パール判事とゴーマン(PART 1 OF 4)
本書(『平和の宣言』)では、判決書では語られなかった、日本の戦争に対するパールの考えも読み取ることができる。 300年続いたイギリスによる殖民統制下のインドに生まれ育ったパールは、平和主義者でありながら日露戦争の日本の勝利に喜び、民族の誇りが目覚めたと言い、インドをはじめアジア各地の独立運動はここから始まったと言ってもいいと述べている。
(中略)
だがその一方では、パールは絶対平和主義者であり、世界連邦を提唱し、日本の再軍備反対を唱えたことも事実である。 現在の価値観では、なぜそれが両立するのか理解できないだろう。 これには、時代の背景を考えなければならない。
大規模な戦争の後には、戦争を二度と起こさないための平和運動や平和機構の提唱が行われるのが歴史の常であり、未曾有の大惨事となった第二次世界大戦の後には、世界中で同時多発的に「世界連邦」の思想が生まれた。
これは各国間の主権と軍備を制限して、世界連邦という国際法による法治共同体の一員として秩序づけようというものである。 誤解されがちであるが、国家を解消して単一の世界国家を作ろうというものではない。
(中略)
パールが再来日した1952年は朝鮮戦争の真っ最中であり、第三次世界大戦、核戦争、人類滅亡という恐怖はすぐそばにある現実だと、誰もが思っていた。 パールも、核兵器の登場によって戦争も武器も無意味になってしまったと考え、核戦争への恐怖が、人類は団結しなければならないという「紐帯(ちゅうたい)」になったと期待したのだ。
パールは戦前に関しては「アジア開放の戦い」にも共感しているが、戦後に関しては一切の武力を否定している。 戦前と戦後の間に断絶があるといってもいいだろう。 それは一見矛盾しているようだが、核兵器の登場によって世界史は一変し、戦争の意味合いも全く変わってしまったと考えられていた当時としては、それなりに筋が通った思想だったのである。 さすがに人類が核の恐怖にすら慣れてしまうという事態は、パールにも想定外だったのだ。
(中略)
「戦争のために死ぬ命なら、平和のために死ぬ覚悟を示してもらいたい。恐怖の観念を捨てよ。命を投げ出すとき、そこには恐怖はない」と言っている。「命こそすべて」の日本の反戦平和とは正反対の思想である。 これこそがガンジー主義の真髄なのだ。 ガンジー主義とは、平和のためなら恐怖心もなく自らの命を投げ出さねばならぬという、大変な危険思想なのである。 日本の平和主義者がそこまでの覚悟をした上で、日本国民にも非暴力で死ねと説得できるだろうか。
残念ながらいま見ればパールの平和主義は破綻したと言わざるを得ない。 パールがガンジー主義に基づく平和国家を貫くと信じていた当のインドでさえ、今やNPT(核拡散防止条約)体制を無視したまま、堂々の核保有大国である。
105−107ページ 『パール新論』
著者: 小林よしのり
2008年6月28日 初版第1刷発行
発行所: 株式会社 小学館
デンマン注:写真はデンマンが貼り付けました。
強調のための赤字もデンマンが施(ほどこ)しました。
デンマンさん。。。オイラをお呼びですか?
おおォ〜。。。マンガ家! 首を長くして待っていたんだよォ。
今日はパール判事のことですか?
そうだよ。 オマエの『パール真論』をじっくりと読んだよ。
マジで。。。?
もちろんだよ! 最初のページから最後のページまでじっくりと読んだよ。
でも、デンマンさんがオイラの本をじっくりと読んだとは思いません。 もし、じっくりと読んだのであればデンマンさんの読解力には問題があると思うのですよ。
オマエはどうしてそのように思うの?
だってぇ、デンマンさんは次のように書いてましたよ。
過ちはもう繰り返しません
広島の原爆死没者慰霊碑には、このように書かれている。 つまり、あのような悲惨な戦争は日本人として2度とやりませんという誓いの言葉だよ。
だから。。。?
だから、この言葉の裏には当然のことながら大東亜戦争を否定する気持ちが込められている。 ところが、オマエは大東亜戦争を肯定している。 そうだろう?
そうです。
なぜ、オマエは大東亜戦争を肯定するの?
デンマンさんはオイラの本をじっくりと読んだのでしょう?
そうだよ。
だったらオイラの大東亜戦争肯定論が理解できたでしょう?
もちろん理解できたよ。 だから、こうしてオマエを呼び出して批判しようとしているんじゃないか!
『漫画家の壁』より
(2011年3月10日)
大東亜戦争肯定論を理解しているのにデンマンさんはオイラを批判するのですか?
あのさァ。。。、正しく理解する事と賛成する事は全く別な事だよ!
つまり、デンマンさんはオイラの大東亜戦争肯定論を愚劣だと決め付けるのですか?
そうだよ!! オマエの知性を僕は疑うよ。 オマエが愚劣だと主張している日本の言論人・知識人よりもオマエの方が愚劣だと僕には思える。
デンマンさんはオイラの『戦争論』が65万部以上売れたのを知っているでしょう?
もちろん、知っている。
2011年までの販売部数を計算すれば100万部を突破しているはずですよ。
つまり、『戦争論』が現在までの販売部数で100万部を突破したからオマエの大東亜戦争肯定論が日本人に迎えられていると、オマエは素直に信じているの?
いけませんか? (満足そうな爆笑)
だからオマエは愚劣だと僕は言うのだよ! 少なくともオマエの読者の一人である僕はオマエの本を数冊読んだけれど大東亜戦争肯定論を読んでオマエが見下している日本の言論人・知識人よりもオマエの方が愚か者だという事を僕はしみじみと理解できたよ。
デンマンさんはオイラがミリオンセラーを出したので、その事が気に喰わないのですか?
愚かな事を言うなよ。 あのなァ、オマエの大東亜戦争肯定論など、僕は端(はな)からおバカタレントの“たわごと”だとしか思えなかった。
それなのにデンマンさんはオイラの本をじっくりと読んだのですか?
そうだよ! なぜなら、オマエは本の中で次のように書いていた。
わしの本も読まずに
愚かな言論人知識人が
わしを批判し自らの底の浅い知識を
曝け出している。
確かにオマエの本を読まずに批判したとしたら、そういう人物は愚人だとしか言いようがないよ。 オマエの『パール真論』を読んだ時に“日本の言論人・知識人”と自他共に認めている人間が、いかに愚人かという事を僕はオマエと一緒に苦笑したものだよ! うししししし。。。
デンマンさんもオイラに同感したのですか?
うん。。。そいつらの本が1万部ぐらいしか売れないのが良く分かったよ。
だったら、オイラの本がミリオンセラーになった事はメチャすごいでしょう!
オマエはバカだねぇ〜。。。百万部売れようが千万部売れようが僕はビックリしないんだよ!
なぜ。。。?
オマエの「大東亜戦争肯定論」は所詮売り上げを伸ばそうというキャッチフレーズでしかない。 「売れないでもともと、もしかすると奇抜なキャッチフレーズに飛びつく読者がいるかも。。。?」 オマエはおそらく、このように考えたのだよ! そうだろう?
デンマンさん。。。それこそ愚者のかんぐりですよ。 オイラの本を読んだのであれば、オイラがマジで大東亜戦争肯定論に全力を傾けて書いたということが理解できるはずですよ。
そうだよ! その通りだよ! オマエが大東亜戦争肯定論に全力を傾けて書いたという事が僕にも十分に理解できたよ。
それなのに「大東亜戦争肯定論」は「売り上げを伸ばすための単なるキャッチフレーズ」だと言うのですか?
あのなァ、オマエ、冷静になって考えてごらんよ! オマエの視点は日本国内を出ていない! 僕はすでに人生の半分以上を海外で暮らしてきた。 これまでにソ連、中国、アメリカ、ヨーロッパを含めて34カ国を放浪してきた。 行ってないのは南極大陸だけ。。。北極圏に近いイエローナイフにも2年近く滞在したことがある。
だから。。。?
だから、僕の視点は常に海外と言うか。。。世界にあって。。。日本はその中に含まれている一地方に過ぎない。
だから。。。?
だから、僕がオマエならば「大東亜戦争肯定論」など言い出さない。
どうして。。。?
中国の人口がどれほどか? オマエ、知ってるだろう?
13億人。
日本人は。。。?
多く見積もっても2億人どまり。
中国では反日教育が20年以上行われている事をオマエも知っているだろう?
もちろん、知ってますよう。
だったら「大東亜戦争肯定論」は“数の論理”から言えば、絶対に否定されるのだよ!
どうして。。。?
あのなァ、たとえ日本人すべてが肯定したとしても、せいぜい2億人どまり。 中国の反日教育の成果を考えれば、少なくとも10億人以上が大東亜戦争を否定している! 10億人が大東亜戦争を否定しているのに対して、肯定論はおそらく日本には1000万人も居ないだろうよ。 オマエの大東亜戦争肯定論の本が売れたと言っても、せいぜい100万部留まりだよ! 中国一国だけを取り上げても、これだけ否定論者が多い! 世界の人々に「大東亜戦争を肯定しますか?」と尋ねれば50億近い世界の市民は大東亜戦争を否定するに違いない! もし、オマエの視点がグローバル化しているならば「大東亜戦争肯定論」など端から書かないものだよ!
つまり、絶対多数でオイラの「大東亜戦争肯定論」は反対されるとデンマンさんは主張するのですか?
オマエは「大東亜戦争肯定論」を書いて本が売れればいいと思っている。 でもなァ、読者をナメるなよ!
デンマンさん。。。やっぱり、分かってしまいますか?(微笑しながら苦笑)
だから、オマエは愚か者だと言うんだよ!
でも、日本の愚かな言論人・知識人が出す本は、せいぜい1万部が売れればいいところ。。。自慢する奴でも5万部留りですよ。 ところが、オイラの『戦争論』は、これまでに百万部を突破していますからね。 自慢じゃないけれど大東亜戦争肯定論に共感する読者は多いんですよ!
オマエは、だから、浅はかだと言うんだよ! 読者をナメるなよ!
読者をナメてません!
ナメてるじゃないか! この僕も、その百万部の中の一読者なんだよ!
マジで。。。?
オマエの本を読まずに批判できるわけね〜だろゥ!? だから僕もオマエの本をじっくりと読んだ。 それで僕はオマエを愚か者だと思った。 大東亜戦争肯定論など屁のツッパリにもならないと思ってるんだよ。 うへへへへ屁。。。
デンマンさん!。。。真面目にやってくださいよ! 理不尽にオイラをバカにすればマジで東京地方裁判所に「名誉毀損」でデンマンさんを訴えますよ。
オマエは東京地方裁判所が好きだねぇ〜?
デンマンさんはオイラが書いた次の部分を読みましたか?
膨大な批判が出たことは出たけれど、まず言いたいのは、まともに『戦争論』を読みもせず、ただレッテル貼りしようってだけの論調が多すぎる!ってこと。
読者をナメてるんだよね。
そんな本いくら出したって、売れるはずないのに。
何冊批判本が出たって、どーしたって1万部にも達しなくて、同じ人間がどの本もどの本も買ってて、左翼が書いて左翼が読んで、内輪だけでぐるぐるぐるぐる回ってるって状態でしょ。
わしの『戦争論』では65万の人間が涙し、感動し、「目からウロコが落ちた」って、今までの戦後民主主義の感覚から雪崩(なだれ)を打つように転向している。
そんな状況すらあるんだよ。
それに対して、批判する側はわしの主張を突き崩し、状況を挽回しようと本気で思っているのかどうか、わしにはそれすらわかんないんだよね。
なにしろ向こうが新刊で出す批判本の全部の部数よりも、『戦争論』の1回の増刷の部数の方が多いくらいなんだから(笑)。
(注: 赤字はデンマンが強調)
28 - 29ページ 『「個と公」論』
著者: 小林よしのり
2000年5月10日 第2刷発行
発行所: 株式会社 幻冬舎
もちろん、この部分を読んだよ。 それがどうだと言うんだい?
65万の人間が涙し、感動し、「目からウロコが落ちた」って、言うんですよ!
だからオマエは愚か者だと僕は言うんだよ。 読者をナメるなよ! その読者の一人が僕なんだよ! 僕はオマエが愚か者だと笑って涙を流したよ(微笑)。 でもなァ、感動したわけでも、目からウロコが落ちたわけでもない。 それどころか、2011年の2月まで僕はオマエの名前も知らず、オマエの本を一冊も読んでない。 ところがバンクーバー図書館でオマエの本を読んだら呆れるほどの愚論を恥ずかしげもなく得意げに展開している。 僕は「平和が正義」だ!という格言に肩を押されて、こうして批判しているわけなんだよ。 65万人の読者の中には僕のように批判的な人間もかなり居ると思うよ。 ところで、「宮台クン」の次の「数値的分析」は興味深かった。
宮台氏の「分析」によると、『戦争論』が発行50万部なら、うち1〜2割りは書店の棚にあるから実売は40万+α。
そこから神社本庁や遺族会の「組織票」を差し引き、さらに年長の世代を引くと、若者層(10代後半〜20代後半)に売れたのは最大に見積もって15万部、しかも「メディア戦略の成功」で「アンチ」の読者も相当入っているから、若者世代で『戦争論』に賛同したのはたかだか8万〜9万、若者2百人に1人、0.5パーセントいるかいないか、意見分布としては「統計誤差の枠内」で「絶対数が多く見えても、まったく問題ない数字であり、少しも危ない現象は生じていません」だそうです。
(注: 赤字はデンマンが強調)
323 - 324ページ 『「個と公」論』
著者: 小林よしのり
2000年5月10日 第2刷発行
発行所: 株式会社 幻冬舎
つまり「宮台クン」の分析によると大東亜戦争肯定論に賛同したのは、たかだか8万から9万。 若者200人に一人という分析結果を出している。
デンマンさんも、そのような下らない分析結果を信じるのですか?
いや。。。僕は信じているわけじゃない。 参考にしているだけ。。。でも、オマエ自身が無意識に信じているのだよ!
何を根拠に、そのような愚かな事をデンマンさんは言うのですか?
だってぇ、オマエは次のように書いていた。
(すぐ下のページへ続く)