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ライラックと小百合さん(PART 1)









Subj:小百合さん、おはよう!

小百合さんの声を聞いて

ルンルン気分になりましたよ!

きゃはははは。。。



From: denman@coolmail.jp
To: sayuri@hotmail.com
Cc: barclay1720@aol.com
Date:Fri, Feb 25, 2011 4:53 pm.
日本時間:2月26日(土)午前9時53分


小百合さん、おはよう!
夕べは9時半に小百合さんから電話がかかってきたのですよ。
まるでMINTIAを5粒ぐらい口の中に入れて栃木の山の家の広いリビングルームをスキップしながら話しているようでしたよ!



18,9歳の跳んでるグラドルのような声が響いてきたので僕はほっとしたのですよ。
きゃはははは。。。
弟の声が響いてきたりすると、ちょっとドキッとしますよ。
母親の様態が悪くなって救急車で行田中央病院へ搬送されたとか。。。
あるいはご臨終を迎えたとか。。。
そう言う訳で小百合さんのかわゆいティーンエージャーの声を聞いて僕までがスキップしたくなるようなルンルン気分が伝わってきましたよ。
30分ぐらいしたところで雑音がザーザー入ってきて、それからプツリと切れてしまって。。。
電話回線の負荷が極限に達して電話システムが回線を支えきれなくなって切れてしまったのですよ。
多くの人がある時間に同時に国際電話をかけると、そういう事が起こるのですよ。
子機を使ったり携帯から電話する場合には特にそうなるようです。



以前、福井市に住む日本画家のおばさんが電話をかけてよこした時にも20分ぐらいで雑音がザーザー入ってきて、しばらくして切れてしまったのですよ。
その時、「コキを使って電話したから、ああなったのかしら?」 そう言ったのですよ。
「コキって何?」 僕は知らなかったのです。(微笑)
説明を受けて初めて「子機」、「子器」と書くのを知ったのですよ。

小百合さんは僕がムカついて電話を切ってしまったと思ったらしいよね。
なんだか突っ込むような話し振りだったので
「僕は切らなかったよ」
「だってぇ、かけた私が切る訳ないでしょう! 電話を切ったとしたら、それはデンマンさんなのよ!」
そう言ってムカついていたけれど、僕が説明したら分かってくれたようなのでホッとしました。

とりとめもない話をしたのだけれど小百合さんのかわゆいティーンエイジャーの声が聞けてルンルン気分になれた1時間でした。
電話でも話題になった記事『茶そばと鰻』をこれからすぐそこのデンマン・ライブラリー(Joe Fortes Library)で投稿します。



『茶そばと鰻(2011年2月26日)』

小百合さんも読んでみてね。

記事の中でも出た“ソメイヨシノ”の色をしたミニ桜が気になって、さっそくバンクーバーの中央図書館で調べてみました。
6階のパソコンを2時間ばかり使った後で司書に尋ねたのですよ。

“百聞は一見にしかず”

花の説明するのは面倒だから、今朝、図書館にやって来る途中で花が咲いている小枝の先を折って持ってきていたのです。



それを見せたら、女性司書さんは言いました。

“あらっ。。。Lilac(ライラック)のようね。。。”
“ん。。。? ライラック? マジっすかァ?”



僕にとってライラックの花って上のようなものなんですよ。
司書さんに見せた花は、どうしてもライラックには見えなかった。

“信用できないのなら、植物図鑑で調べてみたらいいわよ。4階にBotanyの本がたくさんあるから、この本を探したらいいわ。”

そう言って司書が次のコール・ナンバーをメモに書いて渡してくれました。

635.977

このコール・ナンバーの本棚を見てみたら、結構たくさんの本がある。
その中の一つを引っ張り出しました。


Syringa yunnanensis 'Rosea'

A superior form of the Yunnan lilac, this is a beautiful medium-sized to large shrub with attractive foliage and fragrant rose-pink flowers in long, slender panicles(円錐花序) in early summer.



593 page
“The Hillier gardener's guide to trees & shrubs”
Editor: John Kelly
The Reader's digest association, Inc.
1991 6th edition
ISBN: 0-89577-973-0


確かに写真を見ると似ていた。
でも、初夏に咲くというのが気に喰わない。
バンクーバーでは2月中旬に咲いているのだから。。。

とにかく、イマイチ納得がゆかないので、ネットで調べてみました。


Syringa yunnanensis 'Rosea' (Lilac)



It is a perennial deciduous shrub with dark pink flowers in late Spring.
It grows well in direct sun, and prefers medium levels of water.
The flowers are arranged in a compound (triple) umbel inflorescence.
Syringa yunnanensis is evergreen in warmer climates.

Soil

Adapted to loam soils.

Growth

This shrub has an ultimate height of 3.7m / 12ft and spread of 2.4m / 8ft.

Leaves

The leaves are green and purple in Spring. They are llanceolate in shape.

Scent

A moderate pleasant scent is emitted from the flower.

Origin

China, Yunnan



Source: Plant Database


なるほどねぇ、これを読んでなんとなく納得がゆきました。
ライラックってぇ、たくさん種類があるんだよね。
そう言う訳で、またライラックの記事を書くから、後で読んでみてね。



じゃあ、軽井沢タリアセン夫人もMINTIAを5粒ぐらい口の中に入れてルンルン気分で楽しく過ごしてね。
バ〜♪〜イ!






私の電話の声は、それほど幼稚に聞こえるのですか?



いや。。。幼稚なんじゃなくてティーンエージャーのグラドルのようなかわゆい声と言ったのですよ。 うへへへへ。。。

そんなこと言っても誰も信じませんわ。

僕は信じますよ。

デンマンさんだけですわよ。

事実は小説より奇なり

あのねぇ、昔の人は、こう言ってるのですよ。 実際に小百合さんの電話の声を聞けば10人のうち8人までがティーンエージャーの声だと言いますよ。

それで、私の電話の声とライラックが関係あるのですか?

もちろんですよ。。。僕が“ミニ桜”をバンクーバー図書館の司書さんに見せたら「あらっ。。。ライラックのようね」と言ったのですよ。 ところが、僕にとってライラックというのは次のような印象の花なのですよ。




ひどく孤独で、ついにメアリーという女の子と図書館で会う約束を取りつけたときには、腹ペコのオオカミがウサギを追って突進するように追いかけた。 メアリーは夜間の講座を受ける学外の人間で、すでに彼氏がいたが、そんなことでひるむような私ではない。 ある春の日、メアリーが彼氏と車で遠出しようとしていた。 私は満開の花をつけたライラックの木から枝を一本丸ごと切り取り、車の後部座席に投げ入れた。



あとで彼女が語ったところによると、それは熱烈な行為で、ライラックのうきうきするような香りが車内に立ちこめた。 ついにメアリーの心をつかんだのだ。

 (中略)

メアリーとの関係はだんだん悪化していったが、どんな人間関係でも努力すればうまくいくというのが私の信念だった。 電話で長々と話し、話しているうちにメアリーはどんどん機嫌が悪くなっていく。 ラヴェルの「ボレロ」の音がだんだん大きくなっていくのに似ていた。 それから、ある種の精神浄化作用が行われたかのように、機嫌を直して電話を切る。 私は疲れ果てる。 ルームメイトはユーモアに富む大らかな男で、電話を立ち聞きして、ついにこんな忠告をしてくれた。

「デイヴィッド、関係を続けようとする努力には感心するよ。 サーカスで頭の上にゾウをのっける怪力男みたいだ。 でもな、ゾウは君の頭でクソしてるんだぞ」。



悲しいかな、こんなにわかりやすい分析をしてもらっても、人間関係はその気になりさえすれば維持できるという信念は変わらなかった。

(注: イラストと写真はデンマンが貼り付けました。)



(381-389ページ) 『みんなの進化論』
(Evolution for Everyone)
2009(平成21)年4月25日 第1刷発行
著者: デイヴィッド・スローン・ウィルソン
    (David Sloan Wilson)
訳者: 中尾ゆかり 発行所: 日本放送出版協会



『愛の進化論(2010年12月22日)』に掲載




分かるでしょう? 僕が見つけた“ミニ桜”とライラックでは、まず花の色が違う。 しかも、“ミニ桜”の香りはライラックと比べると“かすかな甘い香り”なのですよ。 

ライラックのうきうきするような

香りが車内に立ちこめた。

ついにメアリーの心をつかんだのだ

このような強烈な香りではないのですよ。 僕は直感的にライラックとは違う花だと思ったのです。

それで、“ミニ桜”の花の名前を突き止めようと思って植物図鑑で調べたのですか?

そうです。 僕の見つけた“ミニ桜”は2月中旬に咲いていた。 気温が最高でも5度から7度(7℃)ですよ。

でも、植物図鑑には初夏(early summer)に咲くと書いてありますわね?

そうです。。。それ以外の点では the Yunnan lilac(雲南ライラック)なのですよ。 でも、その花がバンクーバーでは2月中旬に咲き始める。 それで僕は改めて昔の人の言った言葉をしみじみと噛み締めたのです。

事実は小説より奇なり

。。。で、どこに咲いていたのですか?

だから、『茶そばと鰻』にも書きました。




あのねぇ〜、今日もバンクーバー図書館へ歩いて行ってきたのですよ。



往復で1時間歩くと、いい運動になりますわね。

そうなのですよ。 10時にマンションを出てロブソンストリートの1本裏のハローストリートを散歩するつもりで、のんびりと歩いていったのです。

どうしてハローストリートなのですか?

ロブソンストリートは東京で言えば銀座通りですからね。 ちょっと五月蝿(うるさ)いのですよ。 のんびりと散歩するという雰囲気ではないのです。

ハローストリートは静かなのですか?

ロブソンストリートから南へ1本だけ住宅地の方へ入り込んだ通りなのだけれど、車はほとんど通らないのですよ。 それでねぇ、今朝、初めてMINTIAのカバーのセロハンを取ってタブレットを2粒ばかり口に入れたのです。 ココロ踊る甘酸っぱさがふんわりと匂いたち、小百合さんの手紙が思い浮かんできたのですよ。



それで、もしかしてティーンエイジャーの女の子のようにスキップしたとか。。。? うふふふふふ。。。

よく分かりましたね。 そうなのですよう。 うししししし。。。 MINTIAのケースをポケットに入れてマンションを出たのだけれど、Barclay Manor のある小さな公園の一角にさしかかると、陽気の加減か?桜に似た花が狂い咲きしている。





どのようなお花ですの?



小さくて可憐な花なのですよ。「あれっ。。。寒桜かな?」。。。そう思って近寄って手にとって見ると、花の色は“ソメイヨシノ”と同じなのだけれど、花びらはチマチマしていて束になっている感じで。。。

何というお花ですの?

ちょっと分からない。 木に咲く花は桜と梅ぐらいしか僕は知らないのですよ。 (微笑) それで、桜色の花びらを見ていたら、また小百合さんの手紙が思い出されてきたのです。 MINTIAのケースをポケットから取り出してたタブレットを2粒、口に入れたのですよ。 気温は3度で肌寒かったのだけれど、ちょうど雲の間から日差しが差し込んでポカポカしてきた。 それで口の中に心躍る甘酸っぱさが広がると、もうじっとして居られなくなて、ついついスキップしてルンルン気分で飛び跳ねて歩き出したのですよう。 きゃはははは。。。

通りには他に誰も居なかったのですか?

いや。。。向かい側の歩道に胴体の長いソーセージドッグを散歩させている50歳ぐらいのカナダ人のおばさんが僕の方を見て呆気にとられていましたよ。(微笑)



それでデンマンさんは無視して、そのままスキップしながら遠ざかったのですか?

いや。。。せっかく僕の姿を眺めて唖然としているようなので僕は手を上げて「ハ〜♪〜イ!」と言ってニッコリしたのですよ!

そのおばさんは挨拶を返したのですか?

いや。。。呆気にとられたまま、ちょっち考え込むようにして、それから苦笑いを浮かべて首をゆっくり振りましたよ。 「陽気の加減で、あんな風に調子に乗ってしまう男が出てくるのかもね?!」。。。おばさんは、そう思っているようでしたよ。 しばらくして振り向いたら、遠ざかってゆく僕の背中をしばらくじっとして眺めていましたよ。 きゃはははは。。。

マジで。。。?

ただ平凡に30分歩いて図書館へ行くのもつまらないので、たまには“おふざけ”するのも精神衛生上いいことですよ。 (爆笑)



『茶そばと鰻(2011年2月26日)』より




もしかして、去年か一昨年の4月にビキニで日光浴をしていた女性と言うのは、この公園で見たのですか?



小百合さんはよく覚えていますねぇ〜。。。その通りですよ。 僕が書いたメールを読んでみてください。

 (すぐ下のページへ続く)




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