ブスと美人(PART 1)
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(mayumi40.jpg)
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(ogasa22.jpg)
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(wigout2.gif)
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(himiko22b.gif)
デンマンさん。。。 まさか あたくしを“ブス”だと言うのではないでしょうねぇ~!?
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(kato3.gif)
。。。ん? 卑弥子さんは自分がブスだと思っているのですか?
ブスだと思ってないから、デンマンさんに念のためにお聞きしているのでござ~ますわァ?
僕は卑弥子さんがブスだとは思ってませんよ。。。 うへへへへへ。。。
そのヤ~らしい笑いは、心の奥底で、あたくしがブスだと思っている証拠ですわァ~♪~。。。
やだなあああァ~。。。、勝手にそう思い込まないでくださいよう。。。 僕はマジで卑弥子さんがブスだとは思ってません!
それで。。。、いったい、どういうわけで“ブスと美人”というタイトルにしたのでござ~ますか?
あのねぇ~、実は夕べ 本を読んでいたら次の箇所に出くわしたのですよ。
敵か味方か
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(tekimikata.jpg)
「佐藤先生、私、先生が教育実習に来たときの中学生です」
もう30年も前になるが、東京・中野にある中高一貫校へ教育実習に行き、数学を教えたことがある。
その時の生徒だった。
老紳士の発言が終わるのを潮に、二人を廊下に続くロビーに案内した。
「そうでしたか、M先生やN先生はお元気でしょうか」などと昔の話をしつつ、その女性の顔を何度も見て、遠い記憶を呼び起こそうとするのだが、30年も前の事、相手は中学1年生だったのだ、簡単に思い出せるはずもない。
お子さんの胸に名札がついているのを見て、いまの名字はわかったが、当時の名字は何だったか。
尋ねて教えてもらっても、やはり何も思い出せない。
(中略)
だが、思い出せないながらも、何か、その当時、その方に関係する特別な何かがあったのではないかと思わせるようなイメージが、霧の向こう側に現れては、摑もうとするとふわっと消えてしまうような感触があった。 (略)
そして、本当は、思い出せないのではなく、思い出したくない、というのが自分の奥底にじっと潜んでいた気持ちだったと分かったのは、それから2時間後、ひとりになれた帰りのタクシーの中であった。
この続きを書くには、もうひとつ、別の話をしなければならない。
それは、4年前の事である。
雨がひどく降っていたある寒い日の事、(略) 傘を持って地下鉄の車両に乗り込んだ。
(略) 私は、車両の真ん中あたりに乗っていて、その人は車両の一番端に座っていた。
(中略)
ある出版社の方で、私を担当してくれた編集者の上司に当たり、かなり前に二度ほど、お会いしたことがあった。
そんなうちしおれた様子の人を見ても、うれしいという安心というか、そのような感じを持ったのには、実は理由があった。
以前お会いした際、その方は、やはり同席していたその出版社の偉い人に抗し、私の本の装填について、ある建設的な意見を主張したのである。
私は、その一回の打ち合わせで、無意識の内にその人を自分の「味方」と位置させたのである。
(中略)
話を、最初のシンポジウムの会場から帰るタクシーの中に戻そう。 (略)
その彼女は、頭のいい中学生に時折あることであるが、私の行動の何かに対して、冷ややかなまなざしと辛辣な皮肉を浴びせたことがあったような印象がかすかに蘇ってきた。 (略)
正確には分からないが、確かなのは、批判的な態度を見せた彼女を、私は無意識の内に「味方でない」カテゴリーに勝手に入れてしまっていて、その名残りが30年たった今も残っていたということである。
(注: 赤字はデンマンが強調。
読み易くするために改行を加えています。
写真はデンマン・ライブラリーより)
17-22ページ 『考えの整頓』
著者: 佐藤雅彦
2012(平成24)年1月27日 第3刷発行
発行所: 暮らしの手帳社
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確かに、このようなことがあると、僕も思ったのですよ。。。 でもねぇ~、僕の場合は、むしろ思い出したくない事の方が印象深く記憶に残っているのですよ。
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でも、どこにも“ブス”も“美人”も出てこないではござ~ませんか!
あのねぇ~、実は 僕も教育実習で中学生ではなく、高校1年生に教えたことがあるのですよ。。。 卑弥子さんと対談した記事の中で僕が次のように書いたことがある。
地盤沈下する社会
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(ijime.jpg)
世界最高水準だった子供たちの教育水準も急低下している。
OECDにより、15歳児を対象にした学習到達度調査(2009年)では、2000年時点の調査と比較すると、いずれの項目でも低下の一途をたどっている。
日本は、65ヵ国中、読解力8位(200年8位、2003年14位、2006年15位)、数学的リテラシー9位(200年1位、2003年6位、2006年10位)、科学的リテラシー5位(2000年2位、2003年2位、2006年6位)である。
数学的リテラシー、科学的リテラシーと、理系の教育水準の低下が顕著である。
しかも、上海、シンガポール、香港は、3分野すべてにおいて日本を上回り、かつ上海は3分野すべてにおいて世界1位である。
(注: 赤字はデンマンが強調。
読み易くするために改行を加えています。
イラストはデンマン・ライブラリーより)
80-81ページ
『震災で日本経済はどうなるか』
著者: 藤田勉
2011年5月12日 初版第2刷発行
発行所: 日本経済新聞出版社
『名物先生と斜陽日本』に掲載
(2012年9月26日)
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だから、どうだと言うのでござ~ますか?
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石原(慎太郎)さんが辞任の記者会見で「ゆとり教育」の失敗について言及したのですよ。 失敗したにもかかわらず文部科学省は、それを認めていない。 言外に、文部科学省は将来を担(にな)う子供を育てるという新しいビジョンを打ち出してないと示唆している。 即刻、明るい未来の教育方針を打ち出すべきだと石原さんは言おうとしている。 しかし、現実には文部科学省の役人はビジョンを持ってない。 政治主導を謳(うた)った民主党政府も関心を示さず、相変わらず党利党略のことだけしか考えてない。 つまり、石原さんは霞ヶ関の役人の腐敗と民主党政府の無能を指摘したのですよ。
そのような事は石原さんと日本政府に任せて置けば良いではござ~ませんかァ! 無関係な事実を持ち出してきて、あたくしに会えなかった理由をでっちあげないでくださいなァ。
卑弥子さんは無関係と言うけれど、決して無関係じゃない! 僕も記事を書いて日本を良い国にしようと思っているのですよ。
デンマンさんが記事を書いたぐらいで日本が良くなるなら、国会議員など要りませんわ。
その国会議員が日本を良い国にしようと国民の気持ちを考えて誠心誠意政治をしていない。 民主党政府は党利党略のことだけしか考えてないように見える。 それが問題なのですよ。 だから80歳の「暴走老人」が立ち上がらねばならなかった。 石原さんは、そう言ったのですよ。
とにかく、デンマンさんが記事を書いたぐらいでは日本の国は良くならないのですわ。 石原さんに任せておけば良いのです。
でも、その石原さんにも任せて置けないから、こうして記事を書いているのですよ。 石原さんも確固とした教育政策のビジョンを持ってない。
デンマンさんは持ってるのですか?
持ってますよ。 卑弥子さんも知ってのとおり、イジメだとか、不登校だとか、先生に暴力をふるうだとか。。。、最近の青少年は日本の未来に失望したように、なんだか狂い始めているのですよ。
。。。で、デンマンさんは、どうすればよいと考えているのでござ~ますか? 日本の子供たちの学力を上昇させる妙案でもあるのですか?
ありますよ。。。あのねぇ~、学力テストでトップに立っている国はどこだと思いますか?
アメリカですか?
いや、違うのですよ。 意外にも北ヨーロッパの小国・フィンランドなのですよ。
フィンランドですか? ちょっと考えられませんわね。
そうでしょう? 僕もちょっと驚きましたよ。
どうしてフィンランドの子供たちの学力がそれほど素晴らしいのでござ~ますか?
あのねぇ~、OECDが3年に1回実施する学力テストであるPISA(学習到達度調査)でフィンランドはマジで世界のトップに立っているのです。
だから、どうして小国のフィンランドの教育レベルがそれほど高いのですか?
驚くべきことに、日本では学力低下を理由に授業時間を増やそうとしている。 ところが、実はフィンランドでは現在の日本より授業時間が少ない。
マジで。。。?
このような真面目な問題を語る時に、僕は嘘や悪い冗談を言いませんよ。 授業時間を増やせば学力が向上するわけではないのですよ。
授業時間が日本より少ないのに、どうしてフィンランドの子供たちは学力が上なのですか?
先生の質が日本よりも上だからですよ。
つまり、日本の先生方に優秀な先生が少ないというのですか?
そうですよ。 日本では先生がサラリーマン化している。 食べるために教師をやっている人が圧倒的に多いと思います。 中には麻薬に手を出して警察に逮捕される先生まで出てきた。 これでは、日本の将来を担う優秀な子供が育ちませんよ。
フィンランドの先生はどのような人たちなのですか?
フィンランドの先生は授業についていけない子どもを出さない。
マジで。。。?
あのねぇ~、フィンランド政府は教育の現場を信頼し、優秀な教師を育て、教育現場には口をださない。 日本の文部科学省に当たる教育省は、教育条件の整備にあたるけれど、教育内容には全く口は出さないのですよ。 カリキュラムづくりは、国家教育委員会という専門家集団に任せます。
日本の場合には、確か、教育現場に立つことのない文部科学省の役人が中心になってカリキュラムの方針を作成するのですわよね?
その通りですよ。 日本では教育の現場を知らない素人の委員たちが教育に口を出すのですよ。 フィンランドでは、教科書検定は、かつては実施していたけれど、現在は廃止しています。 教科書は出版社が独自に作成する。 その教科書を採用するかは、各学校あるいは個々の先生に任されている。
あらっ。。。ずいぶんと民主的なのですわね。
そうです。 現場への信頼は教師に対する信頼でもあるのですよ。 校長は、教師の勤務評定をしない。 すべて教師任せです。
でも、どうしてフィンランド政府も国民も、それだけ先生を信頼できるのですか?
あのねぇ~、フィンランドの教師は高い能力が求められている。 大学院で修士号を取得しなければ教師になれないのですよ。 しかも、大学では計300時間を越える教育実習を経験します。 僕も教育実習で仙台商業高校の1年生のクラスで教壇に立ったことがあるのですよ。 数学を教えました。 でもねぇ、実習の時間は、たったの1時間だけだったですよ。 レポートを書いたり指導教諭との話を含めても5時間以上は時間をかけなかった。
それだけ。。。?
そうなのです。 ところがフィンランドでは、教師になっても、実践的な研修を絶えず受けるのですよ。 教師は、各学校が独自に採用します。 校長と地域の父母代表が面接する学校もある。 もちろん、最終的には校長が責任を負います。 しかも、面接に合格しても、1年間は仮採用。 他の教師が研修で休む間に代理で授業をし、その教え方を見て、正式に採用するかどうかを決めるのです。
あらっ。。。先生を選ぶのにずいぶん厳しいのですわね。
そうですよ。 日本のようなサラリーマン先生では勤まらないのですよ。
でも、「授業についていけない子どもを出さない」というのはマジですの?
あのねぇ~、1クラスの生徒は20人前後。 少しでも授業についていけない子どもがいると、その子だけの補習授業をすぐに設けるのですよ。 しかも、先生は雑用をしなくてもいいので子供の教育に専念できるのです。
日本の場合だと、授業が終わっても先生はクラブ活動の顧問として遅くまで学校に残ったりしますよね?
フィンランドでは、そのような事は一切ないのですよ。 進路指導も選任のカウンセラーが居る。 一般の先生は生徒の進学先の相談に応じる必要もない。 先生の仕事は授業をすること。 落ちこぼれのないように生徒の面倒をとことん見るのですよ。 しかも、生徒に勉強に対する熱意を植え付けてゆく。
要するにフィンランドの先生には、生徒にやる気を起こさせる先生が多いのですわね?
その通りですよ。 日本も何とかしなければ、未来の日本を背負う人材が育ちませんよ。
日本も独創的で教育熱心な先生が増えなければならないのでござ~♪~ますわね。 デンマンさんはカナダでも学生に教えたことがあったのでしょう? どうして辞めてしまったのですか?
初めのうちは面白かったけれど、そのうち熱意を失ってしまった。 僕には教えることは適していないと感じてきた。 だから、もっと面白い仕事をしようと思って辞めてしまったのですよ。
『日本を良い国に…』より
(2012年10月30日)
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あらっ。。。 こんな事をデンマンさんと話したのですわねぇ~。。。
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そうなのですよ。。。で、改めて上の小文を読んでみて、僕は間違いに気づいたのですよ。。。 僕も教育実習で仙台商業高校の1年生のクラスで教壇に立ったことがあるのですよ。 数学を教えました。 でもねぇ、実習の時間は、たったの1時間だけだったですよ。 レポートを書いたり指導教諭との話を含めても5時間以上は時間をかけなかったと書いていた。
どこが間違ったのでござ~ますか?
確か、少なくとも1週間は仙台商業高校に通ったのですよ。 2週間だったかもしれません。
(すぐ下のページへ続く)