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ブチギレる時(PART 1 OF 3)

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ブチギレる時(PART 1 OF 3)





(daichi2.jpg)

『大地の子』の取材中、それは起こった。
日中友好プロジェクトである上海宝山製鉄所建設は、新日本製鉄の最新鋭技術を供与する形で進められたが、ある日、中国側から一片の電報によって、工事中止が通告されて来た。
製鉄所建設には、新日鉄のみならず、電機、機械、水処理など250社の企業が参画する。
さながら企業版・日本連合艦隊が大プロジェクトを支えているのである。


(shanghai0.png)


(shanghai90.jpg)

高炉の火入れ式まであと1年2ヶ月、全工程の25パーセントまで漕ぎつけた段階で、一時中止、再開のメド不明という中国側の通告は、参画企業すべての生命にかかわる一大事で、宝山の現場は事情が摑めぬまま、大混乱に陥った。

突如とした建設工事中止の理由は、何だったのか。
当時、連合艦隊の最高指揮官である新日鉄会長の斎藤英四郎氏の元へ、取材を申し込んだ。


(saito19.jpg)

 (中略)

指定された日時に新日鉄ではなく、指示通り、経団連会長室に伺ったのだった。
ところが斎藤氏は午後の便でアメリカ出張に発たれるとのことで、会長室に招じ入れられはしたものの、決済書類が山積みしているらしく、担当役員の説明を受けつつ、サインを続け、じっと待っているこちらに見向きもしない。

ようやく一区切りついたところで、斎藤氏の大きな楕円形の執務机の前の席に着き、単刀直入に、“一片の電報”について、最高指揮官としての衝撃、苦悩を伺った。
...不快な表情を露にすると、当方の質問には答えず、同席の技術担当副社長が差し出した分厚い『宝山製鉄所建設工程表』をパラパラとめくり、...棒読みに近い口調で話されるばかりである。 ... 私はたまりかね、斎藤氏の棒読みを遮った。
「伺いたいのは、“一片の電報”についてです、中南海(中国共産党)で何が起こってのですか、斎藤会長はどういう形でその一片の電報を手にされたのですか」
何しろ4000億円の大プロジェクトである。
躙(にじ)りよらんばかりに膝を進めると、
「一片の電報? そんなものは小説家の空想ですよ、私の元には中国から刻々と情報が入っており、驚くわけがありませんよ」
とニベもない。
...
「女性のあなたにそんなことを話しても、どうせ解らないでしょう、一時中止の電報などありっこないですよ、この工程表を後で副社長に説明させます、空想で書かれては困りますからね」
そもそも自慢の長い足とはいえ、体を斜めに崩して組むとは初対面の来訪者に対して何たる態度!
新日鉄会長にして経団連会長のポストにあるものの思い上がった無礼千万な振舞いに、ついに、私は忍耐の緒が切れた。
「私を、そこらの作家と一緒にしないでください!」
思わず、斎藤英四郎氏に向って怒鳴りつけた。
「さっきから黙って伺っていれば、そこに書いてあることばかりではありませんか! そんな上っ面の事を聞くために、大阪から来たんじゃありません、トップとしての衝撃、責任の大きさを聞きに来たんです! もう結構です!」

私はハンカチを握りしめ、なおも大声で斎藤氏を難詰し、席を立った。
無念の涙が吹きこぼれたが、そのまま扉に向ってまっすぐ歩き、辞去しかけると、
「ちょ、ちょっと、誤解が---」
斎藤氏が慌てふためいて、追いかけてきたが、振り向きもせず、扉を開けると、なんとそこには大勢の男性が、棒立ちになっているではないか。
隣は秘書室だったらしい。
会長が畏怖されることはあっても、怒鳴られていることなど、前代未聞の出来事だったのかもしれない。

斎藤氏は扉を閉め、
「今日はゆっくり時間が取れないが、帰国したら、改めて話しますよ、仲直りに握手しましょう」
長身の身を屈めんばかりにして、手を差し出した。
私はその手をばしっと、どんなに払いのけたかったか!
...
忍び難きを忍んで、私はハンカチを握り締めていた手の小指だけで、斎藤氏の大きな手と握手した。

(赤字はデンマンが強調。)



241-246ページ
『作家の使命 私の戦後』
著者: 山崎豊子
2009年10月30日 初版第1刷発行
発行所: 株式会社 新潮社




デンマンさん。。。あんさんは『大地の子』を読みはったん?



いや、まだ読んでえ〜へん。 めれちゃんは読んだのか?

わたしはNHKの放送70周年記念番組として放送されドラマを観ましてん。

いつ頃のことやねん?

1995年11月11日から12月23日まで土曜ドラマとして7回放送されましてん。


(daichi3.jpg)



どないな内容なのや?



次のようなあらすじですがなァ。


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信濃郷満州開拓団の長男・松本勝男は、日本の敗戦後、ソ連軍の攻撃などにより祖父と母を失い、妹とも生き別れになってしまう。
父親は徴兵されており、勝男のいる満州にはいなかった。

過酷な体験のあまり、自分の身分や言葉など全ての記憶を失った勝男は、放浪中に人買いに捕まり、中国人農家に売られて酷使される日々を送ることになる。
度重なる虐待に耐えかねて逃げ出したものの、再び人買いの手にかかり売られそうになった勝男を助けたのは、小学校教師の陸徳志(りくとくし)であった。
子供のない陸徳志夫妻は勝男に一心という名を与え、貧しいながらも実の子のように愛情をこめて育てる。

優秀な青年に育った一心は大連にある大学に進学。
恋人である趙丹青に日本人であるがゆえに別れを切り出される差別を受けながらも、中国の発展のため尽くそうと決心する。
しかし、彼の背後には文化大革命の嵐が押し寄せつつあった。
やがて一心は、日本人であるという理由で槍玉に挙げられ、囚人として労働改造所に送られるが、そこで日本語を話す男と知り合い、母国語である日本語を習得する。
5年後、徳志の命がけの嘆願と、共産党幹部となった親友の奔走の甲斐あり釈放された一心は、労働改造所時代の命の恩人である看護師・江月梅と結婚、日中共同の一大プロジェクトである製鉄所建設チームの一員として働くことになる。

一方、中国に協力を要請された日本の東洋製鉄では、一心(勝男)の実父である松本耕次を上海事務所長に派遣する。
松本はかつて自分の徴兵中に満州で消息を絶った妻子の行方を今も求め続けていた。
苦労の末、ようやく一心の妹であるあつ子(中国名:張玉花)を見つけ出した松本だが、寒村の農家に嫁がされた彼女は過労の果てに病(脊椎カリエス)を得て、すでに死の床にあった。
同じ頃、一心もまた唯一の肉親である妹を探し、村にたどりついていた。
あつ子の死を契機に、間近にいながら親子とは気づかなかった一心と松本は、ここで初めて互いの関係を知り、確執を越えて数十年ぶりの再会を喜び合う。

その後、プロジェクトの一環で日本に出張した一心は、松本の家を訪れる。
しかし、この訪問が原因で、一心はほどなくして以前から彼を快く思っていなかった同僚(趙丹青の夫)の策略により産業スパイとして告発され、プロジェクトから外された上に内蒙古の製鉄所へ左遷させられてしまう。
初めは失意に暮れていた一心だったが、やがて製品の改良などを通じて内蒙古の仲間達と深い絆で結ばれる。

時を経て、丹青は一心を陥れた夫の策謀を知り、共産党幹部に告発。
冤罪が解けた一心は再びプロジェクトに復帰、7年がかりで完成した製鉄所の高炉に火が入り、日中の参画者の心は一つになる。

プロジェクト終了後、一心は徳志の勧めで松本と父子水入らずの長江下りの旅行に出かける。
雄大な長江を下る船の上で、松本は一心に日本へ来て一緒に暮らさないかと持ちかけた。
日本の父と、中国の父。
二人の父への愛情に一心の心は揺れ動くが、彼は苦悩の末、涙ながらに「私はこの大地の子です」と答え、中国に残ることを決意するのであった。

ドラマ版では、その後自ら左遷時代の仲間達が待つ内蒙古の製鉄所への転属を志願する後日談が付け加えられており、家族ぐるみの移住に先立ち駅で一足先に内蒙古に向かった一心が製鉄所でかつての仲間達と再会するシーンで物語は幕を閉じる。



出典: 「大地の子」
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』




苦悩の末、陸一心が涙ながらに「私はこの大地の子です」と答え、中国に残ることを決意するところはメチャ感動しましたわ。



なるほどねぇ〜。。。、なんとのう、わてにも分かる気がするでぇ〜。。。わてもカナダで骨を埋めようと思っているさかいになァ。

マジで。。。?

こないな時に冗談が言えるかいなァ!

。。。で、どうして山崎さんがブチギレた時のエピソードなどを持ち出してきやはったん?

山崎さんの『作家の使命 私の戦後』を読んで、上の箇所に差し掛かった時に、わては急に書かねばならない事を思い出したのやがなァ。

あんさんもブチギレしやはったん?

そうなのやァ。 去年の9月に行田市に帰省した時に、山崎さんほど劇的なものやないんやけど、わてもかな〜りムカついたことがあって、この事は「ブログに書くつもりやけど、そのつもりで話してくださいね」と、相手に念を押したのやがなァ。

それで、相手は何と言うたのォ〜?

「ええ、どうぞ」と言うたのやがなァ。

それで、相手は誰やのォ〜?

足利銀行・行田支店の支店長代理という人物やァ。

 (すぐ下のページへ続く)




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