白痴と同窓会(PART 2 OF 3)
上の箇所を私は印象的に覚えていましたわ。
ほおォ〜。。。それほど印象的でしたか。
だから、中学生の時に一緒のクラスになった島澤さんとその後何もなかったというのが可笑しいのですわ。
あのねぇ〜、同じクラスで毎日顔を合わせているから、かえって印象が薄らぐのかもしれません。 僕は島澤さんのことを思いつめるようなことはなかったのですよ。
つまり、島澤さんはピアノを弾かなかったのですか?
たぶん、ピアノを習ったとは思うけど、恵美子さんほどうまくはなかったようですよ。 島澤さんがピアノを弾いたのを聴いたことがない。
でも、島澤さんはフランス人形のような可愛らしいお嬢さんだったのでしょう?
う〜ん。。。可愛い感じと言うよりも知的で美しいという女の子でしたよ。 恵美子さんは小学校ではずっと3組。 僕は2組で、島澤さんは1組でした。
小学校の時には組み換えがなくって6年間そのままだったのですか?
そうです。 島澤さんは元気がよくって、はきはきしていて、どちらかというとボーイッシュなところがあったのですよ。 それとは対照的に恵美子さんは、とっても女の子らしくて静かな控えめな女の子でしたね。
つまり、そういう、おしとやかな所にデンマンさんは惹かれたのですか?
今から思い返せば、多分、そういうことになるのでしょうね。 恵美子さんも島澤さんも頭の良い子で中間試験や期末試験では1学年350人の内で15番以内に入っていましたよ。
成績順に名前が貼り出されたのですか?
そうです。 だから二人とも県立熊谷女子高校に入学したのです。 埼玉県の県北で頭のいい女の子は、当時、熊谷女子高校に行くものと決まっていたようなものでした。
絹子さんやデンマンさんがオナペットにしていた悦子さんはどうだったのですか?
やだなァ〜。。。小百合さんは、そんなことまで覚えているのですか?
だってぇ、ネットでそこまで告白する人は居ませんもの、覚えていますわよ。
あのねぇ〜、絹子さんと悦子さんというのは家が近かったせいもあって親友同士だったのですよ。 頭も悪くなかった。 学年で20番以下に下がったことはなかったのだけれど、二人とも行田女子高校に入学したのですよ。 受験すれば熊谷女子高校にも受かっていたはずです。
どうして熊谷女子高校を受験しなかったのですか?
熊谷女子高校は進学校だったから両親に負担をかけたらいけないと思って、卒業すれば就職することの多い行田女子高校に入学したようですよ。
それで絹子さんも悦子さんも高卒で就職したのですか?
絹子さんは高卒で埼玉銀行に入行し、悦子さんは夜間部の大学に通いながら働いて東京都の公務員の試験を受け、現在は東京都庁で上級幹部になっているようですよ。
あらっ。。。すごいではありませんか!
悦子さんは行田女子高校時代には生徒会長をやって、絹子さんは言わば“副会長”として悦子さんの右腕として、当時の学生紛争の時代にだいぶ騒いだらしいのですよ。
あらっ。。。全学ストなどやらかしたのですか?
詳しいことは知らないけれど、クラス会をやった時に絹子さんが、そのような事を話していました。
それで島澤さんは熊谷女子高校を卒業されてから、どうなさったのですか?
もちろん大学にいったのだけれど、音楽大学ではなくて普通の大学だったらしい。
。。。で、その後どうされたのですか?
あのねぇ、そのクラス会のときに島澤さんの事が話題になったのですよ。 実は室田さんと島澤さんは親しくしていたらしい。
あらっ。。。行田の「とんでん」で開かれたというクラス会ですか?
そうです。。。小百合さんは良く覚えていますね。
私もデンマンさんと一緒に行田の「とんでん」でおそばを食べたことがありますわ。 懐かしいのでよく覚えていますわ。
これが「とんでん」の店内の概略図なのですよう。 絹子さんは店の一番奥の畳席Aを確保してくれたのですよう。
デンマンさんと私でお蕎麦を食べたのはちょうど反対側のテーブルでしたわね。
おおォ~。。。小百合さんも覚えていましたか? 忘れているだろうと思って、僕は手間をかけて上の概略図を描いたのですよう。 覚えていたのなら、描く必要はなかったのだけれど。。。
デンマンさんが“B”とマークしたテーブルですわよねぇ。
そうですよう。。。小百合さんが覚えているなら、描くことはなかったなあァ~。。。上の図を描くのに1時間もかかったのですよう。。。でも、日時までは覚えてないでしょう!?
覚えてませんわ。
小百合さんにも懐かしいだろうから、その時のメールをここに書きだしますよう。
件名:おはよう!昨日はお袋を見舞った後で、
叔母と「つるや」で手打ち蕎麦を食べました。
きゃはははは。。。♪┌(・。・)┘♪
日付: Sun, 01 Nov 2009 12:32:49 +0900
差出人: "denman@coolmail.jp"
宛先: "sayuri@hotmail.com"
CC: "barclay1720@aol.com"
10月30日の金曜日は盛りだくさんの一日になりました。
僕の実家の近くにある「とんでん」で食べた“茶蕎麦”はメチャうまかった。
10年ほど前に親父がまだ生きていた頃、両親と一緒に食べた茶蕎麦の味でした。
本当に懐かしかった。
小百合さんは伝統的な昔ながらの蕎麦を食べたけれど、今度は、ぜひ僕の好物の茶蕎麦を食べて行田の思い出を懐かしんでね。
蕎麦を食べてから「古代蓮の里公園」へ行って直売店で行田市で取れるいろいろな野菜やお土産物を見たけれど、改めて行田の豊かさを感じましたよう。
“ふるさとは遠くにありて思うもの”
うん、うん、うん。。。室生犀星の言葉だけれど、
こうして故郷にやって来ると改めて故郷の豊かさに気づきます。
小百合さんと一緒に古代蓮の神秘的な花を見ながら語り合えたら、さらに幸せな気分に浸ることができたかもしれません。
残念ながら古代蓮の花は咲いてなかった。
8月だけでなく、秋にも咲く古代蓮を作れないものか?
もし、秋に古代蓮が咲いているなら、
今度は古代蓮を見ながら“Hよりも感じるハグ”をして
再会を喜び合いたいものです。
\(^ヮ^)/ ギャハハハハ。。。
じゃあね。
(V__/)
(+'.'+)
(")_(")
『心のぬくもりを感じさせる医療』より
(2009年11月2日)
去年(2009年)の10月30日だったのですよう。
それはそうと。。。デンマンさんの隣に座っていたのは金沢さんですよね。
そうですよう。
デンマンさんのことですから両手に花だと思うのですけれど、デンマンさんを挟んで金沢さんと反対側に座っていたのが絹子さんなのですか?
いや、違いますよう。 反対側には誰も居なかったのですよう。
僕は、こうして隅っこに座りながら同窓会を楽しんでいたのです。 絹子さんが今年(2010年)の10月11日に電話をかけて寄こしたのです。
デンマンさんに絶交を言い渡すために電話したの?
まさか!。。。「今年もまた、幾人かで集まってぇクラス会をやりませんか?」。。。そう言ったのですよ。。。2年前にやったばかりだと思っていたけれど、もう3年前になる。。。月日の経つのは早いものだなァ、と思いました。
。。。で、またデンマンさんの実家の近くの“とんでん”でクラス会をやることにしたのですか?
そうなのです。 10月23日の土曜日に、僕も含めて8人が顔を合わせたのです。
3年前と同じ顔ぶれでした?
いや。。。畳屋の古田君と絹子さん以外は皆、違う顔ぶれだったのです。 僕を含めて男は3人。 残りの5人は女性。
。。。で、中学生時代の、デンマンさんの恋人は出席したのですか?
いや。。。残念ながら恋人と呼べるような人は、女性陣の中に居なかった。 僕の隣に座った女性の顔が思い出せなくって「どなたでしたっけぇ〜?」と尋ねたほどですよ。
それは失礼ですわ!
しかたがないですよ。 全く見覚えのない顔なのですよ。 20年以上会ってないのだから。。。
多分、デンマンさんが不躾に尋ねたものだから、その女性は内心では気分を害していたと思うわ。。。それで、その女性は何と答えたのですか?
「金沢ですぅ」と言ってニコッとしたのですよ。。。僕は中学時代のクラスの女性の中から“金沢”と言う名前とイメージを結び付けようと必死で記憶の中から手繰(たぐ)り寄せた。
。。。で、すぐにイメージが浮かんできました?
僕の知っている金沢さんというのはテニス部に入っていたのです。
上の写真の中のどの人が金沢さんですの?
下の列の向かって左から2番目の女性ですよ。
あらっ。。。可愛い感じの人ですわね!?
でしょう!?。。。澄ましている時の写真は次のような表情ですよ。
この上の写真が澄ましている時の金沢さんですか?
そうです。。。きれいな人でしょう!?
この写真、わたし、どこかで見たことありますわ。。。確か。。。確か。。。小笠原玲子さんと同じ写真でしょう?
あれっ。。。案外記憶が鋭いのですねぇ。。。そうですよ。 玲子さんの写真ですよ。。。でもねぇ、金沢さんが澄ましている時の顔ってぇ、マジで玲子さんに似てるのですよ。
。。。で、デンマンさんは金沢さんのことが好きでしたの?
いや。。。好きだと言うよりも、金沢さんは言わば“グラドル”的存在でした。。。僕以外にも金沢さんをアイドル的に慕っていた男子学生がたくさん居たと思うのですよ。 僕は2年6組の時にも、3年5組の時にも金沢さんと一緒のクラスだったのです。 しかも、2年6組のときの教室の目の前がテニスコートでした。 今でも金沢さんが颯爽(さっそう)と白いユニフォームを着てラケットを振る姿が目に鮮明に浮かぶのですよ。
マジで。。。?
もちろんです。。。風が吹いてスカートがフワッと浮いて白いパンツが見えたりすると、僕はもう胸をときめかせながら、瞬(まばた)きもせずに見とれたものです。 うししししし。。。
デンマンさん!。。。デンマンさんは、やっぱりパンツフェチですわねぇ〜!
小百合さん!。。。人聞きの悪い事を言わないでくださいよ。 ただ、それだけのことでパンツフェチと決め付けて欲しくないですね。。。男なら誰だってぇ、お気に入りのアイドルのパンツが見えたりすれば、胸がドキドキしてくるものですよ。
それで、デンマンさんの隣に座った人が、その金沢さんでしたのォ〜?
だから、その時、僕は白日夢から現実に引き戻されたように、隣の女性をマジマジと見詰めたのですよ。。。イメージ的には何もかも違っているのですよ(苦笑)。。。体の大きさといい、プロポーションといい、何から何まで違っているという印象なのですよ。
つまり、金沢さんという名前の人はたくさん居たという事ですか?
僕の立場に居たら、誰でも、そう思ったにちがいない!
。。。で、実際にはどうでしたのォ〜? 金沢さんという名前の女性は4,5人居たのですか?
僕も、当然そう思ったのです。。。だから、一生懸命になって遠い昔の記憶から金沢さんという名前の女性を思い出そうと必死になった。
それで。。。実際は、どうでしたのォ〜?
いくら考えたところで埒(らち)が開かないと思ったから、僕は隣の女性に、また尋ねたのですよ。
なんてぇ〜。。。?
「あのォ〜。。。もしかすると。。。ひょっとして。。。テニス部に居た金沢さんですか?」 僕は、思い切ってこのように聞いたわけですよ。
そしたら、その女性はなんと答えたのですか?
ニッコリしながら頷(うなず)いたのですよ。
マジで。。。?
僕はマジでビックリしましたよ! だけど、絶対に表情に出さないようにと細心の注意を払いました。。。それが、女性に対する最大の思いやりだと思ったから。。。(微笑)
『足袋とまんじゅう』より
(2010年11月27日)
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