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異邦人と他人(PART 1)

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異邦人と他人(PART 1)
 
 



今年の夏は異邦人を

読まなかった
 



もう何年になるのか、
わたしは夏になると必ず
アルベール・カミュ著「異邦人」を
読んでいた。

ここはアルジェでもパリでもない。
しかし、陽射しの強さを感じると
反射的にムルソーに逢いたくなる。

北アフリカの夏を、
わたしは何度も経験する。
アルジェの太陽の熱を感じながら、
砂に足をとられながら、ただ歩く。


(seashore.jpg)

無機質な銃声を聞きながら、
感情もないままに
何発もの弾丸を、
無関係な人間たちに叩き込む。
そして、無関心に立ち去る。

アルジェの海は、
自由で愉快だ。

そして死を意識しつつも、
神を否定する。
・・・そんな彼をわたしは
理解できているのだろうか。

実存の意味を考え続けてきたが、
やはりわたしは過剰な生き方しか
できないのかもしれない。



by tanomu

2006-10-21

『今年の夏は異邦人を読まなかった』より






デンマンさん。。。 あんさんにとって、tanomuさんは“心の恋人”やのォ〜?



あきまへんか?

つうことわあああ。。。あのォ〜。。。わたしは。。。、わたしは。。。あんさんの“心の恋人”から格下げになったん?

ちゃうがなァ〜。。。めれちゃんは、わてにとって永遠の心の恋人やんかァ! うへへへへへ。。。

そないに笑ってごまかして欲しくないねん。

めれちゃん。。。深刻に考えんでもええねん。 こないなことは、さらっと聞き流すところやがなァ。

あんさんは気が多いねん。 少しでも気に入った女性は、すべて心の恋人にしてしまいますやん。

あきまへんか?

それって。。。それって。。。あまりにも気が多すぎますやん。

あのなァ〜。。。喧嘩するより、殺し合うよりも、よっぽどましやんかァ。

一頃、あんさんはレンゲさんに夢中でしたなァ。

めれちゃん。。。、この物語は、もともと「レンゲ物語」として書き始めたのやでぇ〜。。。

今日はレンゲさんのことやのうて、tanomu さんの話をするのとちゃうのォ〜?

もちろん、そうやァ。 そやけど、レンゲさんも大いに「異邦人」と関係あるねん。

どのように。。。?

“レンゲ物語”をこれまで読んだことがある人なら、レンゲさんはたくさんの男に気持ちを奪われて、身を任せてしまう気の多い女性と言うイメージが浮かんでくると思うのやァ。

そうやろか?

tanomuさんも上の手記の中で書いている。 実存の意味を考え続けてきたが、やはりわたしは過剰な生き方しかできないのかもしれないと。。。

つまり、tanomu さんとレンゲさんには共通するところがあると、あんさんは感じはったん?

そやねん。 レンゲさんの恋愛観や人間関係はtanomuさんと似てるねん。 そやから「異邦人」を考える上でメチャ興味深いのやァ。

それほど興味深いん?

めれちゃあんも、ちょっと次の小文を読んで欲しい。


寂しくなると夢と現(うつつ)が

入り乱れるレンゲさん





決別状を僕に突きつけた時もすごかったけれど、仲直りする時もすごかったですよ。僕の都合も聞かずに一方的にバンクーバーにやってきてしまったんですよ。しかも、その夜、怖い夢を見てどうしても眠れない。。。そういう事を言ってレンゲさんは僕の部屋に入ってきたんですよ。もう真夜中をすぎていましたよ。レンゲさんが境界性人格障害を患っている。子供の頃にお母さんから拒絶された経験を持っている。肌のぬくもりを求めていた幼児の頃に、そのぬくもりが得られなかったというトラウマを持っている。そのようなレンゲさんの生い立ちを知っていたけれど、レンゲさんが、このような姿で現れたときには、僕は度肝を抜かれてしまいましたよ。



デンマンさんは、すぐにそうやってドラマチックにしてしまうのですわ。

ドラマチックどころではないですよ。ドラマチックという言葉では表現できないような衝撃を僕は受けたんですよ。真夜中に、レンゲさんが、こういうボイ〜♪〜ン・ルックで現れたんですよ。一体どういう事なのか?ギョッとして僕はレンゲさんが、もしかして火星からやって来たのではないか?僕は、実際夢ではないかと、自分のひざ小僧をつねってみたほどですよ。

いつものようにデンマンさんはオーバーですわぁ〜。

とにかくね、僕にとってあの時の出来事は決してレンゲさんが詩に書いたようなロマンチックなモノではありませんでしたよ。

でも、あたしには。。。あたしには忘れられない思い出になっているんですねん。

レンゲさんの詩の世界は、時によっては夢の世界ですからね。あの夏の出来事がレンゲさんのオツムの中で、すっかり甘美な愛と官能の思い出になってしまっている。




あなたの全てがいとおしい

あなたのまぶたをくちびるで愛撫する

くちびるから全身にしびれるような

熱い波がひろがってゆく

狂おしいまでに

わたしはあなたの腕に

抱きしめられて身悶える

あなたに抱かれて花開く

by レンゲ



『お願い、もう一度抱きしめて』より




あの夏の出来事は、レンゲさんにとってこのような官能的な思い出になっている。しかし、僕は全く違った衝撃として受け止めていましたよ。



でもデンマンさんだってあたしの詩を読んで、うれしいって言ったじゃありませんかぁ〜。。。

そ。。。それ。。。それは。。。確かに。。。うれしかったですよ。。。でも。。。、でも、僕はレンゲさんの詩の世界と現実を区別していますよ。だから、詩の世界のことをあたかも事実だと言われると、僕は本当に困ってしまいますよ。

『甘い言葉の裏の性欲』より




つまり、レンゲさんの生き方がtanomuさんのような過剰な生き方をしているというために、わざわざ上の文章を引用しやはったん?



そうやがなァ。 これを読めば「過剰な生き方」がどのようなものか? レンゲさんの恋愛観がどのようなものか? おおよそ見当がつくというものやァ。 めれちゃんかてぇ、そう思うやろう?

う〜〜ん。。。

めれちゃんが唸(うな)るほど複雑なことを言うてるのとちゃうねん。 レンゲさんは怖い夢を見たと言って、わての部屋にやって来たのやがな。 大人になった女性が怖い夢を見て男の懐(ふところ)を求めて部屋に入って行くなんて普通しやへん。 レンゲさんは失敗に学ぶ事が苦手な人やねん。 毎日愛し合っている清水君とレンゲさんは2週間会えなくなった。 そう言う訳で、休暇を取ってバンクーバーにやってきてしもうたのやァ。 つまり、半分は寂しさを紛らわせるためやった。

それで過剰な行為に出やはったん?

そうやァ。

でも、レンゲさんはデンマンさんに悩みをを聞いて欲しかったのやと思いますわ。

そうかもしれへん。 そやけど、レンゲさんは寂しくなると不倫の苦悩は遠い過去の事になってレンゲさんの記憶の片隅に追いやられてしまうねん。

それで、また失敗を繰り返すと、あんさんは言わはるのォ〜?

そうやァ。 レンゲさんの詩を読んでいると、失敗に学んだようには思えん。

そうやろか?

失敗に学ぶ女性は次のような詩を書くものやねん。



わたしが愛しているあなたは誰?

2006.11.05 09:17



現実から逃げ出したわたしは

今でもあなたを愛しつづけている

もうどこにもいないあなたが

今でも存在していると信じている

わたしを悲しませるのは誰?

わたしが愛しているのは誰?

わたしは誰と傷つけあっているの?

あなたではない誰かだと

わかっているのに

どうしてもあきらめられずに

いつまでも現実へ戻れない

誰かをあなただと思いこんだまま

愛される時を待ち続けるわたしの

おろかな心もすでに

死をむかえてしまった

by merange

『わたしが愛しているあなたは誰?』より




あらっ。。。これはわたしが書いたものですやん。



そうやァ。。。めれちゃんも懐かしいやろう?

もう6年前になるのですわね。

そうやァ。。。月日の経つのは早いものやがなァ。

そやけど、こないなところで、わたしの悲しい手記を持ち出して欲しくないねん。

何も恥ずかしく思うことないでぇ〜。。。

恥ずかしいのとちゃいますう。。。古傷に触られたようなや〜な気がしますねん。

さよかァ〜。。。? とにかく、上の手記を読むと、めれちゃんが失敗から学ぼうとしている。。。その苦悩が上の手記に表れていると、わては思うねん。

。。。で、どないなわけで“異邦人”を持ち出してきやはったん?

tanomuさんにも過去に不倫した経験がある。 このこともレンゲさんと良く似てるねん。 しかも、レンゲさんと同じようにアルベール・カミュの「異邦人」が愛読書やねん。

偶然ですやん。

そうかもしれへん。 そやけど、偶然では説明つかん共通点をわては見い出したのやァ。

その共通点って、いったい何やのォ〜?

結婚観やがなァ。 レンゲさんが次のメールで書いたように、tanomuさんも束縛を何よりも嫌ってるねん。



送信者: "レンゲ" <renge@chan.co.jp>
宛先: "barclay1720" <barclay1720@aol.com>
件名: RE:寂しくありませんよ。 (*^_^*)キャハハハ。。。
日時: 2006年12月26日 20:24:32




うーーん...

孤独と自由は、切り離せないものでして、

誰であっても、生涯一緒にいたいとは思えないのです

すぐに束縛されてしまうような気がしてしまうのです

なので「彼氏」どまりですね

ははは...

(^Д^)

レンゲ



『小説的人生』より




レンゲさんが書いた上のメールと「異邦人」が関係あると言わはるのォ〜?



そうやァ。 レンゲさんもtanomuさんもムルソーに良く似ているやないかいな。 tanomuさんが“陽射しの強さを感じると反射的にムルソーに逢いたくなる”と書いていたけど、その気持ちがわてにも解るような気がするねん。 レンゲさんは、そうやって反射的にバンクーバーのわてに会いにやって来たのやがなァ。 日差しは強くはなかった。 サクラが咲きほころびる頃やったでぇ〜。。。 夜桜の下で清水君と愛し合うレンゲさんにとって桜とは切っても切れない関係があるねん。

レンゲさんにとってバンクーバーがアルジェだと、あんさんは言わはるのォ〜?

そうやァ。 レンゲさんもtanomuさんもムルソーの生き方に共感してはる。 次の箇所を読んだ時、わてはなるほどと思ったのやァ。


アルベール・カミュ著「異邦人」より


(seashore.jpg)

That evening Marie came by to see me and asked me if I wanted to marry her.

I said it didn't make any difference to me and that we could if she wanted to.

Then she wanted to know if I loved her.

I answered the same way I had the last time, that it didn't mean anything but that I probably didn't love her.

"So why marry me, then?" she said.

I explained to her that it didn't really matter and that if she wanted to, we could get married.

Besides, she was the one who was doing the asking and all I was saying was yes.

Then she pointed out that marriage was a serious thing. I said, "No."

She stopped talking for a minute and looked at me without saying anything.

Then she spoke. She just wanted to know if I would have accepted the same proposal from another woman, with whom I was involved in the same way. I said, "Sure."

Then she said she wondered if she loved me, and there was no way I could know about that.

After another moment's silence, she mumbled that I was peculiar, that that was probably why she loved me but that one day I might hate her for the same reason.



pp. 40-41
"The Stranger" by Albert Camus
translated by Matthew Ward
published by Everyman's Library


 (すぐ下のページへ続く)




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