏感に察知することができたのですよ。

そうでしょうか?

あのねぇ〜、「賢馬ハンス」の説明を、もう一度じっくりと読んでみてくださいよ。

分かりましたわ。。。で、その事が言いたいために、お馬さんをたくさん持ち出してきたのですか?

いや。。。その事だけが言いたかったわけではないのですよ。

。。。で、他に何を。。。?

あのねぇ〜、冒頭に掲載した文章は『あの画家に会いたい 個人美術館』という本から引用したのですよ。 その本は大竹昭子さんが書いた。 僕は著者の名前を見た時に思い当たることがあった。

どうして著者の名前などにこだわるのですか?

『あの画家に会いたい 個人美術館』という本の中には無名の画家がたくさん紹介されているのですよ。 神田日勝(にっしょう)という画家も、実は、僕はこの本で初めて知ったのです。 それ以外にも世間にはほとんど名前を知られていない画家の素晴らしい絵なども大竹さんは紹介している。

デンマンさんは、その事に感銘を受けたのですか?

もちろん、感動的に書いているのだけれど、僕は大竹さんの名前を見て「あれっ。。。この名前をどこかで見た覚えがある!」と閃(ひらめ)いたのですよ。

つまり、大竹さんが書いた本をデンマンさんは知らずに他にも読んでいたということですか?

そうですよ。。。でも、何の感動もせずに読んでいた本の著者ならば、名前なんて覚えているはずがない。

つまり、デンマンさんは感動した本を読んでその本の著者の名前を朧(おぼろ)に覚えていたのですわね?

その通りですよ。。。それで、「大竹昭子 画家 デンマン」を入れてGOOGLEで調べてみたのですよ。 その結果を見てください。

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あらっ。。。ずいぶんと引っかかったではありませんか! 109件見つかったのですわね。 すべてデンマンさんが書いた記事ですか?

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リストに表示されている内、3分の2ぐらいの記事が僕の書いたモノですよ。 2ページ目を見たら思い当たる記事に出くわしましたよ。

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『イタリアの空の下で』

(2009年1月25日)

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あらっ。。。デンマンさんがイタリアに行った時の記事ですか?

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とにかく、小百合さんも読めばきっと懐かしくなりますよ。

 (すぐ下のページへ続く)


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